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ガロア理論 数学

数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その2

可解な代数方程式のガロア理論に基づいた解法」をご寄稿くださった「退職後は素人数学者」さんから、補足のコメントを頂きました。実際には数日前にコメントとして投稿されたものの、弾かれてしまってコメントとして反映されなかった、ということで、電子メールで直接送っていただきました。

私も近日中に補足記事を書くつもりですが、ひとまず先に公開します。コメントが弾かれてしまった理由は、残念ながら不明です。【追記】と書きましたが、ちゃんと見直したらスパムフィルターに引っかかっていただけでした。「退職後は素人数学者」さん、申し訳ありませんでした。

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方程式のガロア群の求め方・さらなる補足

\(\newcommand{\zyunretu}[2]{{}_{#1}\text{P}_{#2}}\)
前回の記事で触れた通り、「退職後は素人数学者」さんから頂いた文書「可解な代数方程式のガロア理論に基づいた解法」の中では、「\(V_{k}\) の値が互いに異なるような係数の値の具体値の求め方」に関して、以前私が書いたものより遥かに優れたやり方が述べられています。間抜けなことに、そこで必要となる考え方は上の私の記事の中に事実上すべて述べられていたものでした。

本記事では、自戒を込めて、「退職後は素人数学者」さんによるアルゴリズムを解説します(と言っても、「可解な代数方程式のガロア理論に基づいた解法」の現物に当たって頂ければ、ほとんど説明の必要もないくらい明快な話ではありますが…)。

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数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現

別記事のコメント欄での「退職後は素人数学者」さんとのやりとりを通じて、Mathematica による詳細な計算結果を送って頂きました。置換群としてのガロア群のみならず、可解な方程式のべき根による実際の解までも、その詳細な過程と共に綴られている素晴らしい成果です。“自由に使って下さい”とのことでしたので、そのまま公開します。

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続・方程式のガロア群の求め方

方程式のガロア群を解の置換群として求める方法を書いた2年前のこの記事を元に、数式処理ソフトで具体的にガロア群を計算する手順を組み立てて下さった方がいました。こちらの記事で公開されています。
-数学- ガロア群の計算、初めに Maxima で綴る数学の旅

コメント欄では、数値計算を利用して(正面から立ち向かう計算では数式処理ソフトでも手に余るような)5 次方程式に対しても現実的な時間内で \(F(x)\) の既約分解を求める手順も紹介されて、大変ありがたいです。

(ちょっと意外でしたが、一度 \(120\) 次式 \(F(x)\) が整数係数の多項式として求まってしまえば、それを既約分解することは正面から立ち向かっても数式処理ソフトなら手に負える範囲の計算なのですね。真に大変なのはその手前の、\(120\) 次の対称式として得られる \(F(x)\) の係数を基本対称式に帰着してその具体的な値を求める、という計算の部分のようです。それらに難易度的な差があるかどうかということは考えもしていなかったので「おお、そうなのか!」という驚きがありました)

ここから、以前の別記事の手順に従って、可解なガロア群を持つ \(5\) 次方程式の解を実際に求める、ということに、時間のあるときにじっくり取り組んでみようと思います。

以下、補足的な事柄についていくつか触れてみます。

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2017早稲田理工5番

http://nyushi.nikkei.co.jp/honshi/17/w09-21p.pdf ああ、ほぼモロに https://ikumi.que.jp/blog/archives/301 の問題じゃないですか。主題が同じわけではないけれど、こういうのを見るとガロア理論齧っててよかった、という気がしますね。

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1解だけですべての解が表せる方程式

\(\newcommand{\field}[1]{\mathbb{#1}} \newcommand{\Q}{\field{Q}}\)
以前取り上げた2つの問題

3次方程式 \(x^{3}-3x+1=0\) の3解を適当な順番で並べ、それを \(\alpha\), \(\beta\), \(\gamma\) とおく。すると、\(\alpha\), \(\beta\), \(\gamma\) が次の関係を持つようにできることを証明せよ。
\[ \beta=\alpha^{2}-2, \gamma=\beta^{2}-2, \alpha=\gamma^{2}-2 \]

及び

3次方程式 \(x^{3}+3x^{2}-1=0\) の一つの解を \(\alpha\) とする。
(1) \((2\alpha^{2}+5\alpha-1)^{2}\) を \(a\alpha^{2}+b\alpha+c\) の形で表せ。ただし \(a\), \(b\), \(c\) は有理数とする。
(2) 上の3次方程式の \(\alpha\) 以外の二つの解を (1) と同じ形の式で表せ。
(東大入試 1990 文系)

は、共に次のことを背景としていた。「整数係数の \(3\) 次方程式の解の差積が有理数になるとき、1つの解 \(\alpha\) だけで他の2解を表すことができる」(ここで、「表すことができる」というのは詳しく言えば「有理数係数の多項式で表せる」という意味)

どちらも面白い問題だが、ちょっともったいないのは「実際に方程式の係数が与えられたときに、どうすればその『有理数係数の多項式』の具体形が導けるのか?」という一番面白い部分を、天下りで与えてもらったり、手取り足取りな手厚い誘導を付けてもらっている点だ。もちろん入試問題はある程度まとまった分量の受験生が時間内に解けるようにしないといけないので易しく作らなければいけないのはやむを得ないが、やはり「その \(\alpha^{2}-2\) だの \(2\alpha^{2}+5\alpha-1\) だのといった式の形はどうやって導いたのか?」という点は興味深い問題だ。

これについては、この blog で時々引き合いに出している方に以前伺ったとき、以下のようなうまい手があることを教えて頂いた(しばらく前の「大学への数学」の学力コンテストで出題され、その解説記事で出ていたものとまったく同じ考え方である)。

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続・番外編

\(\newcommand{\abs}[1]{\lvert #1 \rvert}\)
締めくくったはずの話が続いてしまって申し訳ないが、前回の 1. についての思いつきを書いておく。\(p\) 個の \(p\) 乗根の採用の仕方によって解の候補が何通りも出てきてしまい、どれが解なのかを決定するのが困難になることを克服できそうな案を述べる。

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方程式のガロア群の求め方&ガロア群が可解である方程式の解き方・番外編

\(\newcommand{\field}[1]{\mathbb{#1}}
\newcommand{\Q}{\field{Q}}\)
一連の話の締めくくりとして、落ち穂拾いの話題を2点書いておく。1つは、これまで書いてきた「Galois 群が可解な方程式の解の求め方」は、実は気づきにくい穴があって実際には不完全かもしれない、という話。もう1つは、一連の話がどういう経緯を経て作られたのか、という(他人にはまったく興味がなさそうな)覚え書きである。

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方程式のガロア群の求め方・補足

\(\newcommand{\kumiawase}[2]{_{#1}\text{C}_{#2}}\)
整数係数の方程式の Galois 群の求め方の記事で、\(V_{k}\) の間で値の重複がないように解の1次結合の整数係数を具体的に選ぶ手順について説明する。

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ガロア群が可解である方程式の解き方・その6

Galois 群が可解である場合に解を実際にべき根で求める手順で、「その3」で述べた「上位の群 \(G\) から下位に向かって」\(V\) の最小多項式の因数分解を進めていく方針の場合、多少手間を軽減できることを説明する。