登場キャラ一同壊れまくりの傑作怪ドラマ。ジャケットからして無茶苦茶 インパクトのあるＣＤで、とてもＮＨＫの「衛星アニメ劇場」で放映されてい た作品のＣＤとは思えません（笑）。
登場人物中最も壊れてるのはいずみで、やはり本編がああいうキャラだか ら凄く崩しやすいわけですね。金月さんもノッて演じています。正直言って、 本編よりはるかにうまく聞こえる（笑）。
壊れ度で僅差で続くのがユキ。新たなる守護神・フィーフィーちゃん２号 を得て、以前通りの人形頼りのセリフを続出させるばかりか、「妙に強気（ヒ カル談）」な態度に出てその場を仕切ること度々。しかもそのフィーフィーちゃ ん２号の正体がまた凄かった。
加奈子も裏設定をこころおきなくオープンにし、涼に対する煩悩一直線。 後先考えずに突っ走っています。
ヒカルは強烈なネタを連発してはいますが、キャラとしては本編とあまり 変わってないような気がします。と言うか、もともとこういうキャラだった雰 囲気はあったんですが、ＣＤドラマという絶好の場を得てここぞとばかりに本 性をあらわにした、というところなんじゃないでしょーか（笑）。
涼と小春はひたすらみんなのオモチャにされて弄ばれる役回り。やっぱり、 本編で生真面目だとこうなっちゃうよね（笑）。そうなりたくなければ、いず みのように開きなおるしかありません。
本編との違いがあまりなくてやや貧乏クジ気味なのが聖良・陽湖・真央の ３人。聖良と陽湖は元が不真面目だからギャグの世界に放り込んでも本編との 違いが際だちにくいし、真央は気の毒さが先行してギャグキャラに徹しさせ切 れない、というハンデがあるわけですね。
寧々は発想の原点が何でもマンガだったり、「ルードヴィッヒ号」で「セ バスチャン」を呼び出したりと本編からして常軌を逸したキャラでしたが、こ のＣＤドラマではますますパワーアップ。いかなる事態にも動ぜず、ゲームの 進行を徹底して仕切りまくる怪人ぶりを遺憾なく発揮していました。
高杉・木戸の男性陣２人も自らの欲望に忠実なオス２匹と化していて、ド ラマの内容はいやが上にもヒートアップ（特に子安さんの功績は大）。ここに 氷室家を舞台にしたサバトは幕を開けたのでした。
高杉「しかしこれではまるで、迷路の中をさまよう、愛らしいハムスターのよ うじゃないか…」何が「愛らしいハムスター」だ、おこがましいにもほどがある（笑）。
まず最初の強烈なネタは、「あの２人は見捨てた方がいいって、フィー フィーちゃんも言ってる」ですね。ユキのセリフとは思えないこの人で なしぶりが、このＣＤの性格をよく表しています。
そして今後の重要な伏線となる「フィーフィーちゃん２号」の存在がユキ の口から明らかにされます。「星に帰ったんやなかったのか、フィーフィーちゃ ん」というヒカルのもっともなツッコミに「フィーフィーちゃん２号なの！言っ てるの！」と強気な返答。後でヒカルから「逆らわん方がええで！ユキ、最近 みょ〜に強気なんや」と評価される強気ぶりでいずみを圧倒します。
「写生してもらった…」「この手で手伝った…」ですが、実は最初聞いた とき、マジでどこがネタになっているのか解りませんでした。「天然記念物も ののウブ（小春談）」の涼と同レベルだ…（笑）。
ユキ「涼は黙ってて！今問題なのは、宿題なんだから！」という厳しい命 令に対する「ハイ」というトボけた感じの涼の返答がなかなかいいです。
まずはいきなり「意味はないわ。一度、女王様笑いがしてみたかっただけ」 と軽くジャブを飛ばすいずみ。一同を唖然とさせてからいよいよ猛ラッシュに 入ります。
いずみ「告白するわ。実は私、お勉強ぜーんぜんだめなの！！」
そしていずみは期末試験での順位を問い質します。お嬢様の厳しい追求に、 しどろもどろになる涼。
涼「え？べ、別にいいじゃない、そんなこと！」
いずみ「答えなさい！」
涼「に、２６８番…」
いずみに逆らえずに言いなりになるしかありません。ああ、なんてかわい そうな涼。←あまりかわいそうがっている感じがしない（笑）
お嬢様のキレ具合はこれくらいでは収まりません。「耳の穴かっぽじって、 よーく聞きなさい！」っつーのは金月さんのふっ切れ具合がよかったっす。
ヒカル「うちかて、１５２番やったのに…」真ん中よりちょい下くらい。 ヒカルの要領の良さがよく現れてる順位だと思います（笑）。
いずみの仕切りはまだ続く続く。矛先は今度は加奈子に向かいます。
いずみ「加奈子、あなたは？」
加奈子「ええ！？いえぇ〜、私は言うほどのモノじゃ…」
いずみ「答えなさい！」
加奈子「……１６番…」
誰もいずみの迫力には逆らえないんですね（笑）。加奈子の諦め切った心境 を適切に表現した笠原さんも good。
「天才なのはテニスと野球だけ」ってのもおバカでよいですな。で、いず みがおバカだ、ってのはこの CD ではみんなの共通認識のようです。
涼「いずみさんって、おバカだったんだ…」
ユキ「フィーフィーちゃん２号も、そう言ってる」
このドラマでは、減らず口ぶりにかけてはみな同レベルのようです（笑）。
この後、涼との３番の違いにこだわり続けるいずみは、ギャグの定型とは 言えやはり面白いですね。金月さんが楽しそーに演じるんだこれがまた（笑）。
いずみ「なによ、たかが私より３番ばかり上だったからって言って…」
涼「いや、だからそーゆー問題じゃなくて…」
いずみ「あたしより３番だけ上位じゃないの！」
涼「まだネに持ってる〜」
涼の心底うんざりした様子が笑えますね。いやあ、長沢美樹さんの芝居に脱帽。
高杉はオープニングに引き続き図々しいです。「何で２枚目の俺 がそんなことを」おいおい（笑）。この後も下着をせがんだり何かと図々しく、 このドラマ中では「図々しい男」という性格付けがされていますね。もう少し あとの
高杉「だけど気になるじゃないか！教えてくれ、どっちが脱ぐんだ！！」
とかね。哀れ高杉。でも、結構お似合いな気もする。
細かい所ですが、寧々の「持ってますけど、涼さんたちがいるお部屋です」 にすかさず突っ込んだ「なんで！」というセリフのタイミングは見事でした。 子安さんはうまいなあ。
聖良と陽湖はあんまり書くことはないけど、「やぁくそくにおぉくれたも のにはしゅうーくだいをおーしえるきはあぁりませんわ！」はおかしかった。 ここだけは氷上を誉めちゃる（笑）。
「ロープなら寧々が持ってますぅー」と、寧々の「荷物の中に何でも入っ てる度数」が本編をさらに上回って暴走します。「マネージャーとして当然の 装備ですぅ」ってそんな訳あるかい（笑）。さすが、いい加減さが身上の CD ドラマというメディアだけのことはある…。
また細かい点ですが、
真央「よし、と」
高杉「よしじゃねえ」
ってやりとりもタイミングが絶妙でおかしかったな♪さ すが子安さん。
次の見せ場は石井さん。「例えば、仮に、野球拳をやるとしたらだ」この もったいぶり方がおかしいや（笑）。さらにわざとらしさをアップさせて、も う一度「例えば！仮に！野球拳をするならばだ」と繰り返します。
それにしても小春、頼むから、そのセリフに
小春「けんど、ゆうちょることは一理あるぜよ」
と納得しないでくれ！爆笑してしまうではないか！（笑）
そしていよいよ、この日のために用意された（違う）加奈子の裏設定が大 爆発です。「よし！着ている服の枚数チェックは俺がやってやろう。やはり、 こういうことは、第３者が公平な視点から行わねば」と下心見えみえの申し出 をする高杉に対し、
加奈子「私がやるわ！高杉君は涼に触らないで！」
と氷のように冷たく、また切羽詰まった様子で割って入 ります。加奈子の心の中を代弁すると「憧れの涼が男なんか に汚されたりしたら大変！！（いずみはどうでもいいけど）」とでも なるんでしょーか（笑）。
そして、小春とユキの絶妙のやりとりが！
小春「くだらん。誰が誰に質問するんじゃ。だいたい、ウチはエッチなことな んて全然知らんぞ」
という余りにも白々しいこのセリフに対して、
ユキ「それはウソ！！」
と「憎々しげ」という形容すらぴったりくるような厳し いツッコミが入ります！川澄さん、入魂の演技ですね。いやあ、笑える。
小春のおとぼけに端を発するこのギャグはまだまだとどまる所を知りませ ん。高杉が割って入ります。
「『君！この穴を塞いでくれないか！！』だ！！！」は、なんかヤケクソ 気味に聞こえます。演技抜きで子安さんがややヤケクソになっていたんじゃな いか、という気もしませんか？（笑）
このやりとりの後の、
涼「高杉君！？」
高杉「なあに、ガンモちゃん！」
涼「……サイッテー」
高杉「………そんなーっ！！」
ってのもおかしくって素晴らしいです。涼、やっぱり高 杉とは別れた方がいいぞ……？（笑）
聖良・陽湖も合流し、宴はいやがうえにも盛り上がります。まずは、長沢 美樹さんの「私にも、よく解らないんだよね」が感じがよく出てて よいですねえー。
「頼むーっ！そ、その靴下で、俺に猿ぐつわをしてくれーっ！！」とこの 辺になるともうとめどがなくなりますね。「何だ、教えてくれるのか！？」も 切羽詰まった感じがよく出ていて、改めて子安さんの芝居に感服。
サラっと「この写真、実は木戸監督のアンダーヘア…」と言ってのけるユ キ。どんどん壊れて行ってますが、このあとまだあれほど強烈なネタが用意さ れていたとは…（笑）。
さて、「キスマークを探せ！」で寧々が加奈子の服装が「Ｔシャツとロン グスカート」だと述べてましたが、付属ブックレットのイラストではそうなっ てはいませんでした。
ブックレットでの各キャラの私服は、合宿中の私服の設定を流用したもの でした。まあ、ブックレットの作画を担当した今泉さんだって、これのために わざわざ設定を起こすなんてのは大変すぎますもんね（笑）。
それにしても、加奈子は「半ケツ」というセリフを異様に嬉しそうに言い ますね。何だか、笠原さんも演技抜きで楽しんでるような感じまでするのは錯 覚でしょうか？（笑）
「へ？ゴシューシンって、何？」と、涼はあくまでニブチンのお子様。そ れにひきかえいずみは「うかつだった…いかにもオヤジ趣味な場所ばかり考え て、基本を忘れていた…」と絶好調です（笑）。涼よ、主人公がそんなことで いいのか？ここはひとつ、「プリ９」の主役を張ってるのは誰なのか、いずみ のカラダに教え込んでやれい！（←下品）
ついにフィーフィーちゃん２号がその正体を明らかにします。単に「ユキ が昔の『ヘンな子』に回帰した」というギャグのためだけの小道具かと思って いたらこんなネタが用意してあったとは…。
ユキ「これが、フィーフィーちゃん２号。ユキが、手足をつけたの」
おいおい…「おもちゃ屋さん」に行って、知らずにこん なもん買ってくるなんて、強烈すぎるキャラだ（笑）。
小春は結局ウソツキですね。「ユキ…おまん、これが何だか、知っちょる、 言うんか…？」って、一体どこが「エッチなことなんて全然知らん」とゆーの じゃ（笑）。
ここでも涼は涙が出るくらいお子ちゃまなキャラです。いまどき、こんな女 子高生いるのか？（笑）
涼「へぇ〜、おもちゃ屋さんで、こんなもの売ってるんだ」
（効果音：ブィ〜〜ン）
ユキ「（すごく嬉しそうに）ほら！リモコンでスイッチを入れると、首を振る んだよ、ユキのおもちゃ！」
涼「うわっはぁー、面白いおもちゃだね、ユキ！！」
なんか、涼のセリフの最後の方は、長沢美樹さんもあま りの情けなさに呆れてるよーにも聞こえませんか？
ここで、
聖良「てめえらみんな、ホゲタラだぜ！」
なんてセリフがありますが、これの元ネタがわかった出 演者って、いるんかいな（笑）。女性陣は多分一人も知るまい。男性陣は知って てもおかしくない、か…？
いずみは
いずみ「ブラジャーのデザインは素敵だけど、サイズがまだ、お・こ・さ・ま ね」
と勝ち誇ってますが……まだ高１なんだから、お子様サ イズでも別段おかしくはないと思うんですが。（ ビデオ・LD ジャケットの加奈子が異常なの！（笑））
ブラまで脱がされ、残り一枚にまで追い込まれる涼。迎えるは伝言ゲーム です。
ユキ「（セキ払いして）涼はエースなんだから、堂々とすべきだよ」
「エースなんだから」って、そんなめちゃくちゃな理由あるかい（笑）。
涼チームはともかく、いずみチームの伝言のメチャクチャぶりは見事です。
ヒカル「氷室いずみが、メッチャクチャな顔の彼氏をヒィヒィ言いながら食っ たら、濡れたジャガイモみたいなナニやった」
「ナニ」って何やねん（笑）。
ユキ「氷室いずみのメッチャクチャな顔の彼氏が、フィーフィーちゃんのくた くたのジャガイモで、何かやったらしい」
いずみ「な、何なのよ、それ…」
ユキ「さあ…」
いずみの疑問ももっともです。それ以前に、いったいヒカルのセリフのどこ をどう聞いたらそうなるんだあ（笑）。ってゆーか、小春のセリフからヒカルへ の変わりぶりも大概凄かったけど。「汗びちょびちょになったがじゃ」のどこを どーすれば「濡れたジャガイモみたいなナニやった」になるんだ（笑）。花も恥 じらうお年頃でありながら、いつも「ナニ」のことばかり考えているとでもゆー のか。
それにしても、「カレー→彼」「ヒィヒィ→フィーフィー」「くった→くた くた」「がじゃ→ジャガイモ」っていう変換ネタをよく盛り込んだものです。多 分望月監督坂本郷氏が脚本を書くのにかけ られる時間はそれほど多くはなかったと思うんですが、にもかかわらずこれだけ のヒネリを効かせた手腕はお見事です。
そして、トリはいずみ御大。
いずみ「氷室いずみのハンサムな彼氏が、フィーフィーちゃんとくたくたになっ てジャガイモを作った」
何が「ハンサムな彼氏」だ！図々しいにも程がある！！（爆笑）
そして、あくまで「でも確かにこう聞いたわ！」と言い張る強情さ。いー かげんにしろー☆更に、「伝言も正確にできないなんて…誰がどう伝えたのか、 あとで徹底的に究明してやるんだから」と、やっぱりこの傲慢な発想は「お嬢 様」ならではですな。
私、「バター犬ゲーム」って、このＣＤで初めて聞きました（笑）。世の 中にはこんな恐ろしいゲームがあるとは…。多分もともと宴会芸として考案さ れたものだと思うんですが、実際にこんなことやったりすることあるんでしょー か？ボク涼と同レベルのウブなんでわかんなーい（笑）。（でも、これホント にやろうとしたら女性から総スカンを喰いそうな気がするんですが…）
陽湖のあいうえおゲーム、ちっとも色っぽくないですねぇー。加奈子の 「ちょっぴり感じちゃう…」ってのは脚本に書いてあったから笠原さんは仕方 なくそう言ったんでしょうな。
陽湖役の飯塚さんは、本人も周囲も恐らく「清純派」のセンで売ってるつ もりでしょうから、こーゆーのの出演には抵抗があるのかもしれませんね。じぇ んじぇん色っぽくなかったのはささやかなる抵抗なのかもしれません。
３つどもえで見苦しい争いを続ける涼・いずみ・高杉に愛想をつかし、３ 人を見捨てる冷たいナイン（笑）。「ああ、ほっちょけ。うるそうてかなわん （小春談）」
「イナズマ・パンツー！」はおかしいけどもっとおかしかったのは「ハイ レグイナズマパンツ」。いったいどんなパンツやねん（笑）。これはたぶん長 沢美樹さんのアドリブでしょーね。
という訳で爆笑ＣＤドラマはこれでおしまい。「商品」としてのエゲツな さを前面に押し出しながら、どこかで「プリ９」という作品の精神を失わない 内容に仕上げた望月監督の手腕には非常に感心させられました。
