前半13話のトリを飾るにふさわしい、スタッフ入魂の一本。まずはいきな り「黄金の左腕投手、その名は早川 涼!」から開幕!この曲には 第1話でメロメロにシビれており、CD で聞くのを楽 しみにしてたんですが、BGM 集1には集録されていなくてとても残念でした。 しばらくのあいだは無念さのあまり悶えてた(笑)んですが、後に無事 BGM 集2に無事収録された時は小躍りしたものです。BGM 集2はもう1本の大名作 「傷だらけのエース」も収録されてて嬉しかったなあー♪
13話冒頭では、この名曲が非常に効果的に使われていました。「いよいよ 如月女子の命運を決める運命の試合が始まる!!」というムードを盛り上げる 上で実に的確な選曲でしたし、また何と言っても、バスからおりたったナイン +寧々をロングで捉えたショットに切り替わる瞬間と、ファンファーレがかか るタイミングが見事に合わせてある点が特筆すべき所です。これは音響監督の 吉田氏の功績で、BGM 集2で天野氏も讃えてましたが、実際吉田氏の編集の技 椀はプリ9全編を通して傑出したものだったと言えると思います。
また、それに続く、決意に満ちて球場を見上げる10人のカットの作画は非 常によろしい!みんな端正な顔立ちをしていて惚れぼれしますが、特に小春や ヒカルは、普段の流した作画とは全然質の違う凛々しさがあって大変いいです。 これは今回作画監督に入った橋本さんの手がけたカットかしら?
作画の質に関しては、この13話はシリーズ中でも指折りの水準でした。い つもの回とは全然違う、質感の伴った描線・立体感のあるレイアウトが続出し ており、「ああ、ついに作画体勢が整ったか。これで残りの回の作画は安定し てくれるかな」と期待したんですが………その期待は、 14話の予告を見た段階で既に潰えました(笑)。短 い夢だった…。
さて舞台は変わってグラウンドへ。校長と教頭、またも揃って観戦しに来 てますね。なんてヒマな奴らだ(笑)。おまけに理事長まで来てますが、学校 の責任者がみんな学校を離れちゃうのはまずいんじゃないの?(笑)高校野球 協会の幹部もみんなヒマ人なんですね…。
聖良にグラブとゴミ箱を投げつけられて KO された木戸ですが、その顔に くっきりとゴミ箱の跡の横線が…あいかわらずベタな表現が炸裂しまくってま す、この作品♪
まずはオンナのコ作戦第1弾、偽装ブリッ子からスタート。いかにもやる 気なさげなセリフを陽湖と聖良が放ちます。うん、陽湖が言うと全く違和感が ない。半分以上は本心ではなかろーか(笑)。
ヒカルもノってます。シナを作りつつ「そうやそうや、海がええなー」と 木戸にしなだれかかります。またセリフこそありませんが加奈子のブリッ子ポー ズ、やけに手慣れてますね。どこで身に付けたんだ、そのポーズ(笑)。
試合前のジャンケンに勝って「勝ったで〜」とはしゃぐヒカル。このカッ ト、ちゃんとヒカルのおさげが反動で躍るアクションがきっちりつけてあるし、 ヒカル自身もかわいらしく描かれていて、やけに力の入っているカットに見え ませんか?これ以降もヒカルのカットは名カットが続出で、どうもヒカルはア ニメーター諸氏諸姉に好かれていたキャラなんじゃないか、という気がします。
いよいよ試合開始。涼の速球に、臨海大付属の強打者たちもキリキリ舞い です………が、何回か使い回されている空振りのバンクカット、なんか変です ね。スイングのスピード感がかなり不足しています。
そして、いよいよオンナのコ作戦の真価が発揮されます!聖良に対して、 「こら負けてられへん」と対抗意識を燃やすヒカル。「な、な、言った通りだ ろ?」と自画自賛の木戸とそっぽを向く涼たちの対比も楽しいですね。
んでもって、「ヒカルのテーマ(オンナのコバージョン)」でヒカル登場。
「あれぇ〜え」「あぁごめんなさい、こないだ足をけがしてもうて、もしもあ んな速い球が足に当たったりしたら、ヒカル、もう再起不能や」「あぁ〜いた い〜」と散々色じかけを施しておいてから、「もろた!」と邪悪(笑)な顔&声でま んまとヒットをもぎ取ります。作画もいいし、長沢直美さんの演技もノリノリ で、実に嬉しくなりますね♪
余談ですが、CD に「ヒカルのテーマ」がこのオンナのコバージョンしか入っ てないのはちょっと不満。ヒカルは確かにこーいうイロモノが似合うキャラでは あるんですが、それだけのキャラという訳でもないので、ノーマルバージョン (19話や25話の誠四郎との シーンでかかってたやつ)も是非ヽヽCD に収録して頂きたいです。→[2005, 7/24] ついに、CD Vol.3 に収録されました。曲 名は「ヒカルと誠四郎」。
更に余談ですが、ヒカルの登場シーン、出て来る方向逆じゃないでしょう か?その他のシーンから判断すると如月女子ベンチは1塁側なんですが…。マ ンガ版でもヒカルは3塁側からキャッチャーに倒れかかってますねえ。
いずみも、「ばかばかしい作戦だと思ったけど、うまくいってるみたいね」 とこの作戦の有効性を認めます。勝つためにはどこまでも非情になるいずみの ことですから、有効とわかった以上ためらわず積極的にやったはず です。本編では全く描かれてませんが自分から進んでやったことは間違いない! (笑)
加奈子「監督はご自分の青春を顧みて、男の弱味につけ込む作戦を思い付 いた訳ですね?」笠原さんの楽しげな芝居が印象的です。
まだまだ、ヒカルの活躍は続きます。13話の主役は、ひょっとしたらヒカ ルではないだろーか?「ああ、見えました!?はずかし〜☆今日のーぶらやの にー」っておいおい(笑)。
ヒカルの口八丁手八丁ぶりはまだまだこんなもんではありません。「もし も、つきおうて下さい、って言われたら、どうします?」で、心ここにあらず の石丸をなんなくタッチアウト。またも邪悪な笑みと舌出しがポイント高いで す。
このシーン、長沢直美さんのアフレコ技術も確かですね。途中までヒカル は背中しか写ってなくて、セリフを合わせるタイミングが非常に難しいと思う んですが、カットが切り替わるタイミングと、セリフの切れ目をきっちり合わ せていました。補球とタッチのタイミングもちゃんとセリフと合ってるのもお 見事!
この13話頃からヒカルのお気に入り度が急上昇しまして、最終的には涼に 次ぐお気に入りキャラになりました。どのくらいお気に入りになったかと言う と、まず、アイキャッチのプロフィールにある「左にスイッチ可」がすごく魅 かれたんですよね。なのに、本編中ではいっこうに左打ちを披露してくれる気 配がない。で、「ヒカルの左打ちのシーンが見たい。いや見せてくれ!!」と 煩懊するようになりました(笑)。
ですから、ついに25話に付いた 26話予告編でヒカルが左打ちの構えをしてくれた時 は嬉しかったですねえ。何しろ、それから1週間と言うもの、「次回はいよい よヒカルの左打ちが見られるんだ!」ということを思い出すたびに、それ だけで思わず口元がほころんでしまうくらいでしたから(笑)。だから、 実際26話を見たら、左打ちのスイングの瞬間は描い てなかったからちょっと悲しかった!(笑)
陽湖はやはりオンナのコ作戦の似合うキャラですね。「うそぴょーん」 「まーたうーそぴょーん」ってのがすごくキャラに合ってて楽しいです。それ が点に結びついてないのがちょっと残念。
このときの陽湖のセリフ、何度聞き返しても実況と重なっていて聞き取れ ないんですが、どなたかわかりませんか?あるいは、ビデオ・LD の解説書に 書いてあったりしませんか?
ユキも意図的なのか天然なのか計りかねますが、やっぱりわかっててやっ てるんでしょうかねえ。
「今日は暑いねー、フィーフィーちゃん。それにー、とっても眩しいんじゃな い?ほら、こうすれば、まぶしくないでしょ?」だ、大胆だ…。
「彼氏くらい、いる!?」という衝撃によって目が覚めた臨海大付属ナイ ン。ついに魔法は解けてしまい、あのヒカルも「なんや、勝手がちごうて来た な」と言わざるをえない打つ手なしの状況に段々と追い込まれて行きます。
「油断するな、早川…臨海大付属は、終盤からの逆転という勝ちパターン も、少なくないんだ」とこれは解説者役としての誠四郎の最後のお勤めですね。 次回からはこの座もカツラを取り去った加奈子に奪 われてしまい、ついに用なしキャラに…(涙)。
そして、遂に本格的デビューを果たした「傷だらけのエース」に乗せて、 臨海大付属の猛反撃が始まります。この曲もプリ9きっての名曲のひとつです ね。もう、初めて聞いた時から、CD に収録されるのが待ち遠しくて待ち遠し くて仕方ありませんでした。「黄金の左腕投手、その名は早川 涼!」のよう に、次回の CD にはひょっとしたら収録されないかもしれない!というのが不 安だったんですが、ちゃんと2枚目の CD に入っていて安堵しました。
ヒカルの頬をかすめる打球。回転して打球をキャッチするユキのカットの 作画もいいですね。デッサンが確かでレイアウトにちゃんと奥行きがあるし、 動きもメリハリが効いててちゃんとしてる。
ここで、盗塁を阻止しようとして送球する真央の声が、進藤さんの今回の 唯一のセリフでしょうか?13話は全26話中の5本の指に入る傑作エピソードな のですが、進藤さんのファンにとっては不満の残る回だったでしょうね。
「なんでだよー!あんなのありかー!?」とぶーたれる聖良に対して、画 面下からマンガチックな登場の仕方をする加奈子。「聖良!あれは野球技術 のひとつで、違反行為じゃないの」この最後の当たりのセリフ回しは、やっぱ り笠原さんがちょっと作ってみたんでしょうか?何だか、「オトコのコ向け」 の声に聞こえました(笑)。
このシーンは音楽の盛り上がりともうまくマッチしていて、何度見返して も背がぞくぞくして来る感覚が味わえますね。徐々にピンチの度合が高まって 行く雰囲気がとてもよく表現されていたと思います。
木戸「あとはアイツラ次第だ。俺にできることはもはや何もない。国の母 には、息子は最後まで精いっぱい闘い抜いたと、伝えてくれい」あんた、策な さすぎや(笑)。
そして、最高に盛り上がった所で「つづく」。くぅーっ、こんないい所で!! (地団太)それにしても驚くべきことは、今回のBパートの内容の濃さです。 「オンナのコ作戦」の本格始動からあとの展開がすべて後半十数分に詰め込ま れてるというのはただごとではありません。今回、絵コンテを担当したのは10話に引き続き原 博氏ですが、今回も原演出が冴えわ たっていましたね。これだけの内容を後半に詰め込んだ手腕もそうですし、 「オンナのコ作戦」のおバカな味わいと終盤の緊迫感の鋭い対比も出色の出来 ばえです。しかも、その緊迫感の中にも、さっきの画面下からにゅーっと顔を 出して聖良と審判の間に割り込む加奈子のようなマンガチックなシーンをごく 自然に挟み込む流れは驚嘆に値します。
また、最初の方でも述べたように今回は作画が非常によく、ストーリー上 の山場となる今回は、スタッフ側が特別体制を組んで質の高い回に仕上げよう としたことが窺えます。
実際、アニメージュに事前に掲載されていた放映予定表によれば、元の予 定では絵コンテは知樹 良氏、作画監督は田中 雄一氏となっており、これらが それぞれ原 博氏と橋本 義美氏に移行したと言うことが、今回が特別体制を敷 いた、ということの現れなのではないかと推測しています。