\(\DeclareMathOperator{\Gal}{Gal}\)
前回の \(\text{(I)} \implies \text{(IV)}\) の証明の step.1 で、群論の予備知識を借用した所、方程式論とガロア理論の知識で解決できることがわかった。と言ってもスッキリした議論にはならなかったので証明としては「群論の予備知識をまず習得して…」という流れの方が優れていると思うが、一応紹介しておく。(もちろん、主な動機は自己満足(笑))
【 証明 】
\(f(x)=0\) が代数的に解けるので、\(K\) にどんどんべき根を添加していくと \(L\) を含む体が作れる。
\[ K=K_{0} \subset K_{1} \subset \dots \subset K_{r} \supset L \]
ここで、\(\sqrt[n]{a}\) を添加するステップをすべて次の2段階のステップで置き換えてみる。
■ \(1\) の原始 \(n\) 乗根を添加する
■ \(a\) と \(K\) 上共役なすべての数 \(a’, a”, \dotsc\) に対して、
\(\sqrt[n]{a}, \sqrt[n]{a’}, \sqrt[n]{a”}, \dotsc\) を添加する
このようにして作られる体を \(M_{0}=K, M_{1}, M_{2}, \dotsc\) とすると各 \(i\) に対して \(K_{i} \subset M_{2i}\) となるから、最終的にはやはり \(L\) を含む体 \(M_{2r} \supset L\) が作られる。
さらに、作り方から各 \(M_{i}\) はすべて \(K\) の有限次正規拡大である。また、各 \(i\) に対して \(M_{i+1}\) は \(M_{i}\) のアーベル拡大である。
そこで、\(M_{1}, M_{2}, \dotsc\) が初めて \(L\) を含む直前の状態に着目する。
\[ M_{i} \not\supset L, \quad M_{i+1} \supset L \]
このときの \(M_{i}\) と \(L\) の共通部を \(K’=M_{i} \cap L\) とおけば、\(K’\) も \(K\) の有限次正規拡大で、\(K\) と \(L\) の中間体になるから、ガロア理論の基本定理によって、\(N=\Gal(L/K’)\) は \(G=\Gal(L/K)\) の正規部分群。また \(M_{i}\) が \(L\) を含んでいなかったので \(K’ \subsetneq L\) であり、よって \(N\) は単位群ではない。
そして
\begin{equation}
\label{eq:33-1}
\Gal(L/K’) \cong \Gal(LM_{i}/M_{i})
\end{equation}
であるが、\(LM_{i} \subset M_{i+1}\) に注意すれば、\eqref{eq:33-1}の右辺 \(\Gal(LM_{i}/M_{i})\) は \(\Gal(M_{i+1}/M_{i})\) の商群と同型。そして \(\Gal(M_{i+1}/M_{i})\) は可換群だったので、結局
\[ N = \Gal(L/K’) \cong \Gal(LM_{i}/M_{i}) \cong \text{《可換群 $\Gal(M_{i+1}/M_{i})$ の商群》} \]
も可換群となる。
よって、\(G\) は単位群でない可換な正規部分群 \(N\) を持つ。\(\square\)
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