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Möbius 反転公式の直感的理解

つい先日、「Möbius の反転公式」が実は単に集合の包除関係を素直に表しただけの式でしかない、ということを理解した。「なんだ、わざわざ Möbius 関数なんてものを定義して和の形に書いたりするのはややオーバーで、内実はそこまでしなくても素朴に理解できるような単純な話だったのか…!」と恥じ入りながら検索してみると、どうもそういう観点から説明しているものが見当たらない。いや、やはり検索の上位でヒットした所をいくつか見ただけなので、下位の方はそうでもない、というだけの話かもしれないけれど、とにかく目についた範囲内ではどれも「逆変換の式に代入してみると Möbius 関数の性質によって Kronecker delta が現れ期待通りの式が出てきてくれる」という流れだった。

その示し方が悪いとは言わない。紙数を使わずに簡潔に示す上ではそれが最善だろう。また、和を使って畳み込みの形に書いておくことで、畳み込みを演算とする群構造が現れて、そこで基本関数の間にこんな関係が成り立つ、といった話に発展させられるということはもちろん説明する価値がある面白い話だ。ただ、そういったことは、まず「やってるのは要するにこういう単純な話だ」ということをちゃんと理解した上で、「その上にこういう綺麗な構造を載せることができる」という理解の仕方をすべきではないだろうか。その両者がセットでないと、せっかくの「抽象化のご利益」がそこにある、ということもはっきりと意識できなくなってしまうだろう。また、上述のような、逆変換の式を天下り式に与えた証明だと、「いったいどうやってこの式は出てきたのか?また、Möbius 関数の謎めいた定義はどうやって出てきたのか?」という点がさっぱり見えてこない。

そこで、(例によって主目的は自己満足だが、)反転公式が単に集合の包除関係を表した式に過ぎない、ということの説明をここで公開しておこうと思う。ご覧になった方の参考になれば幸い。

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基本平行四辺形格子の面積

「\(xy\) 平面上で、4 つの頂点がすべて格子点の平行四辺形が、内部にも周上にも格子点を持たなければ面積が \(1\) になる」ことを示す。平行四辺形の面積公式 \(\lvert ad-bc \rvert\) は使わない。