> つまり前回のエミと忠夫、更に言えば当時の令子と忠夫よ
> りも一層師弟に近しい関係が構築されていると想像されます。
> 後に霊能力に開眼し、GS資格を取得した忠夫が「なんか…
> 資格取ってますます立場がさがったような…」(11巻133頁)
> と自己分析した通り、師弟関係でしかも資格無し、その上師
> 匠を一方的に恩人として敬い慕っている状態では、とても彼
> の高給は期待できないでしょう。件のドカ弁の時(15巻『ヘ
> ルシングちゃんの逆襲!!』)でも、己の窮状は嘆きこそすれ、
> 雇い主に対する不満は聞かれませんでした。
>
> 待遇と労働との関係に於いても、この師弟関係で大方の相
> 場は無視されるでしょう。それどころかエミにコキ使われる
> 状況に、これぞ恩返しと言わんばかりに喜々として臨んでい
> る素振りすら有ります(9巻36〜37頁参照)。
このIholiさんのご見解は卓見だと思います。確かに師弟関係であれば、超薄給も当然です。江戸前の職人さんの世界では、内弟子は衣食住だけは保証されますが、一人前になるまで給料ゼロ。たまにお小遣いをくれる程度。また、手を取って教えてくれるようなことはなく、見て覚えろ、盗め! の世界。見込みがなければ追い出されます。
現代でも、お相撲さんは新弟子のころは給料ゼロですし、医者もインターンの頃は超薄給です。
さて、タイガーがエミを師匠としてあがめ、修行として超薄給に耐えている…ここまではいいでしょう。問題は、エミの側がどう思っているかです。エミもまた、タイガーを弟子として厳しく鍛え、一人前のゴーストスイーパーとしてゆくゆくは「小笠原ゴーストスイープ」の正式メンバーとして高給で雇うか、個人の事務所を開けるようにしてあげようと考えているのでしょうか。
とんでもない!
「エミがそんなタマかしら」
「エ…エミさんは美神さんよりタチが悪いぞっ! 1.25倍くらいっ!」
「あなた、エミのこと善意に解釈しすぎてると思うの! 言っとくけどあいつ、殺し屋よ!!」
そうです。エミは15歳にして殺し屋でした。他人を呪い殺すなどという行為は、「オカルト犯罪防止法」の第一番目に禁止している重大な犯罪ではないでしょうか。GS資格を得てからも、警察からの依頼とはいえ、暴力団組長を脅し続けています。殺さないまでも、傷害であり恐喝です。これも犯罪でしょう。
これらが公になれば、エミは間違いなくGS資格は剥奪されるでしょう。そんなエミが、弟子を養成するなんてことを考えるでしょうか。
とすれば、エンドウキさんが書かれていたように、エミは色香でタイガーをまどわせて薄給でコキ使っているだけのことでしょう。
では、横島の年俸2000万円というのはどうなのでしょうか。ウソとも考えられます(横島はろくに契約書を見ないで印を押していました)が、契約の神エンゲージが括ってある以上、一応は本当なのでしょう。
しかし、横島が給料日より前に激務で寿命をすりへらし、死んでしまったら? そして横島に多額の生命保険がかけられており、受取人がエミだったら?
あの美神よりさらに1.25倍悪どいエミならば、その程度のことはやりかねないでしょう。