web 上でファンの声を眺めてみると、続編を望む声が結構あるようです。し かし、私は続編なんかまっぴらごめん派です。まず第一に、あの続き を作ったってそれはまず真中と西野のイチャラブから始まることになる。 そういう将来があるであろうこと そのものには別に文句はないですが、その姿をわざわざ具体的に描き起こし たものを読みたいかと言ったら、そんなものはまったく目にしたくはあ りません(冗談じゃないですよ)。まあ、だからこそ西野派は続きを 欲していて、「場合によっては結婚する所まで」と単純に願望を膨らませている、 という事情はよくわかりますが。
([2020, 12/25] 西野のその後を描くことについて、河下先生の考えが垣間 見られるツイートがありました。
このことに関する作者の見解が明らかにされたのは恐らく初めてだと思うのです が、やはり西野に関してはあれで十分だと思っていて、西野のその後を描くこと に否定的であることが確認できたのは大きいです。そこはまともな考えを持って らっしゃることがわかってほっとしました。後は今後西野派読者や編集の的外れ でバカげた要望・意向に靡いたりしないことを願うばかりです)お気持ち嬉しいです!が、あそこで終わったままの方がいいんじゃないでしょうかね〜
— 桃栗みかん/河下水希 (@m_momokuri) 2020年12月24日
それから、東城派(あるいは、北大路派もそうでしょうが)でも続きを希望 する人が一定数はいますね。そういう人たちは東城(や北大路)に真中に対する 好意がずっと変わらず残っていて、西野との間で「真中争奪戦」が再び繰り広げ られることを期待しているわけですが、それも私は断固お断りです。 そんな未練が残っていて、中高時代と同様の関係に戻ってしまうんであっ たら、最終盤でせっかく辛い思いを振り切った東城の気高い想いと決心、その後 の再起と成長をぶち壊しにしてしまう。あのクソロクでもない終盤の、 たった一つと言っていい救い(仮初のものであったとしても)を、ほとんど無意 味なものにして色褪せさせてしまうようなことは絶対にして欲しくありません。
同じ理由で、東城派による「その後」の二次創作というのも、私はほとんど
評価できません。そうやって「東城の、真中に対する未練」なんてものに惨めっ
たらしく縋ったりするのは、余りに愚かしくて直視に堪えないです。それでは、
東城派が自ら東城を裏切ることになってしまって、西野派が突きつける
結ばれたら幸せで他は不幸せって考えているカプ厨に
は、東城を幸せにするのは難しいだろうな〜
という嘲りがドンピシャリ
で当てはまってしまうじゃないですか。(東城派が採るべき道はただ一つ、
その傲慢さが何の裏付けもない虚構
であることを白日に晒して卑しい嘲りの欺瞞を暴き、結ばれたら
幸せで他は不幸せって考え
は、他ならぬ西野派にこそ最も当てはまる
ことを思い知らせてやることですよ)。
本編後の二次創作として辛うじて許容できるものは、10年経った今でも 「ラストシーンは 君と」しか私は見出せていません。これは、東城が一度は完全に真中のこと を吹っ切っていた(つまり、「未練」があったわけではなかった)、という話に なっているので、何とかギリギリ認められますが、これが限界ですね。やはり、 「雪の日の別れ」以降の東城の気高い決意と再起を台無しにしてしまうような二 次創作は無条件で落第とせざるを得ません(それが、 トップページのリンク集で、東城派による「本 編後」の二次創作にほとんどリンクを張っていない理由です。今の所、私の目に 留まる範囲内では、「ラストシーンは君と」以外は全部それに引っ掛って何の価 値もない駄作になってしまっています)。
「本編の続き」を否定する理由は他にもいくつかあります。まずひとつは、 ふたりの間の特別な関係は終盤でぶち壊しになってしまっているので、今さ らふたりが好き合うようになったとしても別に大して意味がない(読者として嬉 しくない)からです。高校までの真中と東城の関係は「屋上での出会いと ノートの小説」がきっかけで運命的に始まり、互いに互いがオンリーワンの相手 であることを自覚し、惹かれ合いながらも(西野の存在によって)踏み込めず、 でも抗えずに少しずつ深まっていった…という特別なものだっ たからこそその成就を焦がれていたわけで、ふたりの仲にそういった特別な絆と は直接の関係がなくなってしまっては、「今さら」感が先に立って、最早それを 望む気持ちは萎んでしまいます。 東城に 対する恋愛的興味をすっかり失ってしまった真中が再び東城に好意を抱くよ うになったとしても、それは「既に知っている高校までの東城とは別の要素によっ て、ゼロから再び東城に惹かれていくようになった」ということで、ありきたり で、必然性のない恋愛が始まるだけです。東城の側だって、もう真中への想いは 粉々に打ち砕かれてしまった後で、4年をかけて整理をつけ、 自らの才能を開花させ、力強く羽ばたき自立した彼女は、もう真中という「居場 所」には依存しなくなったわけです。そんな彼女が再び真中に好意を抱くと したら、「既に知っている高校までの真中とは別の要素によって、ゼロから再び 真中に惹かれていく」ことになりますが、それなら相手が真中であることに別に 理由はなく、全然別の男とだって同じように紡ぐことができた関係に過ぎません。 そんなもの、別に読んだって(描いてもらったって)仕方なくありませんか?
もうひとつの理由ですが、もし真中が再度東城を好きになるなら、それは西 野から心変わりすることになるわけですが、それだと本編中さんざん読者から非 難された「決断力のなさ」と訣別して真中がやっとこさ「相手を決め」て決心し た、ということの価値が反故になってしまう。その結果真中の株がまた下がるわ けで、そんな真中と東城が結ばれたとしても、その価値は自ずと低いものになり ます。
それに、唇盗人という罪に及んでしまった東城は、(それが作者によって仕 組まれた策略に逃れる術もなく「嵌められた」というのが実態だったとしても) やはりその罰を負うべきだと思うのです。それを勝手にチャラにして、何もなかっ たかのごとく真中・西野カップルに介入していくことは許されない。加えて、東 城がその罪に自ら向き合い、潔く身を引く姿は、上で触れたラストの気高さを構 成する重要な要素のひとつです。その価値はやはり失いたくない。
あともう一つの理由は、最 後の最後になってようやく諸々のことに心の整理をつけ、そこだけは辛うじてプ ラスの評価を与えることができる西野の決意までもが意味を失ってしまう、 ということです。これまで挙げてきたものほどの切実さはありませんが、これも やはり無に帰してしまうのはもったいないですね。
(これら副次的な理由には「ラストシーンは君と」も抵 触しています。そういう意味では、残念ながら無条件に賞賛できる二次創作では ありません。ただ、最も重要なポイントだけは辛うじてクリアしているのと、 「本編後」を前提とする二次創作ではどうしても限界があることから、最もまし なものと目しています)
そういうわけで、やはり私が真に欲するものは「続き」ではなく、 本編の途中から枝分かれするパラレルストーリー、アナザーバージョン ただ一つです。河下先生がそちらでちゃんとした「東城の想いが存分 に報われる」話を描いてくれさえすれば、東城派は(少なくとも私は)頭の中で 勝手にそちらを「真の結末」と認定して満足に浸れますから、それで十分です。
[2020, 7/25] そう言えばしばらく前から 「ぼくたちは勉 強ができない」が別分岐版を公式に展開していますが、これは作者の筒井大 志(敬称略)が 「ニセ コイ」のスピンアウトを描いていたこととの関連を踏まえると興味深いです。 「ニセコイ」は「いちご」とはまたちょっと 別の形で最終部分で致命的な誤りを犯して作品をぶち壊しにしてしまった一大失 敗作(誤りの致命的さとぶち壊し具合の程度はいちごと同等くらい)ですが、 筒井大志は恐らくそのことを理解していてスピンオフでは小咲の想いが成就する 結末にしたのでしょう(単に、スピンオフの主人公が小咲だから、というだけで なく)。「ニセコイ」に対して「そんなんじゃダメだ」というアンチテーゼ をこのようにちゃんと「わかった上で」描ける作者が、いよいよ自作をジャ ンプで描いたときに、このように別分岐版を描くことを選んだのは、今度は「い ちご」に対して「そんなんじゃダメだ、やらなきゃいけないのはこれだ」 というアンチテーゼとして放っている…という部分が実はあったりす るんじゃないでしょうか。この作者なら、いちごの 終盤展開が「そんな納得行かない展開にしちゃダメだ」ということも十分理 解できていることが期待できますから。
だから 続編なんかいらないと言ってるだろうがああ!!!(笑)
しかし、現在の連載作はどうするんでしょうね。もう畳んじゃうんでしょう
か。(そうではないことがわか
りました)それとも同時進行?(
河下センセの手の早さなら、アシ
スタントに恵まれれば月刊なら同時進行もできないこともないのかな…)可能性
としては、連載は連載でも「短期集中連載」なんでしょうか。それならまあわか
りますが。
そして、もっと重要なこととして、一体どんな内容にするつもりなんでしょ
う?「続編」「East Side Story」という報道通りだとすると、東城がメインに
なるんでしょうが、だとするとあの後描くべきことなど特にないですよねえ。そ
ういう意味での「東城の物語」は綺麗に終わっていて、卒業から4年間の話にし
ろ、「4年後の再会」の後の話にしろ、これ以上の話は蛇足です。それに、それ
だとファン層の大多数を占める西野派にとっても、少数の東城派にとっても需要
は乏しく、一体誰に向かって描くのか謎です。また、
過去作品を一切振り返らない性格
という桃栗センセの性分からすると、
「作者としてまだ描きたいことが残っていた(新たに浮かんできた)」というこ
ともないでしょうし。
数日前から噂は目にしていたものの、そういう事情を考えると到底信じられ る話ではなく、おそらくガセだろうと思っていたのですが…。まあ続報を待つと しましょうか。
【追記】 後から思ったことですが、「次世代の話」にす る、という可能性がありますね。その場合、「East Side Story」という副題か らすると、東城の娘がメインになるのでしょう。
あと、話は思いっきり逸れるのですが、副題が ドラマCD5の「EAST SIDE」「WEST SIDE」 と共通していることを考えると、ドラマCD5の副題は河下先生が付けていたんだ ろうな、と推測されますね。
「なぜこの時期になって今さら突然?」についてですが、ひょっとしたらジャ ンプ移籍時に誘ってくれたという編集者が、今は GIGA にいて声を掛けた…とい う事情があったりするのかも、という可能性に思い当たりました(いや、ジャン プ系の編集者の異動情報なんか全然知らない(追っかけていない)ので、何の根 拠もない思いつきの当てずっぽうですが)。[2017, 4/20] 河下先生自身がちょっと語ってくれました。
そう思ってみると、
今日は少年マンガ時代の担当さん、一昨日は少女マンガ時代の担当さんと会った。懐かしい人に会うっていいですね。楽しかったし、いろいろ刺激ももらったし、マカロンももらったのでさっき食べました pic.twitter.com/tNZwfHYFgH
— 桃栗みかん/河下水希 (@m_momokuri) 2017年2月5日
の少年マンガ時代の担当さん
というの
はそれなんじゃないかなあ、という風にも思えてきます。
【再追記】 ああ、 大体の疑問点については、河下先生自身が説明されてましたね。
らしいというのは記事を目にした方々と私の受け止め方が若干違っているからです。
— 桃栗みかん/河下水希 (@m_momokuri) 2017年3月27日
まず今回の「連載」は「続編」という感じではなく、どちらかというと「番外編」だと私は思っています。
そして「連載」ですが、私は現在他の雑誌で別のマンガを連載中なので、いちごに関しては少なめのページでの短期連載になる予定です。そういう訳でボリューム的にも「番外編」だと思っているのです。
— 桃栗みかん/河下水希 (@m_momokuri) 2017年3月27日
あと「群青に〜」はとりあえずまだ終わらないよ!
— 桃栗みかん/河下水希 (@m_momokuri) 2017年3月27日
やはり短期連載なのですね。控えめな分量で番外編的な内容というと、やっ ぱり東城の後日談的な話を少しだけやるんでしょうか。それとも娘の恋模様を匂 わせる程度の話?いずれにしろ、私が懸念していたようなひでえ話には、なると してもそれほど傷を深めるようなことにはならないようで、そこはちょっとだけ 安心しました。
まあ、東城が新たに小説を書いていこう、と決意するまでの話…あたりです かねえ。
ちなみに、
2017年もあっという間に3月。この春は他誌にも少しだけですがお邪魔する機会をいただきました。発売日が近くなったらまたお知らせします(^o^)
— 桃栗みかん/河下水希 (@m_momokuri) 2017年3月3日
というのはまさしく今回の話だったんでしょうね。
[2017, 4/3] ふーむ、 やはり娘世代の話?東城本人とは若干雰囲気が違うような気がします。これ が10年以上経つうちに画風が変化したものなのか、別人として描いているのかは 判断が難しいですが、個人的には別人に思えますね。(つーかあの衝撃の発表か らもう1週間経つんですか。早いよ)
まあ、「続編」であっても12年も経てば河下先生がこうやって描く気を起こ してくださることがわかったので、さらに12年もすれば東城ルートの分岐話に手 を染める気まぐれを起こしてくださるかもしれない――という希望を今後12年間 の生きる支えにしていくとしましょうか(そこまでなのか(笑))。
なるほど、今回のいきさつはこういうことだったんですね。
ジャンプGIGA発売10日前ですね〜。
— 桃栗みかん/河下水希 (@m_momokuri) 2017年4月17日
改めて、何故2017年の今になっていちごの続編を描くことになったのか?というと…→
→1月半ば、5分で消したツイートがありました(見た人いるかな)。「月10ページでラブコメ連載したい」というような内容をつぶやいたんです。毎日男ばっか描いてたので女の子描きたいな〜と思って。でも現実になったら大変だと思って即消したんですが…→
— 桃栗みかん/河下水希 (@m_momokuri) 2017年4月17日
→それをたまたまジャ●プの編集さんが見ていて、その方がたまたま4月売りのGIGAを担当するということで、いろいろあって今回の連載に繋がったという…。
— 桃栗みかん/河下水希 (@m_momokuri) 2017年4月17日
ツイッターって怖いですね!怖い!怖いよー!
「現実になったら大変だ」→現実になる、の流れがコントみたいで面白いで すね(笑)。
どうしようかかなり迷いましたが、仕方ないので観念してジャンプGIGA買い ました。2回目以降どうするかは未定ですが、ひとまず第1回を受けての所感を 箇条書き的に書いてみます。
[2017, 5/27] 2回目も買いました。
[2017, 7/2] 3回目も買いました。
[2017, 7/30] 4回目も買いました。
少なめのページでの
短期連載
というのは、具体的にはこういうことだったのですね。この
少なめのページ
というのは短期連載全体での「総ページ
数」のことかと(漠然と)思っていたのですが、むしろ「1回当たりの」
ページ数のことを言っていた、ということなのでしょう。ページ数が2回
目以降で増えるとは思えないので、18ページのまま行くのでしょうね。
時が過ぎ、キミは少し大人になった。
という
コピーもしっくり来るんですが、これとモノクロページに描かれた姿には
ギャップを感じます。まあ、「4年後」の姿と本編当時の姿の中間くらい
に自然に見えるように描くのは難しいでしょうし、下手に変えてしまうと
本編からのファンにはコレジャナイ感を与えてしまうかも…という配慮も
はたらいたかもしれませんから、一概に言うわけにもいかないでしょうが。
※ 第1回には本編の初期を意図的に繰り返している
部分がありますが(いちごパンツの東城が空から降ってきて、主人公が心
奪われる・主人公は東城の眼鏡お下げ姿という外見に妨げられず東城の美
点をまっすぐに見抜く)、それもあって(それに引きずられて?あるいは
意図的に?)東城の外見上の年齢が低く見える絵柄なのかもしれません。
で、一番肝心な内容面についての話なのですが。
上でも書いた通り、私は真中への未練が東城の中に残っている、なんていう 話は金輪際お断りなので、今回の話はかなり残念と言わざるを得ませ ん。大学2年にもなって、真中と顔つき・雰囲気・名前が似ている相手につい真 中を重ねて見てしまい、慌てた際に不意にその想いが口から零れてしまう―とい うほどに強い未練が残っているなんてことにはして欲しくなかった。卒業式での あの答辞をしっかりとやり遂げたことや、その後で真中に「あたし これからは やれることたくさん頑張っていくから―真中くんもまた素敵な映画作ってね…」 と何の動揺も見せず清々しく告げられたことからして、卒業式の時点ではもう真 中への想いには今度こそ整理をつけられていたはずでしょう?そして、だからこ そ4年後にあれだけ堂々とした姿を見せられるほど成長できたんだなあ、と実感 でき、信頼できたんでしょう?だからこそ、辛い経験を経て真中を吹っ切ること ができた東城の気高さに心打たれたわけでしょう?なのに、卒業から丸1年以上 経ったはずの時点で、東城がこんなに脆く動揺してしまったら、そのことと矛盾 しちゃうじゃないですか。端的に言って「ぶち壊し」に近いですよこれ。
そこをかつての描写と矛盾なく描こうとしたら、上で私も書いた通りもう東
城に関しては描き切っていて、これ以上描くべきことなどないので話が作れなく
て困る…という事情はわかるのですが(しかし、それだったらそもそも続編の企
画自体、乗る必要もなかったんですけどね…。
上で書いたような事情があるにせよ、河下先
生が本当に「再検討したけど、もう描くことは残ってない。描けない」と頑とし
て突っぱねれば、それを覆してまで描かせるほどの強制力があるような企画では
なかったでしょうに。あるいは、どうせ番外編にするなら、唯が京都に遊びに行っ
て、北大路とつるんで美鈴と内場を冷やかしに行く…みたいな、深刻さの欠片も
ない無難極まる話でもよかったんですよ?それなら心置きなく
気軽
に読める話ですし)。
似たような展開は、本編の終盤にもありました。 一度は「思い出の屋上」で、 自分の道を見つめて別々に進んでいこうと真中への想いに整理を付けたような描 写がありながら、その後それがまるまるチャラにされてまたズブズブと真中への 未練に引きずられ、囚われていった東城。せっかく、もうこれ以上辛い想 いはしなくて済むように、真中への未練を断ち切った(作者に断ち切らせてもらっ た)はずなのに、そしてその気高さを東城派読者はほんの微かなせめてもの慰め として(ほとんど自分を騙すような心持ちで)受忍していたはずなのに、ストー リーをドラマチックに盛り上げる作者の都合のために再度コロッと描写を引っく り返されて真中への想いを募らされ、東城の想いは読者をやきもきさせるための ほとんど単なるダシとして弄ばれる。それがまた繰り返されています。
河下先生、そんなの残酷ですよ!余りにひどい。東城は、 東城の想いは、ストーリーを揺さぶるためだけに何度叩き起こされ、翻弄されな ければいけないのですか?東城の心の平穏と、せめてこれ以上その価値を毀損さ れたくないと願う東城派の祈りは、何度踏みにじられなければならないのですか? 「東城の未来の幸せは約束されている」、河下先生は最終巻のオマケページでそ う書かれました。それはもちろんわかっています。信じていますよ、絶対そうな るであろうことは。それ自身は既に既定の事実です。でもそこに至る過程で、 またこんなにも辛い想いを東城に味わわせる必要なんてないじゃないですか 。「心の傷は徐々に癒えていき、特にこれと言った波乱もないまま、真中 とのことは『いい思い出』に変わっていき、平凡だけど誠実な新しい恋をして、 実らせる」で何がよくないんですか。それこそが、あの身を切られるように辛い 想いを何度も味わわされた東城に与えてやるべき、せめてもの行く末だったんじゃ ないですか?そんなささやかな願いが、どうしてこんな無残な形で裏切られてし まうんでしょうか…。悲しいです。ただひたすら悲しいです。
そりゃあ私はかつて(もう10年以上も前か…(笑)) 東城が余りにも短期間でスッ パリと真中への想いを断ち切る決断をしたことの、マンガ表現上のチグハグさを おちょくりましたよ?だけど、そのチョンボを解消するのに、「実はやっぱ り東城は真中への未練はそっくりそのまま残っていました!」とやっちゃったり したら、せめてもの慰めとして受け入れていた最後のまともさ「立ち直った東城 の気高さ・尊さ」までなかったことになってしまって、むしろ逆効果 じゃないですか!!そういうのを「本末転倒」と言うのです。一体何をやってい るんだか…。あの卒業式の東城の笑顔の裏に、真中への想いが昇華され ずにまだ残ったままだったなんて、東城が余りに針の筵過ぎてやり切れなさ過ぎ ます。
ただ同時に、今回の短期連載の話の持って行き方はほぼ見切りました。「始 めは真中と重ねて見てしまったけど、今は違う。中間は中間として見ている」と いう話にして、それによって真中との思い出にケリをつける、というのが落とし 所なのでしょう(その部分だけ取り出せば、まあ評価できる点もなくはないので すが…)。その結果として中間と恋仲になるのか、「中間のことはそういう目で は見られない」と告げて彼の将来にエールを送る締めくくり方になるのかはまだ どちらになるかわかりませんが(事前に出ていた予告アオリに「新たな恋」云々 という文句があったような気がするので、まあ前者になるんですかね…)。
なお、「東城が真中以外の男に心変わりをする所なんか読みた くない。それが男性読者の心理だ」とか「こんなの寝取られじゃないか」などと ほざく東城派がいるみたいですが、そんな愚劣な意見は当然論外です。そんな 奴ぁ、すぐ反論されているように、東城自身の幸せを願ってやれない、東城 派の風上にも置けないようなどサンピンですよ。そういう意見の持ち主の 本心を見通すのは簡単で、まず彼らにとっては「真中=自分」であって、東城が 真中を愛していたのは、「自分が」東城に愛されていた、東城と相思相愛だった、 ということなわけです。んで本編で結局真中は西野を選んでしまったけれど、そ れは自分の力ではどうしようもない不運な事故みたいなもので、「自分の」東城 への想いが冷めてしまったわけでは全然ない。だからそこから東城の心が真中以 外の男を向いてしまうと「自分が」東城に振られてしまうように感じてしまうわ けです。それが連中には不都合だからそういう妄言を垂れ流すのですね。そんな の、「西野が」好きなんじゃなくて、 「西野が、真中(=自分)とくっつくことが」好き、あるい は「西野が自分の思い通りに振舞ってくれることが」好き、 というだけで「自分の願望・欲望のため“だけ”に西野を傀儡としていいように 扱っている」雑魚西野派と五十歩百歩のウスノロです。私に言わせれば、そ んなボンクラ共は東城派西野派問わず十把一絡げのスカタン三下ですね。
たかすぃさん はそういったそこらへんの有象無象のヘボ西野派と違って、 「俺は西野が好きだ!真中(=俺)が西野と結ばれて嬉しい!」ということをス トレートに表明することに徹していて、「西野の方がキャラとして東城より優れ ていた」とか「だから西野が最終ヒロインとなったことには正当性や意義や価値 があるんだ」という類のこじつけは言わない方なので一目置いています。た だ、それほどの方であっても、ここで東城にまだ真中へのこんなに強い未練が拭 いがたく残っているということに対して、「それじゃせっかく最終盤の 東城が築き上げた尊さが台無しになってしまう」という拒否反応はまっ たく出てこないのですか。確かにこの方は東城に対しても十分以上の好意を持っ てくださってはいるのですが、それでもその関心の大半は西野にこそ向かってい て、東城のことは所詮他人事に過ぎないのですね…。こんな重大な事柄を、今度 の短期連載を盛り上げる題材として取り上げることしかしていないし、そのこと の問題点もまったく意識されてないことには失望されられました。
もうこうなったら、「次の機会」があったら今度こそ「東城ルート」の分岐 ストーリーを描いてくださるよう、盛大に要望を送りつけてやりましょう、東城 派の皆さん(笑)。と言っても、河下先生のツイッターに送るのは意味がないと 思います。河下先生のツイッターは本来現行連載の告知・宣伝目的なので、読者 からの要望の類はあんまり気に留めずに流してしまっていることでしょう。また、 実現のためには、その「場」を作る立場の編集者の力も重要ですが、作者のツイッ ターに送ったメッセージは編集者を素通りでまったく目に止まりませんから、そ ういう要望がどれくらいあるかというのが編集者に可視化されにくい。ただ単に 「言ったっきり」になってしまうだけでしょう。それを考えると、「ファンレター を送る」という地道な手が結局は最も効果が高いんだと思います。宛先は p.388 柱に書いてありますが
〒101-8050 東京都千代田区一ツ橋2-5-10 集英社 週刊少年ジャンプ編集部気付 河下水希先生
ですね。また、私が買った GIGA は電子版なので、アン ケートハガキは付いておらず、紙版に付いているかどうかもよくわからないので すが、もし付いているようだったら紙版を購入された方はアンケートハガキを送 るのも十分効果的なのではないかと思います。
冒頭の東城のモノローグでだいぶ救われた所があります。詳しくは後述。
冒頭のモノローグで、東城が卒業式の時点ではちゃんと真中のことを吹っ切 れていたという自覚があった、とわかって、第1 回で大いに文句をつけた不満がある程度軽減されました。別にずーっと引き ずっていた訳ではなくて、今回唐突に沸き上がってきた感情だったのですね。そ れならばまだ「ぶり返し」かどうかもはっきりしないわけで、第1回を読んでの 想定よりはだいぶマシな話になりました。(もちろん、「そんなことにはまった く動じない」方が本来あるべき姿で、そちらの方が遥かによかったですが…)
しかし2回続けて東城は走り去って逃げ出した状態で終わり…となっていて、 東城派としては逃げてばかりではなく東城にはもうちょっと強くなって欲しい。 次回は違った展開を望むところです。
発売日に買って読んではいたのですが、なかなか雑感を書ける時間が取れま せんでした。
結局、東城が中間古書店に通っていたのは、中間に真中の面影を求めて…と いうことになってしまって残念です。中間のことはあくまでついでであって、主 目的は「そこで気晴らしや創作のヒントとなる昔の文学作品を求めるため」であっ て欲しかったのですが。美鈴も懸念して、自分でも卑下してましたが、そうやっ て昔の思い出にいつまでもずるずると引きずられていて欲しくはなかったです。
そして、これまでの3回、東城は結局ずっと内罰的なままで、自分から何か を解決したり決断したりするような所がないまま、ずるずるうじうじし続けてい て、本編連載期間中でもアンチから批判されていた消極的な面が悪く出たままで 来てしまっています。うーん、結局「河下先生は東城というキャラに物語を 担わせようとするとそういう風にしか描けない」ということなんでしょう けど、その残念な所は全然進歩してないのですね…。前回と変わり映えしない締 めくくりになってしまいますが、東城には本編最終話の姿に地続きになるような、 前向きで図太さ(いい意味で)を備えたキャラに脱皮させて欲しかったです。東 城派としては。果たして次回最終回で、そういう東城は見られるのでしょうか。
ちょっと前にヤマカムさん
の所で感想記事が出ていたのですね。忙しくてその情報をキャッチするまで
手が回っていませんでした。第3回より前だったので、第2回までの内容に基づ
く話になっています。うーん、結論部の「if ストーリーが見たかった」という
所だけは同感ですが、主要部は上でこ
き下ろした通りの典型的な愚劣極まりないみみっちい考えに満ち
た低レベルな記事でした。(ついでに北大路についても述べておくと、
そもそも本気で中間に惹かれていたと見るのは的
外れだということを別にしても、本編中で最終回まだ真中に未練があるよう
に描かれてしまっていた(それ自体は気の毒)以上それを前提に考えるべきで、
この時点で中間に興味を示すような描写をされるのは冥界から死
体を引きずり出して
という扱いには別に当たらないでしょう)
ヤマカム記事の批判も出ていたという話だったので そちらも読んでみ たのですが、批判しているのが全然ピント外れなポイントで、結局東城「自身の」 ことを何も思いやっていないという点で、的外れであることにかけては五十歩百 歩です。明確な誤読もあり、申し訳ないけどヤマカム記事より低レベルかもしれ ません。
さて………上で触れた通り、事前の予想とはちょっと違う締めくくり方とな りましたが、それでも得られる読後感にはさして違いがない幕引きとなりました。 そして、結局東城は最後まで自分から積極的に動いて何かを決断したり解決 したりすることがなく、本編最終話での京都での再会での姿への兆しとなるよう な前向きな部分が見られないまま、内罰的で嘆いてばかりのキャラで終わってし まいました。そういうことになるんではないかと覚悟はしていましたが、 やはりがっくりです。
この番外編は、最後に中間が覚悟と決意を表明する所から逆算して 作られていますが、東城の描き方もその都合に合わせて決められたものですね。 つまり、東城の行動は常に中間との接触の結果として引き起こされる作りに なっており、東城はきつい言い方をすればただの「舞台装置」に近い受 身100%のキャラになってしまっています。そんな東城は別に見た くなかったんですよ、河下先生………[2023, 5/13] これはやは り、河下先生としてはもう東城について新たに描くべき事は残っていなかったた め、状況に受動的に反応する形でしか描けなかったんでしょうね。
結局、本編最終盤での東城の決意と腹の括り方を若干損なうような形の、不 本意な番外編だった、というのが総評です。あってもなくても大差ない、どちら かと言うと「なかった方がよかった」寄りの、残念さが先に立つ作品でした。ジャ ンプ GIGA はほとんど East Side Story のためだけに買っていたわけですが、 果たして 400円×4 = 1600円の元が取れる出来だったかというと、失望させられ る出来に終わりました。
[2023,5/21] そう言えば後になって、こんな ことも書かれてました。
私もぶっちゃけてしまうと、やり残した感が断然違うので初恋。の続編の方が描きたかったんですけど、知名度の差で叶いませんでした…
— 河下水希 (@m_momokuri) 2018年10月8日
それくらいだったら、やっぱりそもそも書く必要なかっ たんですよ、河下先生…。向こうから「描いてくれ」と要望があった んでしょ?だったら「その題材なら描く気は起きない」と丁重にお引き取り願え ばよかっただけじゃないですか…。
やはり、12年後に今度こそ「東城ルートの分岐編」を描いてください 、河下先生。ノーブラ騒動の前からの分岐がいいです(あるいは、西野の 逆告白の前というのもよい選択)。西野なんかにちょびっとでも価値を損なわれ たりしない、東城の想いが一から百まで存っっっっっっっっっっっっ っっっっ分に満たされる別ストーリーを、どうかお願いします。マジ で。
East Side Story について、ほぼ同じ感想があるのを見つけましたので引用
しておきます。(裏返せば
以降は「そうかあ!?」と思うけど)
#いちご100% EAST Side Story
— ションボ (@oshikkoboy) 2017年7月28日
読者的には美鈴の読み切りを読んでしまっている手前、東城の成長がみえて、欲を言えば最終話で描かれてる未来の東城の姿・振る舞いに直接繋がるような話を…と思ったんだけど、裏返せば、原作に障りのない正しい限定復活だったと言えなくもない。