椎名作品Q&A 過去ログ

No. 831 Re^5: ルシオラのことで

dry : 04/05/02(Sun) 15:40

> なるほど。つまりルシオラにとって横島は特別な存在なのでカタカナでよんでいるのですね。

 当初、ルシオラは横島を、パピリオによる命名にならって「ポチ」と呼んでいました。横島の名前を知ったのは『仁義なき戦い・超常作戦!!(その3)』のラストシーンの時です。この時は口頭で告げられた為、ルシオラは「横島」の読み(音訓)しか分からず、従って作中では表音文字であるカタカナで「ヨコシマ」と表記していた、とも考えられます。その後、アシュタロス陣営から離反し人間側についた頃には「ヨコシマ」の漢字表記を知っていたと思われますが、そのまま慣習的に「ヨコシマ」と呼んでいたのでしょう。美神令子については、魂の結晶の所持者である関係上、ただのペットである横島と違って正確な個人データを知っておく必要があり、その中で彼女の名前の漢字表記を知る事が出来たのではないでしょうか?

 これだけでは面白味に欠けるので、もう少し考えてみます。

 『甘い生活!!(その2)』においてルシオラは「私たち、こないだまで人間なんかなんとも思っちゃいなかったのよ。」と発言しています。3姉妹の中ではパピリオが顕著でしたが、彼女らは人間を、その人格も含めて歯牙にもかけていませんでした。しかし、『超常作戦!!』では美智恵の作戦により予想外の損害を被り、人間が決して軽視すべからざる敵である事を知り、またポチ(横島)との奇妙な共同生活の中では、徐々に彼の事を仲間(といってもペットから、使える僕(しもべ)に格上げする程度ですが)として認めるようになっていました。その様な流れの中、夕日のシーンを始めとした様々な出来事を経て、ルシオラは横島を「一個の人格を持ち、且つ、彼女自身にとっては特別な存在」として認識するようになります。
 つまり、ルシオラにとって横島は、アシュタロス陣営に属していた頃に「初めて触れた『人間』」であり、離反後に知り合った人間達とは一線を画する存在であったと思われます。「ヨコシマ」「美神さん」「おキヌちゃん」「西条さん」と彼女は呼んでいましたが、カタカナ表記と漢字表記の差は「ルシオラが人間を認め、人間社会に馴染んでいく過程」を端的に象徴しているのかもしれません。

 以上が「カタカナ表記によって、ルシオラにとって横島が特別な存在である事を表している」とする説の根拠となるでしょうか(^^;

 逆に「横島を『ヨコシマ』と呼ぶ女性がルシオラしかいない点」に注目して「カタカナ表記によって横島とルシオラは本来、異文化圏に属する人間と魔族である事を表している(後の悲劇の暗示?)」とも考えましたが、妖怪や他の神族・魔族は普通に「横島」と呼んでいましたので、作中事実のみを拠り所としてこの説を展開するにはかなり無理がありそうでした(笑)


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