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\newcommand{\field}[1]{\mathbb{#1}}
\newcommand{\Q}{\field{Q}}
\newcommand{\zettaiti}[1]{\lvert #1 \rvert}
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この blog でこれまで読み進めてきたガロア理論の解説だと、山場の「方程式が代数的に解けるための条件は、ガロア群が可解であること」の部分の証明が、数学的帰納法を利用したかなり大掛かりなものになっていて、最初にガロアが考えていたときに、この巨大な構造を一から見抜いたということはなさそうに思える。当時の彼はおそらくもっと手の着けやすい所を突破口にしていったはずなのだが、その道筋は一体どうなっていたんだろう…?という疑問に応えてくれたのが、(私の読んだ範囲では)「数学ガール」のガロア理論編だった。
そこで書かれていた次の引用部が、私の疑問にズバリ応えてくれるものだった。(下線、傍点といった装飾は引用にあたり省略した)
つまり——
ガロア群が縮小するように方程式の係数体に冪根を添加できるなら、その縮小したガロア群が作り出す剰余群の位数は素数になる。
——ということだ。これは逆も成り立つ。つまり——
剰余群の位数が素数になるような正規部分群が存在するならば、ガロア群が縮小するように方程式の係数体に冪根を添加できる。
——ということだ。
このようなミクロの関係を認識したことで、「その繰り返しが最後まで実現できる条件」に自然に到達することができた、というのは非常に納得できる話だ。この部分をきちんと取り出して光を当ててくださった、「数学ガール」著者の結城浩さんに感謝。