私にとってアニメとは、心の故郷にして魂の原点、命の源にして生きる力 の原動力である。真に優れたいくつかの作品は私を構成する最も重要な要素と なっているが、その中でも別格中の別格、我が魂の半身であり、私が私である ための最も深い部分に分かちがたく融合している作品、それこそが「宇宙戦艦 ヤマト」である。
人の一生の中で、心の底からその魂を震えさせてくれるような体験をする 機会というのは、そう多くはない。私の場合、その幸福な体験は「宇宙戦艦 ヤマト」が与えてくれた。
その無謀とも言えるほどの志の高さ。アニメという表現手段の技法上の制 約すら、相対的には他の問題点と同レベルまでに還元してしまう情熱。「表現 すべきこと」への純粋な欲求が貫かれた、奇跡の、魂の、永遠の作品。真に称 賛すべき数少ない、神聖なる輝きすら帯びた、万世の記念碑。
「宇宙戦艦ヤマト」と「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」こそは、そ んな賛辞を受けるにふさわしい作品だ。
これほどまでに人の心を揺るがした偉大なる作品が、ほとんど省みられる ことなく、あるいは振り返られるにしてもほとんど「ガンダム」ご ときの(そう、まったくもって「ごとき」だ!!)後塵を拝するこ とばかりなのは、アニメ界にとって大いなる不幸である。やっぱり、何かが間 違ってるよねえ。