椎名作品Q&A 過去ログ

No. 703 有罪無罪、いずれもアリ?

Iholi : 04/02/02(Mon) 03:18

 ま、キヌが「罪」とやらを犯した可能性を完全に消去する事(不在証
明)はどの途不可能ですからねえ……ぼく個人としては、どちらもアリ
なのではないかと。
 仮に彼女が過去に「罪」を犯していた場合、こと幽霊に一定の共感を
示す彼女の言説もまた違った意味合いが生まれて、これはこれで趣深く
なりますし。
 ですから、

>  生き返った後は、そんな幽霊だった頃の罪を引きずる必要はありませんから、「天使のような少女」と見てもよいでしょう。

……寧ろ「幽霊だった頃の罪」を背負っている方が美しいかと。加え、

> しかし幽霊だった頃のおキヌは、やっぱり悪霊でしょう。

……これには、少し検討の必要があるでしょう。
 令子たちに出会うまでの彼女は、人間に害を為す霊的存在と云う意味
では紛う事無き「悪霊」と謂っても可いでしょう(当然、そこに到る動
機その他は議論に含めない)。しかし、令子たちとつるむようになって
から生き返るまでの彼女は、この意味では悪霊とは呼べませんよね。

 では、メゾピアノさんが掲げる「ドッペルゲンガー」はどうでしょう?
『極楽』でドッペルゲンガー「的」なネタが出てきた挿話は「チョコ人
間第1号!!」「暗殺のソロ!!」「ドリアン・グレイの肖像!!」あたりに
なるでしょうか。しかし、前後2つは何らかの意思を持つ霊的存在が化
けたものでしたし、まん中のは人間の変装でした。恐らく議論に揚がっ
たドッペルゲンガーから想像されるのに一番近いのは最後の1つでしょ
うが、それは出自や形態がキヌのそれとは全く異なる別の存在です。
(余談。CDドラマ「美しき逃亡者」に出てきた「ニセ美神」は更にドッ
ペルゲンガー的な存在ですが、これも悪意を持つ霊的存在でした。)
 いずれにせよ、ドッペルゲンガーと云う存在が作中で詳細に定義され
ていない以上、「幽霊時代のキヌがユリ子のドッペルゲンガーである」
とする説を積極的に支持する根拠も否定する根拠も在りません。とは云
え、彼女が「無意識の内に(特定の人間に)害を為す」と云う設定自体
はそれはそれで面白いと想います(貧乏神の齎す不幸もこのタイプに近
いですかね)。

 ま、個人的見解としては、作中でのキヌの純粋性が随所で確認されて
いる事実からして、彼女は「無実」なのではないかとは想いますが。
 また、皆さんが行っているセリフの解釈は、各々の作品解釈の相違に
基づく物なので、特に大きな矛盾が生じない範囲でお互いの意見を認め
るべきではないでしょうか……議論そのものは有益でしょうけどね。

 それよりも連載中に気になっていたのは、この幽霊そっくしな少女と
同名の女性が、かの忠夫の母親だと云う事実な訳で。


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