プレイヤーもないのに、原案小説につられて DVD 版を買ってしまいました(←アホ)。 多分私が生涯買う小説の中で、最も高価なものとなることでしょう。でも後悔 はしてません!!(笑)
タイトルは「プリンセスナイン」の「プ」の字もない「明応義塾女子高野 球部」。それでは、雑感スタート!!
読み始めてすぐ気がつくことは、涼を除く登場人物の名前が全然違ってい ることです。まずはいきなり、涼の母の名前が「志乃」じゃなくて「孝子」な んですよ!「志乃」って名前は結構お気に入りだったので、これはインパクト ありました。
早川母娘の店の名前も、「おでん『志乃』」ではなく、「若葉」です。 ただし、「おでん屋」という所は共通。
また、理事長の名前も「氷室桂子」ではなく「佐々木桂」で、その娘の名 前も「いずみ」ではなく「泉」と漢字でした。高杉も、下の名前こそ「宏樹」 で共通ですが、姓は「山本」です。
それから、「早川」は、母方の姓ということになっています。涼の父の旧 姓は、もろ「池内」。モデルとなった池永氏とたったの一文字違いで、所属球 団も「ジャガース」なる架空の球団ではなく、ズバリ「ライオンズ」でした。 下の名前も、「英彦」ではなく「達也」のようです。
また、早川英彦と違って池内達也は右投げ投手でした。涼が右左どちらで 投げるのかは、今の所本編中では明らかにされていないようですが、この調子 だと原案小説中では涼は右投げなのかもしれません。
それから、重に当たるキャラは「大崎」という名前になっています。ただ し、彼はキャッチャーではなく、監督です。チーム名も「ワイルドキャッツ」 ではなく「二子玉ジャイアンツ」で、対戦相手は「ドルフィンズ」ではなく 「ファイターズ」でした。
あと、明応女子の校長は「三田」ではなく「松原」という名前であること になっています。ということは、「三田加奈子をひっくり返してコナカタミ」 という話が原案小説中で出て来ないことは間違いないでしょう。
その他、アニメ版には出て来ないオリジナルキャラクターとして、涼のい とこの早川律子と、涼のクラスメートの田所恵美が登場します(あとクラスメー トとして、梢、エリカという子たちが名前だけ出て来る)。
逆にアニメ版にしか登場しないのが、誠四郎です。アニメ版での扱いがや けに低いと思ったら、そういうことだったんだね…(しみじみ)。→と思いき や、原案小説第2巻にしっかり登場し ました。いいかげんなこと書いてしまってすみません…。
また、甘味処での誠四郎とのやりとり もありません。あの名シーンはアニメ版で独自に作られたものだったんで すね。
「早くに夫を亡くした母を助けるため、高校進学を諦めおでん屋を手伝お うとする優しい子」という部分は変わりません。一方、身体的特徴としては、 アニメ版では小柄な子でしたが、こちらではファイターズの監督・国枝が高校 生と見紛えており、「身長がある」と評しています。 「サイズがまだお・こ・さ・ま」かど うかは不明です(笑)。また、先程触れたように、右投げの可能性があります。
個人的に、第1巻で最も興味深かったのが、何と涼が中学時代はやり 投げの選手で、やり投げの中学記録保持者だったとい う点でした。いやあ、これ読んだ時はひっくり返るかと思いましたよ!もうこ れだけでも 4800 円払った価値があります。この設定がアニメ版の聖良に引き 継がれたんですね!
また、原案では涼の成績はかなりいいようで、涼は桂に野球と勉学との両 立を要求され、CD ドラマのようなて いたらくではだめだということをはっきりと申し渡されています。「そういう 事が出来る人が本当の意味でのエリートだと思います」には参りました。
アニメ版では如月女子の所在地は最後まで明らかにされませんでした。こ れは、おそらく意図的なものでしょう。地名をはっきりさせないことで、「小 さいお友達」が、「自分たちのいる所」に思いを重ねることができるように、 という配慮が働いていたのだと思います。しかし、原案小説では違います。
如月女子ならぬ明応女子は山手線の田町で下りた所にある、とはっきり書 いてあります。これで、明応女子の参加地区は東東京地区と確定しました。場 所までモデルとなった慶応女子と一緒なんですね。そこの地名「三田」がアニ メ版での加奈子の名前のもとになったのかもしれません。
涼の家は、新多摩線の二子玉川園駅前商店街、高島屋デパートの裏、とい うことになっています。現実世界では「新多摩線」ではなく「新玉川線」です が、駅名は共通です。知らない方のために説明すると、東京は世田谷区の南端 にある駅で、神奈川県との県境に位置し、すぐ側を多摩川が流れています。原 案小説中でも、登場する川原は多摩川の川原、ということになっていますね。
※涼が明応女子に面接に行く時に乗った路線は「新多摩線」ではなく「新 玉川線」でした。「新多摩線」とは別個に「新玉川線」があるという設定なの か、それとも伊達氏がうっかりしたのか…。
最も大きな違いは、アニメ版第1話 から第2話にかけての見せ場だった、「チ ンピラ&高杉との変則勝負」がないことでしょう。あれはアニメ版の成功を決 定づけた極めて重要なエピソードでしたから、これを付け加えたのはアニメ版 スタッフの大ヒットとして手放しで称賛したいです(あれで作画がもっとマシ だったらねえ…(笑))。
各話感想で書きそびれていたことですが、アニ メ版でひとつ謎だったことが、これで解明できました。 アニメ版第1話では、もとノンプロの チンピラふたりは、理事長の手下として涼に因縁をふっかけに来ていました。 これは、理事長が裏の世界ともある程度つながりを持ち、密かにそういう人物 を動かすことが出来る、ということを意味しています。
ところが、後に理事長が如月女子の高校野球協会への加盟を画策したり、 女子高野球部存続の危機に陥ったりしたときは、そういう、裏の世界での影響 力を行使しよう、という素振りが、これっぽっちもなかったんですよね。
このことは以前から不思議だったんですが、ここがアニメ版のオリジナル ストーリーということならば納得です。第1話から第2話にかけての視聴者の 「つかみ」として創り出されたシーンだったので、チンピラたちがいかなる背 景を持っていたのか、の設定が、その他の部分との整合性を十分考えることな しに導入されたんですね。よくわかりました。
さて、そんな訳で、原案小説では木戸に当たるキャラ(まだ名前は未出) は、昼間の草野球のシーンで既に涼の投球を見ている…ということになってい ます。
その他気になることは、野球特待生が涼を合わせて4人いるとい うことです。まだ名前は明らかにされていないのですが、ヒカルとユキに当た るキャラに次ぐ4人目は誰なんでしょうね?アニメ版には対応するキャラはい ないのかもしれませんけれど。
4人ってことは、マンガ版3巻のあとがきで伊達氏が触れている「あるア イドル・グループ」ってのはやっぱり SPEED なんでしょうね。最終選考で競 り負けた相手が「アンドロメディア」なのでしょうか?
それと、明応女子の警備員が何か曰くありげなキャラですね。「おじさん」 呼ばわりに苦笑してみたり、今度涼に会ったら名前を教えようと思ったり、何 か意味深です。
巻末の「ドルビーデジタル音響スタッフ」の面子構成に感激の涙。音響監 督: 吉田知弘、音響効果: 倉橋静男、録音デザイン: 市川修の黄金トリオ再 び!!特に、「5.1ch音楽設計: 吉田知弘」の名が燦然と光り輝いているのが 何とも頼もしい。あの吉田氏が!自ら手掛けた新音声!!もう絶対の信頼を寄 せることができます。くぅ〜っ、聞きてえ〜〜っ!!聞く事ができる環境がな いのが、返す返すも残念!!
※余談ではありますが、ジャケットの絵柄はもう少し変えた方がよかった のではないでしょうか。何か、パッと見の雰囲気が、露出度の高い女性キャ ラの制服ミニスカアクションものを想起させるような気がして、予備知 識なしでパッケージを手に取った人に誤解を与えかねない絵柄に感じられます。 これはビデオ・LD の時にも思ったことで、このせいで潜在的視聴者の数%は 逃してしまったんじゃないだろうか、という点が気がかりです。