TITLE:「私を月まで連れてって!!」他の「超加速」のルーツ
DATE, TIME:1997/11/18 23:19:37
Name:SINJIRO
「ドラゴンへの道!!」で小竜姫が使って以来、「超神合体ヨコシマン!!」の
韋駄天、「香港編」のメドーサと続き、「私を月に連れてって!!」では美神に
横島まで使った「超加速」。いわずと知れた8マン、サイボーグ009の得意技だ。
描写の仕方を見ると、8マンは第三者の視線による「目にも留まらぬ早業」なの
に対し、009のほうは当事者の視線、「周りがすべてスローに見える」という
違いがある。GS美神の描写は後者のほうを採用している。この「加速」は結構
いろんな人が使っていて、手元に有るものでも、手塚治虫「処刑は3時に終わった」
、筒井康隆の商業誌デビュー作「お助け」、藤子F不二雄にも「倍速」という加
速ネタの短編がある。
ではそのルーツはというと、「SFの父」と言われるH・G・ウェルズの「新加
速剤(The New Accelerator)」だろう。ある科学者が、無気力な現代人を時代に
適応させるために万能神経刺激剤を開発していたところ、偶然作り上げたのが、
「新加速剤」である。これを服用すると常人の数千倍のスピードで活動できるよ
うになる。すべてが静止したように見え、周りが静かになり、雨だれのような音
が聞こえる。走り出すと空気摩擦で服が焦げ出す、と言う描写もある。
そしてこれを売り出そうと考えているのである。その結果は使う人次第である、と。
なお、主人公が科学者の友人の作家、と言うところを見ると、締め切りを控えた
ウェルズ先生が、「ああ、こんな薬が有ればなぁ」と言う発想で生み出した、
願望小説じゃなかろうか(笑い)。しかし、タイムマシンや、透明人間だけじゃ
なく、1903年にこんな話を書いたウェルズって、改めてすごいと思いません?
明治36年だもんなぁ。
Forward - 次のアーティクルを読む
Back - 前のアーティクルを読む
Title - タイトルに戻る