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ガロア理論 数学

ガロア群が可解である方程式の解き方・その5

\(\DeclareMathOperator{\Gal}{Gal}\)
今回は「その3」で提示した2つ目の疑問を解決する。下位の群 \(H\) で不変な多項式 \(\psi\) の値を求めるとき、\(\theta_{1}, \theta_{2}, \dotsc\) に由来する \(p\) 乗根が \(\sqrt[p]{2}\) と \(\sqrt[p]{3}\)、のように独立した \(p\) 乗根になってしまったりしないのはなぜか?という話だった。

■説明

まずは、\(\theta \ne 0\) となるような \(\psi\) をひとつとり、そのときの \(\theta\) を \(\Theta\) とする。\(\sigma\) によって \(\Theta\) は
\begin{equation}
\label{eq:54-1}
\Theta \mapsto \zeta^{-1} \Theta
\end{equation}
とうつる。

次に、今度は \(\psi\) は \(H\) で対称な任意の多項式とする。このとき、\(\theta_{1}, \theta_{2}, \dots, \theta_{p-1}\) は \(\sigma\) で
\begin{align*}
\theta_{1} & \mapsto \zeta^{-1} \theta_{1} \\
\theta_{2} & \mapsto \zeta^{-2} \theta_{2} \\
\vdots \\
\theta_{p-1} & \mapsto \zeta^{1} \theta_{p-1}
\end{align*}
のようにうつる。したがって、\(\sigma\) に対して \(\theta_{k}\) と同じ応答を示すものとして、\(\Theta^{k}\) が取れるということだ。すなわち、どちらも \(\sigma\) を作用させると \(\zeta^{-k}\) 倍になる(\(\because \eqref{eq:54-1}\))。

と、いうことはだ。(またこのフレーズなのか…)

それらの比をとった
\begin{equation}
\label{eq:54-2}
\frac{\theta_{k}}{\Theta^{k}}
\end{equation}
は \(\sigma\) に対して不変な有理式になる。ということは、\eqref{eq:54-2}はさらに \(G\) の置換すべてに対して不変ということだから、\(p\) 乗根を使わずに値が求まる式である(※ 解の多項式ではなく有理式の形になっているが、\(\text{分母} \ne 0\) なのでこれまでの手順で値は求まる。最上位の群が \(S_{n}\) ならば当然だし、\(S_{n}\) でない Galois 群だとしても、\(V\) のみで表す形にしていつも通り「分母の有理化」によって \(V\) の多項式に書き直せば、Galois 群対称であることから最終的には \(V\) が消えて具体的な値が求まる)。

そこで、\eqref{eq:54-2}の値を \(a_{k}\) とおけば
\[ \theta_{k} = a_{k} \Theta^{k} \quad (k=1,\dots, p-1) \]
だから
\begin{align*}
\psi &= \frac{\theta_{1} + \theta_{2} + \dots + \theta_{p-1} +\theta_{p}}{p} \\
&= \frac{a_{1} \Theta^{1} + a_{2} \Theta^{2} + \dots + a_{p-1} \Theta^{p-1} + \theta_{p}}{p}
\end{align*}
である。\(a_{1}, \dots, a_{p-1}\) および \(\theta_{p}\) は \(p\) 乗根を使わずに表される数であり、\(\Theta\) は \(\sqrt[p]{A}\) の形で表される数だ。よってこの式より、どの \(\psi\) も共通の \(p\) 乗根 \(\sqrt[p]{A}\) だけを使って表される値を持つ。\(\square\)

発想としては、「すべての交代式は差積と対称式の積で表される」ことの証明を拡張しただけだ。要するに「同じ変換性を示すもの同士の比をとれば上位の対称性を持つ式になるから、代表をひとつ決めておけば残りはすべてその代表を使うだけで表せる」ということである。恥ずかしながらこの発想はかなり後になってからでないと出てこなかったのだが、当然もっと自然に思いついて然るべきだった。

上の議論にあと付け加えるべきことがあるとしたら、\(\Theta \ne 0\) となるような \(\psi\) が本当に存在するかどうかということだろう。サラッと「\(\theta \ne 0\) となるような \(\psi\) をひとつとり」と書いてしまったが、もしもそんな \(\psi\) が存在しなかったら困ったことになる。

これは、「ガロア理論入門ノート」の補題32の証明を真似て、「\(\sigma^{k}(\psi) \quad (k=0,1,\dots,p-1)\) の1次結合が \(H\) で不変な任意の \(\psi\) に対して \(0\) になるのは、1次結合の係数がすべて \(0\) だった時だけ」ということを示してもいいが、次のような証明も可能である。やや長いが、自己満足のため(笑)公開しておく。

やはり、煩雑さを避けるため \(p=5\) として証明する。まず、たとえ \(\theta_{1}\) が常に \(0\) になったとしても、たとえば \(\theta_{3} \ne 0\) であるような \(\psi\) が存在すれば \(\Theta \ne 0\) であるような \(\Theta\) を作る上では問題はない。なぜならば、\(\zeta, \zeta^{2}, \zeta^{3}, \zeta^{4}\) はどれも \(1\) の原始 \(5\) 乗根だから、\(\zeta^{3}\) を改めて \(\zeta\) と置き直せば、これまで \(\theta_{3}\) と書いていたものが新しく \(\theta_{1}\) と呼ばれるようになるからだ。その新しい \(\theta_{1}\) を \(\Theta\) とおけば、上の議論はそのまま成立する。

したがって、ちゃんと考えなければならないのは \(\theta_{1}, \dots, \theta_{4}\) がすべて \(0\) になってしまう場合だけである。そこで、\(H\) 対称な任意の \(\psi\) に対して
\begin{equation}
\label{eq:54-3}
\theta_{1}=\theta_{2}=\theta_{3}=\theta_{4}=0
\end{equation}
になるとして矛盾を導こう。\(\theta_{1}\)〜\(\theta_{5}\) の定義から
\begin{align*}
\psi_{0} &= \frac{\theta_{1} + \theta_{2} + \theta_{3} + \theta_{4} +
\theta_{5}}{5} \\
\psi_{1} &= \frac{\zeta^{-1}\theta_{1} + \zeta^{-2}\theta_{2} +
\zeta^{-3}\theta_{3} + \zeta^{-4}\theta_{4} + \theta_{5}}{5} \\
\psi_{2} &= \frac{\zeta^{-2}\theta_{1} + \zeta^{-4}\theta_{2} +
\zeta^{-6}\theta_{3} + \zeta^{-8}\theta_{4} + \theta_{5}}{5} \\
\psi_{3} &= \frac{\zeta^{-3}\theta_{1} + \zeta^{-6}\theta_{2} +
\zeta^{-9}\theta_{3} + \zeta^{-12}\theta_{4} + \theta_{5}}{5} \\
\psi_{4} &= \frac{\zeta^{-4}\theta_{1} + \zeta^{-8}\theta_{2} +
\zeta^{-12}\theta_{3} + \zeta^{-16}\theta_{4} + \theta_{5}}{5}
\end{align*}
なので、\eqref{eq:54-3}のとき
\[ \psi_{0} = \psi_{1} = \psi_{2} = \psi_{3} = \psi_{4} \quad \biggl( = \frac{\theta_{5}}{5} \biggr) \]
でなければならない。よって、
\begin{equation}
\label{eq:54-4}
\psi_{0} \ne \psi_{1}
\end{equation}
であるような \(\psi\) が存在すれば矛盾が出て証明が終わる。すなわち、\(H\) で不変で、\(\sigma\) では不変でないような解の多項式 \(\psi(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n})\) の例を作ればよい。

\(H\) に対応する \(V_{k}\) の全体が \(V_{1}, \dots, V_{m}\) だとして、これらを根に持つ多項式を
\[ h(x) = (x-V_{1}) \dotsm (x-V_{m}) \]
とおく。

\(\sigma\) による \(V_{1}, \dots, V_{m}\) のうつり先を \(V_{\tilde{1}}, \dots, V_{\tilde{m}}\) とすると、これらは \(\sigma H\) に対応する \(V_{k}\) の全体で、これらと \(V_{1}, \dots, V_{m}\) の間に共通の値はない(\(\because H \cap \sigma H = \emptyset\))。よって
\[ \tilde{h}(x) = (x-V_{\tilde{1}}) \dotsm (x-V_{\tilde{m}}) \]
は \(h(x)\) と異なる多項式である。

したがって整数 \(s\) を適切に選べば \(h(s) \ne \tilde{h}(s)\) となるから、\(h(s)\) が\eqref{eq:54-4}をみたす \(\psi(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n})\) の例である(\(\because\) \(h(x)\) の定義より、任意の整数 \(s\) に対し \(h(s)\) は \(H\) 対称な多項式(\(\alpha_{i}\) の)になり、その \(\sigma\) によるうつり先は \(\tilde{h}(s)\) になる)。\(\square\)

■第2の説明

上の話とは違った観点の議論も紹介しておく。\(V\) の最小多項式の因数分解を進めていく以前の話では、\(\psi\) として採用するのは \(H\) 対称な多項式 \(h(x)\) の「係数」だった。しかし、「\(\psi\) から \(\theta\) を作り、さらに \(\theta^{p}\) を作ると \(G\) 対称になっている」という関係は、「\(\psi\) が解 \(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n}\) の多項式として置換群 \(H\) で不変になっている」ということだけで成立していた。

ならば。

\(\psi\) として、多項式 \(h(x)\) 「自身」を採用しても構わないはずである。ここで、\(h(x)\) 中の不定元 \(x\) は不定元のまま残しておく。つまり \(h(x)\) を解 \(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n}\) と \(x\) の \(n+1\) 変数多項式と見て、\(\psi_{0}, \dots, \psi_{p-1}\) や
\begin{equation}
\label{eq:51-1}
\theta = \psi_{0} + \zeta \psi_{1} + \dots + \zeta^{p-1} \psi_{p-1}
\end{equation}
も同じく \(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n}\) と \(x\) の \(n+1\) 変数多項式と見るのである。「そんなことをしたら \(\theta^{p}\) を求める手順がうまく行かなくて破綻するんじゃないか?」と思う方もいるだろう。確かめてみよう。

\(\psi_{k}\) や \(\theta\), \(\theta^{p}\) が \(x\) という不定元を含んでいても、その \(x^{0}, x^{1}, x^{2}, \dots\) の係数は各々 \(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n}\) の多項式になっているから、それらに置換群を作用させることは問題なくできる。すると \(\sigma\) を作用させることで \(\psi_{k}\) が \(\psi_{k+1}\) にうつったり、\(\theta\) が \(\zeta^{-1}\theta\) にうつったりすることは、\(x\) を含んだ形の式であってもそのままなりたつ。ということは、\(\theta^{p}\) が置換群 \(G\) に対し不変ということもそのままなりたつ。すなわち、\(\theta^{p}\) を \(x\) の多項式と見た場合、その係数は \(G\) で対称な \(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n}\) の多項式になっている。

この「\(x\) の多項式としての係数」として現れた \(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n}\) の多項式はこれまで扱ってきた普通の(不定元 \(x\) を含まない)\(n\) 変数多項式だから、それが \(G\) で対称ということは、その値はこれまでの手法で \(G\) に対応する中間体 \(K\)(あるいは \(K(\zeta)\)。以後適切な方を \(\tilde{K}\) と書く)の数として具体的に求まる、ということだ。つまり \(\alpha_{1}, \dots, \alpha_{n}\) を \(V\) で表した式を代入し、\(K\) 上の \(V\) の最小多項式 \(g(x)\) を利用して次数下げをしていけば、\(V\) が打ち消し合って \(\tilde{K}\) の数として求まる。

このことが、\(\theta^{p}\) の \(x^{0}, x^{1}, \dots\) のすべての係数に対してなりたつので、結局いちいちそうやって係数ごとにバラして考えなくてもよくなる。つまり、「\(x\) の多項式 \(\theta^{p}\)」の形のまま \(\alpha_{k}\) を \(V\) で表した式を代入して整理していけば、最終的には \(V\) は打ち消し合って文字としては \(x\) のみが残る、ということになる。これは \(\theta^{p}\) は不定元 \(x\) の \(\tilde{K}\) 係数多項式として具体的に求まる、ということだ。そうすると、その \(p\) 乗根をとれば、\(\theta\) が \(x\) の多項式として具体的に求まることになる。

ここで、次のことが真っ先に気になるだろう。「多項式の \(p\) 乗根は一般に多項式にはなってくれないから、そこで \(\theta\) が \(x\) の多項式として求まる保証はないんじゃないか?」

しかし、これは大丈夫なのである。\eqref{eq:51-1}で \(\theta\) を定義したとき、これは元々「\(x\) の多項式」だったことを思い出そう。このことを強調するために、\(\theta\) を \(\theta(x)\) と書いておく。すると起こっている現象は「多項式 \(\theta(x)\) の \(p\) 乗 \((\theta(x))^{p}\) が、\(\tilde{K}\) 係数多項式になっている」ということだ。元々の \(\theta(x)\) が多項式だった以上、\((\theta(x))^{p}\) が求まった後にその \(p\) 乗根をとった結果もちゃんと多項式になることは保証済みである。

(実際、「その3」で具体例として持ち出した \(4\) 次方程式 \(x^{4}-5x^{2}+6=0\) で、
\[ h(x) = x^{2} – 2(2\alpha_{3}+3\alpha_{4})x +
(2\alpha_{3}+3\alpha_{4})^{2}-(\alpha_{1}-\alpha_{2})^{2} \]
自身を \(\psi(\alpha_{1}, \alpha_{2}, \alpha_{3}, \alpha_{4}, x)\) と見れば
\begin{align*}
\psi_{0} &= x^{2} – 2(2\alpha_{3}+3\alpha_{4})x +
(2\alpha_{3}+3\alpha_{4})^{2}-(\alpha_{1}-\alpha_{2})^{2} \\
\psi_{1} &= x^{2} – 2(2\alpha_{4}+3\alpha_{3})x +
(2\alpha_{4}+3\alpha_{3})^{2}-(\alpha_{1}-\alpha_{2})^{2}
\end{align*}
であり、\(\theta_{1}(x) = \psi_{0}(x)-\psi_{1}(x)\), \(\theta_{2}(x) = \psi_{0}(x) + \psi_{1}(x)\) とすれば \((\theta_{1}(x))^{2}\), \(\theta_{2}(x)\) の係数はいずれも \(W\) 対称になって \(V\) の式を代入すれば…とやると思惑通り \(V\) が消えて既知の数のみで表される多項式(不定元は \(x\))になることは確認済み。興味のある方は確かめてみて頂きたい)

ではここをもうちょっと具体的に計算してみよう。\(\theta(x)\) の最高次の係数を \(A\) とおいて、\(\theta(x) = A m(x)\) とする。\(m(x)\) は最高次の係数が \(1\) の多項式である(我々の話の流れでは \(\theta(x)\) がゼロ多項式の場合は考えなくてよいので、このようにおけると仮定して問題はない)。すると \((\theta(x))^{p} = A^{p}(m(x))^{p}\) が \(\tilde{K}\) 係数多項式になるから、まず右辺最高次の係数を見ることにより \(A^{p} \ne 0\) が \(\tilde{K}\) の数であることがわかる。よって \((m(x))^{p}\) は \(\tilde{K}\) 係数多項式だが、ここからさらに \(m(x)\) 自身も \(\tilde{K}\) 係数多項式であるとわかる(\(m(x)=x^{l} + sx^{l-1} + tx^{l-2} + \dots\) と降べきの形で書いておき、\((m(x))^{p}\) の係数を高次から順に見て行くと、\(s, t, \dots\) と次数が高い順に \(\tilde{K}\) の数であることが出てくる)。よって
\[ \theta(x) = \underbrace{A}_{\text{$\tilde{K}$の数の$p$乗根}} \times
\underbrace{m(x)}_{\text{$\tilde{K}$係数多項式}} \]
となっている。この形から、\(\theta(x)\) に現れる \(p\) 乗根はすべて \(A\) のみに集約されており、「\(\sqrt[p]{2}\) と \(\sqrt[p]{3}\)」のような独立した \(p\) 乗根が無秩序に出現することはない、ということが明確にわかるだろう。

なお、この話ではっきりするのは \(\theta_{1}(x), \theta_{2}(x), \dots, \theta_{p-1}(x)\) の「個々の」多項式の中では \(1\) 種類の \(p\) 乗根しか出てこない、ということに留まっていて、「別々の」\(\theta_{k}(x)\) どうしの間での \(p\) 乗根までもがそうなる、という証明にはなっていない。\(A\) は各 \(\theta_{k}(x)\) ごとに決まるから、それらがすべて「\(\tilde{K}\) に \(p\) 乗根を \(1\) 個添加しただけの体に含まれる」ようになっていることまで示したわけではない、という点に注意。

■他の考え方

考え方としては面白くないが、「Galois 理論がそうなるべくできているから」という見方もありうる。以前「ガロア理論入門ノート」の定理33(1) について述べたことがあるが、次のことがなりたっていた。

\(K\) が \(1\) の原始 \(n\) 乗根 \(\zeta\) を含む体で、\(L\) が \(K\) の \(n\) 次巡回拡大であるとする。
\[ \Gal(L/K) = \{e, \sigma, \sigma^{2}, \dots, \sigma^{n-1}\} \]
ここで、\(\psi \in L\) に対して
\[ \theta = \psi + \zeta \sigma(\psi) + \zeta^{2} \sigma^{2}(\psi) + \dots + \zeta^{n-1} \sigma^{n-1}(\psi) \]
とおくと、\(\theta^{n} \in K\)、つまり \(\theta\) は \(K\) の数の \(n\) 乗根。そして \(\theta \ne 0\) となる \(\psi \in L\) が必ず存在し、そのような \(\psi\) に対して \(L=K(\theta)\)。ここで、一般には \(\theta \ne 0\) となる \(\psi \in L\) は何通りもあるはずで、\(\theta\) の値は一意に決まらないが、可能な \(\theta\) の値のどれを使っても \(K(\theta)\) という体は一意に決まって \(L\) になる。つまり、\(n\) 乗根 \(\theta\) の値として出現するものは「\(\sqrt[n]{2}\) と \(\sqrt[n]{3}\)」のようになることはなく、「\(\sqrt[n]{2}\) と \(2\sqrt[n]{2}\)」のように、\(K(\theta)\) が一定の体になるようなものに限られるようになっている。

置換群としての Galois 群の部分群 \(G\), \(H\) が
\[ G \vartriangleright H, \frac{\lvert G \rvert}{\lvert H \rvert} \text{ は
素数$p$} \]
をみたしているとき、それぞれに対応する中間体を \(K\), \(L\) とすれば、前回の記事の後半で確かめたように、\(L(\zeta)\) は \(K(\zeta)\) の \(p\) 次巡回拡大(\(\zeta\) は \(1\) の原始 \(p\) 乗根)。よって上の関係を \(K(\zeta)\), \(L(\zeta)\) に対して適用すれば、\(L(\zeta)\) は \(K(\zeta)\) に \(K(\zeta)\) の数の \(p\) 乗根 \(\sqrt[p]{A}\) を \(1\) 個添加するだけで得られ、\(L(\zeta)\) の数 \(\theta\), \(\psi\) はすべて \(K\) の数と \(\zeta\) とあるひとつの \(p\) 乗根 \(\sqrt[p]{A}\) だけで表せることになる。

このように、「理論によってどんな値が可能かは予め統御されており、そこから外れた値は出ないようになっている」という観方がいちばん素朴かもしれない。

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