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ガロア理論 数学

ガロア群が可解である方程式の解き方・その5

\(\DeclareMathOperator{\Gal}{Gal}\)
今回は「その3」で提示した2つ目の疑問を解決する。下位の群 \(H\) で不変な多項式 \(\psi\) の値を求めるとき、\(\theta_{1}, \theta_{2}, \dotsc\) に由来する \(p\) 乗根が \(\sqrt[p]{2}\) と \(\sqrt[p]{3}\)、のように独立した \(p\) 乗根になってしまったりしないのはなぜか?という話だった。

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ガロア群が可解である方程式の解き方・その4

\(\newcommand{\Q}{\mathbb{Q}} \newcommand{\R}{\mathbb{R}} \DeclareMathOperator{\Gal}{Gal}\)
置換群としての Galois 群が可解な場合に、実際の解をべき根で求めていく解法について、これまでの説明の要点をおさらいしておくと、
\begin{gather}
\label{eq:51-1}
\text{Galois 群} = G_{0} \supset G_{1} \supset \dots \supset G_{r} =
\{e\} \\
G_{i} \rhd G_{i+1}, \quad \frac{\lvert G_{i} \rvert}{\rvert G_{i+1} \rvert}
\text{ は素数} \notag
\end{gather}
となる組成列を、そのメンバー \(G_{0}, \dots, G_{r}\) の要素がすべて既知な形で作っておき、隣り合う各々の群について、低位の群で対称な \(\psi(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n})\) の値を求めることを、\(\theta(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n})\) を構成して上位の群で対称となる多項式の値を求めることに帰着する、ということの繰り返しだった。

Galois 理論の基本定理から、\eqref{eq:51-1}の部分群列に対応する中間体の拡大列が存在する。
\begin{gather}
\label{eq:51-2}
\Q = K_{0} \subset K_{1} \subset \dots \subset K_{r} = \Q(\alpha_{1},
\dots, \alpha_{n}) \\
\text{$K_{i+1}$ は $K_{i}$ の素数次巡回拡大} \notag
\end{gather}
その3」で書いた問題(のひとつ)は、\(\theta\) を構成する際にいろいろな素数 \(p\) に対する \(1\) の原始 \(p\) 乗根 \(\zeta\) が必要になるため、\(2\) 以外の素数が \(p\) として出現する場合は\eqref{eq:51-2}の体にさらに \(\zeta\) を添加した拡大体の列が出現することになって、対応する Galois 群も\eqref{eq:51-1}の置換群とは異なるものになってしまうのではないか、ということだった。

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ガロア群が可解である方程式の解き方・補足

\(\newcommand{\Q}{\mathbb{Q}}\)
先日「その1」に追記した「『多項式としての』対称性が必要で『解を代入した値の』対称性では不十分」ということの意味がちょっとわかりにくいと思うので補足しておく。