第9話 勝った者と負けた者と

うう、また気が重い回だ…。総合評価 でも述べたように、この回のストーリーって、ヒドいと思うんですよねえ。

せっかくの、「燃えるダイヤモンド→果てしなき闘い」の最燃 BGM コンビネーション、前半最強の組み合わせ、な・ の・だ・が・・・・・・・

まず、涼の心情の描き方がむちゃくちゃ。涼はかなりのファザコンだから、 いずみが父親の写真をロケットに入れて持っている、なんてことを知ったら事 情を追求せずにはいられなくなるはず。なのに、対決の半ばになってよーやく そのことを思い出すってのはおかしくはありやせんか?

最後も、いずみには「あれは、私の父の写真よ(おいおい)」なんてはぐ らかされただけで、結局なぜ理事長が英彦の写真を持っていたのか詳しい事情 は全然わかってないのに、そこで追求を止めるなんて不自然すぎます。

対決の最中、突如として発想を飛躍させていずみの悪意と英彦を結び付け ていたけど、その推測も根拠薄弱だったし…。「理由は見当がつかないけれど」 じゃねえっつーの!

で、なぜかいずみにわざと負けちゃう。ここの所の決意 の描き方も不十分だし(というか、決意の描写がそもそも存在してない)、し かもそのあと布団ひっかぶって逃避してるだけ。

なのに後悔だけは一人前で、「でも、あたしには行く資格なんてない」な んてうじうじしてみせる涼。そんなに後悔するなら、なぜ最初からわざと負け たりしたの?って誰でも思いますよねえ。涼の心の動きが全然説得力あるもの として視聴者に伝わって来ませんでした。

伝わって来たのはいずみの心情の方で、そう考えると 第8話に続いてこの第9話も、やっぱり主人公はいずみなんです。

ちなみに私は、こーいう風に「プリ9」と正面から向かい合わなくて済む ときには、

「涼がわざと負けた」というのは高杉の錯覚だ
と思うことにしてます(笑)。そのことを作中で明言してるのは高杉のセリフ (球速 100 キロ云々)だけですから(ヒカルや加奈子、それに木戸がそのこ とに全然気づいてない様子なのはかなり不自然ですし)。

それだと、布団の中での涼の後悔っぷりが大げさすぎる、という矛盾が生 じる、ですか?えーと、それは錯覚です。ってゆーか、そこに気づいてはいけ ません。気づかなかったフリをして下さい(笑)。それほどまでにこの「情け ない涼の姿」は私にとって受け入れがたいものなのです。お、俺の涼はそんな キャラじゃないやい!(←バカ)

ちなみに、マンガ版ではこの辺の矛盾がうまく緩和されてて感心しました が、それでも完全に解消し切れた訳ではありません。やはり、涼がわざといず みに負けることを選択した理由が、説得力に欠けていると思います。

褒める点もないではない

愚痴ってばかりでもしかたありません。せっかくの偉大な作品をけなすだ けでは罰が当たりますから、褒めるべき点もちゃんと指摘しておきましょう。 この回の見所はズバリ!!榊原良子さんの絶妙の芝居です。

理事長の「お願い、解散だけは見逃して…そう頼み込むとでも思った?」 というセリフ、聞き逃がしてませんか?前半の、今にも消え入りそうな弱々し い声と、後半の、娘に対する誇りと苦痛がない混ぜになったセリフ回し。プロ としての演技を長年追求して来た筋金入りのベテランのみが発揮できる、卓越 した演技力の結晶に触れられる喜びがあるから、アニメファンはやめられませ んね。

ツッコミシリーズ

今回も行きます。ツッコミシリーズ。メインの感想がシリアスな批判になっ ちゃったから、できるだけ深刻にならないよう、軽く行きますね。

※注
最燃】《読み: さいねん(?)》そんな言葉はありません。
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井汲 景太 <ikumikeita@jcom.home.ne.jp.NOSPAM.>(迷惑メールお断り)
最終更新日: 2000年4月22日