椎名作品Q&A 過去ログ

No. 89 Re[2]: 新人ながら大変失礼なことですが・・・。

あしの : 01/05/03(Thu) 01:44

はじめまして、あしのと申します。
Iholiさんが「富士見には明るくない」と謙遜されつつ書かれてますが、ぼくはそっち方面は正真正銘真っ暗でして、それにも関わらずここに書き込みさせてもらうのは、ちょっと、以下、質問があるからです。もし読み返しらっしゃれば答えていただけるとありがたいです。
もちろんこちらから勝手に問うているので、答える必要はないということでしたら答えていただかなくても結構です。その場合は読み飛ばしてください(笑)。

書き込みの文中、<元ネタ>という言葉を使われていて、でも論調としては後半<パクリ>として断罪されているようなニュアンスも読めると思います(たぶん)。んで、「富士見の回し者」さんが、<元ネタ>または<引用>という表現様式を、肯定的に見ているのか、それとも否定的に見ているのかを知りたいのです。

「元ネタ大作戦!!」の主旨や、あるいはこのファンサイトのファンの多くの考え方としては、たぶん肯定なんだろうと思います。<元ネタ>で一番?有名なのは、マリアの「横島さん・どこへ・落ちたい?」ですが、「そりゃ009だろっ」と心のなかでツッコめる人です。

90年代はメインカルチャーにまで<引用>が幅を利かせてきた時代だと思います。80年代末にピチカートとパーフリが表れた!といってもたぶん何のことかわからないと思うのですが、有名どころでわかりやすどころを挙げれば、──パフィーの「これが私の生きる道」がビートルズを<引用>してることはよく言われるところですよね。もちろん90年代以前から、<引用>のお遊びがされる場合もあったと思いますが、少なくともまっとうなシングルとして(つまりまごうことなきメインカルチャーとして)そういう曲がエントリーされることはそんななかったんじゃないかと思います。
まんがもやはりこの文化の潮流と軌を一にしていましょう。まんがの場合、80年代なかばからかな、と勝手に憶測してるのですけど。これが少年誌的に行き着いた極北が『改造』だと思うのですが、『改造』は、おもしろいにはおもしろいけど、ほんとは後ろの方で隠微におもしろくあるべきだったところを、ついに「サンデー」の巻頭にまでなってしまうわけです(たしか一回巻頭になったような…。記憶違いかもしれない?)。この事態は、逆にいえば、正統派のまんがに80年代までのような求心的なエネルギーがないことの証明なんですけどね。
ぼくのなかでは、椎名氏もやはりこの流れの一人であると。そもそもサンデー系まんがにはそういう性格が強いのですが。

ただ、<引用>を否定的にとる立場も、それはそれでありだと思います。ヒップポップとかラップに絡んでよく言われますが、<引用>なしには成り立ちがたいジャンルなのに、<引用>される側が頑強に著作権を主張したりする場合があって、逆に送り手側も一枚岩とはいかず、まずレコード会社側が、及び腰になったりします。古い話ですが、スチャダラパーのアルバムとかを見ても、「ラップという音楽の性格上やむをえない部分があるが、責任はミュージシャンに帰するものとする」云々という注記をすることでやっとレコード会社と折り合えて、作品を出すのにこぎつけられる、ということもあったようなのです。
そこまで言わずとも、<引用>という表現様式を、表現様式と見なすことさえ許し難い、と考える立場もありだと考えます。つまり、パフィーの「これが私の〜」を聴いて、つっこまない人もいると思うんですよ。ビートルズのパクリじゃないか、と。作り手やファンたちが、<引用>、<元ネタ>と、さも何か気の利いたやり方のように言ってるけど、オリジナルに失礼だろ、自分でオリジナルなもの作れよ、と言わずにはいられない立場。

なんか長々と書いてしまいましたが、元ネタ肯定or否定、どうなんでしょう。
1.)肯定ならば──
挙げられたいくつかのことが「元ネタ」と確信できそうならば(Iholiさんは、「るろうに」以外は、元ネタとまでは言えないんじゃないか、むしろ一般的な話型に過ぎないものと見るべきではないか、ということだと思います。)、むしろ改めて、「元ネタ大作戦!!」に書き込んでくれるといいなあ、と思います。他の方がみて、どうも妥当性に欠けるなあ、ってことなら批判レスがつくし。

2.)否定ならば──
c-wwwはファンサイトですが、ネチケットとファンサイトである分をわきまえる範囲内でなら、作品批判もOKな、度量の広いサイトだと思います(たぶん)。ぜひ生産的な批評活動を。
ただ、生産的じゃない批判活動は読んでて精神衛生上つらいのでご勘弁を。てゆうか、生産的をめざさないってのは、そもそもファンサイトの分をわきまえないってことですから。

3.)肯定だけど──
三つ目の選択肢が実は仮定できるかもしれません。<元ネタ>も<引用>もOK。物語の展開と関係ない部分で笑えるのはそれでいい。けれども、物語の重要な展開部分や、感動の引き出し方自体に、何か別の作品の影(はっ!?疑惑の影?)が見えるのはいかがなものか、という立場です。
ただ、これは、疑うまえに、前述のように、実は「よくあるパターン(話型)」かもしれない、と自問しておくのは大事です。

なんか長々とすみません。ただ、立場の問題は結構重要だと思うんですよ。


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