数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その10

「退職後は素人数学者」さんが、また新たに文書を送ってくださいました。

与えられた有限群(置換群)のすべての部分群、あるいは正規部分群をしらみつぶしによらずに求めるアルゴリズムが記載されており、それに基づいて \(S_6\) までの対称群で、すべての部分群の共役類による分類を完成したり、可解な部分群をすべて特定したりされています。さらに、今度こそ正しく組成列を求めるアルゴリズムを構成されて、いくつかの組成列を求められたりしています(実際のプログラムではなく、プログラムの実行結果が載っています)。

あとは、前回の私の記事ともども、実際のプログラムにまとめ上げれば不備のないプログラムができ上がることでしょう!

「退職後は素人数学者」さん、いつもありがとうございます。

数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その9

\(\newcommand{\zettaiti}[1]{\lvert #1 \rvert} \newcommand{\field}[1]{\mathbb{#1}} \newcommand{\Q}{\field{Q}} \newcommand{\rnsg}{\vartriangleright} \DeclareMathOperator{\Gal}{Gal}\)
可解な方程式で、\(V\) の最小多項式 \(g(x)\) をガロア群の組成列にしたがって因数分解を進めて行く過程で、「退職後は素人数学者」さんの原アルゴリズムにほぼ沿った形で(グレブナー基底に頼らず)「\(\text{分母}=0\)」の問題に煩わされずに計算する方法があることがわかりました。「ガロア群が可解であるとき、方程式はべき根で解ける」の証明を思い返していて気づきました。以下解説します(以下常体)。

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数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その8

jurupapa さんが、新しく maxima 用のプログラムを公開されました。

GaloisGroupSolverをGithubに公開しました

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数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その7

\(\newcommand{\field}[1]{\mathbb{#1}}\newcommand{\Q}{\field{Q}}\)
「最小分解体の原始元 \(V\) で各解 \(\alpha_{1}, \alpha_{2}, \dotsc\) を表す式」の求め方について、これまでよりもずっと計算量が少なくて済む技法があることがわかりました。私は勉強不足で知らなかったのですが、その技法とは「代数拡大体上での因数分解」で、おそらく代数屋さんなら100万回くらいは見たことのある話なんだろうと思います。

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数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その6

前記事での「退職後は素人数学者」さんからの報告により、方程式 \(x^{3}-2=0\) については「退職後は素人数学者」さんのプログラムと jurupapa さんのプログラムでは結果が異なり、

「退職後は素人数学者」さんは解が出たが、それは不適な解も含んだものになった
jurupapa さんは計算の途中で \(0\) による割り算が発生し、エラーで手続きが停止する

ということになっています。

不可解なのは、同じアルゴリズムに従っているはずの2つのプログラムの動作がなぜか異なっていたことでしたが、おおよその事情がわかってきたので報告します。これまでの検討から、\(x^{3}-2=0\) を解く際の一連の異常には

べき根の選び方の不定性によって、\(0\) になる可能性も、ならない可能性もあるような式

が深く関わっていることがわかってきました(ここで、「べき根の選び方の不定性」というのは、\(1\) の原始 \(p\) 乗根の具体的な表式に含まれるべき根に関するものも含んでおり、\(1\) の原始 \(p\) 乗根の \(p-1\) 通りの不定性も包含したものとする)。実は、「退職後は素人数学者」さんの元記事「可解な代数方程式のガロア理論に基づいた解法」の第11節の、拡大体での商の計算(「分母の有理化」)のアルゴリズム(以下、アルゴリズム A とします)は、このような「べき根の不定性によって、\(0\) になる可能性がある式」が分母にある時はうまく行かない時があることがわかりました。おそらくこれが一連の問題の根っこにあります。
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数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その4

\(\newcommand{\field}[1]{\mathbb{#1}}\)
引き続き「退職後は素人数学者」さんの「可解な代数方程式のガロア理論に基づいた解法」についての話題です。

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数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その3

「退職後は素人数学者」さんの「可解な代数方程式のガロア理論に基づいた解法」について、いくつか補足を書きます。

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数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その2

可解な代数方程式のガロア理論に基づいた解法」をご寄稿くださった「退職後は素人数学者」さんから、補足のコメントを頂きました。実際には数日前にコメントとして投稿されたものの、弾かれてしまってコメントとして反映されなかった、ということで、電子メールで直接送っていただきました。

私も近日中に補足記事を書くつもりですが、ひとまず先に公開します。コメントが弾かれてしまった理由は、残念ながら不明です。【追記】と書きましたが、ちゃんと見直したらスパムフィルターに引っかかっていただけでした。「退職後は素人数学者」さん、申し訳ありませんでした。

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Mathpower2018 数学の決闘 ボツ問題案

\(\newcommand{\kumiawase}[2]{{}_{#1}\text{C}_{#2}}\)
今年も Mathpower の数学の決闘の問題を1問思いついて、提出してみたのですが、今年は選題する側に回ってしまったので、私の問題は没ということになってしまいました(笑)。無念を晴らすために、ここで公開することにします。

問題

多項式 \(f(p)\) を
\begin{equation}
\label{eq:mathpower2018-1}
f(p) = \sum_{k=0}^{2018} \kumiawase{2018+k}{k} p^{2019}(1-p)^{k}
\end{equation}
によって定めます。ただし、\(\kumiawase{n}{r}\) は二項係数です。

\(\dfrac{f'(2)}{2^{2018}\kumiawase{4037}{2018}}\) を求めてください。

この図は何のためについているのか…ということがヒントです。
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