カテゴリー
ガロア理論 数学

数式処理ソフトによるガロア群の算出と、べき根を用いた厳密解の表現 その16

\(\newcommand{\Q}{\mathbb{Q}}\renewcommand{\dotsc}{\cdots}\DeclareMathOperator{\Res}{Res}\DeclareMathOperator{\Gal}{Gal}\)最近の記事を書いてきた知見から、従来の原始元 \(V\) を使う方法での計算について、計算効率を上げられる箇所が3ヵ所ほどあることに気づきましたので、紹介します。

カテゴリー
ガロア理論 数学

新・方程式のガロア群の求め方 & ガロア群が可解である方程式の解き方 その4

\(\newcommand{\Q}{\mathbb{Q}}\renewcommand{\dotsc}{\cdots}\DeclareMathOperator{\Res}{Res}\DeclareMathOperator{\Gal}{Gal}\)先日の、(私のこれまでの記事の中では)ガロア群の新しい求め方として公開した方法の改良について説明する。

先日書いたやり方では、方程式 \(f(x)=0\) の解 \(\alpha\) 1個だけを \(\Q\) に添加した \(\Q(\alpha)\) では \(f(x)\) の最小分解体にならなくて、他の解 \(\beta\) を添加した \(\Q(\alpha, \beta)\) で \(f(x)\) の \(2\) 次以上の因子を既約分解しようとする際、かなり計算が大変になる道筋を辿っていた。すなわち、\(u=\alpha+ c\beta\) が \(\Q(\alpha, \beta)\) を単拡大で作れる原始元となるような整数 \(c\) を見つけ、その \(u\) の \(\Q\) 上の最小多項式を求め、\(\alpha\), \(\beta\) を \(u\) の \(\Q\) 係数多項式として表し、\(f(x)\) の因子を \(\Q(u)\) 係数の多項式として表して \(\Q(u)\) 係数の範囲での因数分解を行っていた。

しかしこの場合、\(u\) の \(\Q\) 上の最小多項式も、\(\alpha\), \(\beta\) を \(u\) の \(\Q\) 係数多項式として表した式も、\(f(x)\) の因子を \(\Q(u)\) 係数の多項式として表した式も、\(u\) の多項式としてかなり次数が高くなり、それだけならまだしもその係数にかなり桁数の大きな数が出てきてしまうという問題があった。

そこで、今度はちょっと別の道筋を採り、原始元 \(u\) を持ち出さずにあくまで \(\alpha\), \(\beta\) の文字式として計算を進めるやり方を書いてみる。以前の記事でこのやり方を採らなかったのは、そのとき想定していたやり方だと maxima での計算に手間がかかってしまうのと(つまり、maxima での実装を漠然と想定していた)、求まったガロア群が可解群だった場合に実際にべき根を使って解を求めるやり方の見通しが立っていなかったからだが、前者についてはやや緩和でき、後者についても考察を続けて解決できたのでこうやって紹介することにする。

以下、\(f(x)=x^{6}-2\) を題材に取る。