第2話 名門女子高に野球部が?

これぞプリ9!「果てしなき闘い」

前回のラストを引き継ぎスタートする、高杉との対決を彩る BGM は、いきな り熱さ 120% の「果てしなき闘い」だ。やっぱり「プリ9」はこうでなくっちゃ! この音楽は、「プリンセスナイン」中でも最も好きなもののひとつだ。BGM 集 1に集録された音楽の中では、これが一番聞いた回数が多い。とにかくひたす らにドラマチックに盛り上がって行くメロディーに、感情を思いきりかきたて られる所が極めて快感である。

夢の対決をケチケチせず思いきり盛り上げる、このサービス精神こそ「プ リンセスナイン」だ。やはり「プリ9」は、「作り話を鑑賞する際のプリミティ ブな歓び」を満喫できる作品である。この野球シーン、作画の質は第1話に輪 をかけてヒドいが、それを補って余りある熱さがある。

余談だが、「プリ9」の音楽に感心した人は、迷わずに BGM CD を買うべ きだ。この「果てしなき闘い」は3分以上もある長い曲なのだが、結局本編で はフルサイズで使用されたことは一度もない。このシーンや 第10話の9回表裏のシーンが、「果てしなき闘い」 の代表的な使用シーンだが、どちらも若干カットされてしまっている。その他 にも長めの、血沸き肉踊る珠玉の名曲が「プリ9」では使われているが、それ らも作中での使用バージョンはどこかしらカットされている場合がほとんどで ある。

ここは是非、CD でノーカット版を鑑賞し、その曲調の見事さに聞き惚れて 欲しい。カットされてなおあれほどの高揚感を生み出すあの輝ける曲が、より 一層の感動を伴ってあなたを包み込んでくれることだろう。

ちなみに、BGM 集2で天野氏が触れている「最終回 用の曲」だが、一番最初の予定はこの「果てしなき闘い」だったのではな いだろうか?文中で天野氏がワルシャワに行くことになっていた日付はまだ5 月。その予定を電話で話し合っている、ということは、それは放映が始まって まだほんの間もないころ(もしくは、まだ放映開始前!)ということになる。 その時期に「使っちゃった」と言うからには、その話数はごく初期の話数とい うことになる。

「果てしなき闘い」は曲調としては十分最終話の特別 BGM を務めることが できる重厚な曲であり、初期の回を代表するドラマチックな曲であることを考 えると、これが「最終回用の曲」の有力候補だと思うのだが…。

やっぱりいい娘だぞ、早川 涼!

第2話でも、母親思いの涼の健気さは健在だ。志乃から、如月女子への特 待生の話を聞いた後で

私が高校に行ったら、お母さんの手伝いができなくなっちゃう…お父さん…ど うしよう…
と迷うシーンは、涼ファンなら絶対見逃せない。このシーンは涼役の長沢美樹 さんの寂しげで辛そうな芝居が絶品で、「プリ9」には珍しく(笑)作画もしっ かりしていたこともあって、涼がいとおしくてたまらなく感じさせる名シーン に仕上がっていた。

(ところで、ここのシーンで「夢じゃないのよ」と簡単に言ってのける志 乃さん、ちょっと簡単にうまい話に乗りすぎ(笑)。世の中にはそうそううま い話は転がってないもんです)

そしてそれに引き続く名シーンは、自分の部屋で悩む涼だ。やはり、長沢 さんの芝居が見事の一言に尽きる。

高校に行けて、野球もできて、夢みたいな話だけど…やっぱり、無理だよね…
というセリフ、後半でつらい現実を見つめて、自分に言い聞かせようとしてトー ンが落ちて行くことにより、感情の起伏が手に取るように伝ってくる。そして 丁度志乃が入って来た所の
あたし、特待生の話だけど、いろいろ考えてみて、やっぱり…
というセリフは、最初は空元気で空虚ながらも明るく始まるのだが、やっぱり 寂しさが隠し切れずにたちまち声が沈んで行く所なんか実にうまい。そして、 それにともなって目まぐるしく変わる表情も、涼の諦めと無念さが切実に伝わっ てくるしっかりした作画(この悲痛な顔!)に支えられ、非常に印象に残るシー ンになっている。先ほどのシーンと合わせ、第2話で数少ない、作画に感心で きるシーンだった。(と言うか、第2話では結局作画監督は最も重要なこの2 つのシーンしか事実上見ていないのではないか?この後の話数の作画状況を考 えても、作画体制に余裕があったとは到底考えられず、作画監督の手が回る範 囲は極端に限られていたものと推測できる)

父から娘へ、夢は手渡された

そして、夢の中で、父を見る涼。うーん、この目は、完全に恋する乙女の 目だ(笑)。夢の中に出てくる父親があんなに若くてかっこいいとは、涼は相 当のファーザーコンプレックスに違いない(笑)。

そして、夢の中の英彦は語る。「今度は、涼の番だ」

そうだ!その通りだ!早川涼の伝説は、これから始まるのだ!!


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井汲 景太 <ikumikeita@jcom.home.ne.jp.NOSPAM.>(迷惑メールお断り)
最終更新日: 2000年12月11日