美神は、月の石船に乗り、月面を一周してアンテナに接近しました。この時、「残り時間は?」「約32分!」「ギリギリね」ということですから、月の石船は月面を30分弱で一周したことになります。
月の質量:7.34×10^22[kg]
月の赤道半径:1738×10^3[m]
重力定数:6.67259×10^-11[m^3/kg秒^2]
というデータから計算すると、月の第一宇宙速度は1679[m/秒]であり、この速度で月面を一周すると、約108分かかることになります。この場合、月の重力と遠心力が完全に釣合います。
月の石船が月面を一周した時間は、この4分の1の27分としましょう。また、月の石船は「加速」のために月面を一周したのですから、一定の加速度で加速していたと考えます。すると、メドーサと遭遇時の月の石船の速度は、第一宇宙速度の8倍ということになります。
ということは、メドーサと遭遇時の月の石船は、遠心力の方が重力よりも圧倒的に上回っていたはずです。それ自体は問題ありません。石船には、何らかの魔力で下方に(出発時には上方にでしたが)力が加わっていた、と考えればよいからです。
しかし、美神の体はそのままでは上空に吹っ飛んでしまいます。ですから、むしろこの時の石船は、上下逆さまになって飛んで来た方が妥当である(美神の体を床で支える)と言うことになります。
さてそれでは、この時の遠心力はどの程度だったのでしょうか。計算してみると、これはなんと地球重力の10.4倍ということになります。(速度が第一宇宙速度の8倍ということは、遠心力は重力の64倍。ということは美神の体にかかる力は月の重力の63倍。月の重力は地球の6分の1だから、地球重力の10.5倍になり、ほぼ正しいことが裏付けられます)
美神の体重が50kgならば、この時に美神の体にかかった遠心力は520kg! まあ、「Gの恐怖」の時には10トン以上にはなっていましたから、そのくらいは平気なのでしょう。
……って、質問じゃなくて研究発表になってしまいました。