ヤマトの真田と言えば「こんなこともあろうかと」というセリフが代名詞的フ レーズとして広まっています。また、そのセリフが「第1作 TV 版最終話で、デ スラー砲を反射してデスラー艦を破壊・撃退した空間磁力メッキを古代たちに解 説するときのフレーズ」という誤解・思い込みも強く信じられているようです。
が、今書いた通り、それらは誤解・思い込みであって、実際は作中ではそのも
のずばりのセリフは言っていません。空間磁力メッキの場面でのセリフは
冥王星で見たガミラスの反射衛星砲にヒントを得て、密かに開発
しておいた空間磁力メッキが役に立ったよ
で、「こんなこともあろうかと」
に似た言い回しはまったく含まれません。
そうなると、次に来るのは「なぜ、『こんなこともあろうかと』が真田の代名 詞的セリフとして知られるようになったのか?」「真田ではないとしたら、『こ んなこともあろうかと』という言い回しの本当の元ネタは何なのか?」という2 つの疑問になります。
後者については、以前 NetNews の fj.rec.animation.oldies で詳 しく検証した記事が流れていました。詳細は 当該記事その1(Message-ID: clbe66$fi8$2@news511.nifty.com)・ その2(Message-ID: clbeb0$fi8$3@news511.nifty.com)(※ 現在リンク 切れ。私が個人的に保存しておいたコピーで代替するか考慮中。元々 NetNews に投稿・公開されていたことを考えると、そのままの形で提供するなら問題はな さそうな気はするが…)を読んでいただくとして、ここではかいつまんで説明す ると、
という研究成果が残っています。
[2021,3/7] 上掲研究成果では、サンダーバードのパーカー
についてはこの件に関しては、TV放映時に記録を取り損ねた上、
ソフトのレンタルを見かけないこともあって、詳細を確認できていません。
とありましたが、
最近 CATV でちょくちょく放映されていたのを捕捉することができ、確認に
成功しました。話数は、第09話(日本語版)
とありましたが第3
話(「ペネロープの危機」/THE PERILS OF PENELOPE)でした。この CATV 版は、
日本語音声がない部分は字幕で補って放映されており、オリジナル版と同じ放映
順で放映されているとのことなので、本来の話数では第3話だったということな
のでしょう。
肝心のセリフは実はそういうこともあろう
と思いまして、お嬢様お気に入りの熱いのを、バッグに入れておきました
でした。「熱いの」はココアのことです。
たぶん、空間磁力メッキのシーンと発明内容が余りにインパクトがあったのと、 そこに「こんなこともあろうかと」というセリフを当てはめられていたとすると そのインパクトがさらに増幅される言い回しだった(“よくそんな特殊な事象を ピンポイントで「あろうかと」予測できるもんだね!?(笑)しかも「こんなこ と」なんて、さも些細なことでもあるかのようにさりげなく!?(笑)”)こと から印象が強化され、一度広まってしまった混同が修正されることなくそのまま 拡散してしまったんでしょうね(私も、以前はそうでした)。
[2023, 6/8] ヤマト第1作のマンガ版は、松本 零士版・ひおあきら版の他に、あまり知られていない聖悠紀版がありますが、そ の聖悠紀版でも真田はこのセリフを言っていないことが確認できます。 海外ファンが公開している 膨大な資料中で、聖悠紀版を見ることができます。