> まず吸血鬼ブラドー事件「ある日どこかで」,妖刀辻斬り事件「バトル・ウィズ・ウルブス」,死津喪比女事件「スリーティング・ビューティー」,さらには魔物三人娘事件やアシュタロス事件など,いずれも、レギュラーのGS達には最初から全員に呼集がかけられています。 まあ、結局は活躍するのは美神と横島だけということも多いのですが、ともかくレギュラー陣が最初から無視されることだけはありません。
ひとつ突っ込むとすれば……「ある日どこかで」ではなく、
「極楽愚連隊、西へ!!」編ですね。ここでの「最初から」と云
うのは「事件が世界的もしくは地域的事件として認知された、
その最初から」の意味ですよね。
> ところが、「香港編」ではどうでしょう。最初は、小竜姫が雪之丞に「勘九郎の行動の調査」、さらに「元始風水盤の針の奪取」を依頼したところから事件は始まります。 元始風水盤が作動すれば、香港が、さらには全世界が魔界に変わってしまうのです。危険度はコスモプロセッサに匹敵します。世界が破滅する危機ではありませんか。
> だったら、小竜姫がやるべきことは、レギュラーメンバー全員に呼集をかけ、総力戦で敵のアジトに攻めていくことです。そして元始風水盤を破壊、もしくは風水盤のあるアジトを占拠してしまうべきです。小竜姫には金はあるのですから、エミやカオスを最初から雇うことなど簡単なはずです。なんなら、猿神・斉天大聖や、天龍童子,竜神王にお出ましを願ってもよいでしょう。それなのに、小竜姫がやったことは雪之丞一人への依頼、正式のGSではなく裏社会の人間に依頼しただけなのはなぜなんでしょう。雪之丞の土地カン? それだけかなあ … 。
「神族からの依頼」は「プリンス・オブ・ドラゴン!!」編
(7巻)、「誰が為に鐘は鳴る!!」編(9~11巻)、「香港編」
(13~14巻)、「私を月まで連れてって!!」編(22巻)の4つ
ですが……実は、そのいずれも個人に対する依頼なのです。中
には結果的に全員集合となってしまった物もありますが。
そして、先に鰻田さんが指摘なさった重大事件は全て、人間
側の組織なり個人なりが召集した場合であり、GS主要メンバ
が全員集合するのも当然の事です。
それでは何故、神族は個人単位で人間に依頼をし、作戦行動
の殆どを人間に委ねるのでしょうか?
一番大きな理由は、余りに大がかりな依頼は、神界から人間
界への過剰な干渉へと発展しかねないからでしょう。神と魔の
対立は依然続いています。こちら側からの積極的な行動は、あ
ちら側の反応を誘発してしまいます。「今、そこにある危機!!」
編や「私を月まで~」編では、その部分が強調されていました。
聖書級大崩壊を防ぐ為にも、最低限の接触が求められるのです。
第二に、これらの事件が起こっているのは人間の世界なので、
なるべく人間だけで解決するべきとの立場があるからです。形
の上では「魔族側の行動に対する神族側の反応」ですが、それ
は同時に「魔族側に依る人間界への侵略行動に対する、神族側
の人間側への支援」でもあります。勿論依頼と云う形を取る以
上は神族側の潜在的な負い目(魔族と表裏一体の関係にある事
の裏返し)もあるのでしょうが、基本的には人間界の自立を求
めている物と考えられます。それが顕著に出たのがアシュタロ
ス編でしょう。神魔の対立はともかく、人間(GS)がしっか
りしなくては今の人間界は滅亡してしまうのですから。
魔族側もそうですが、神族側が人間界で行動する時は基本的
に隠密行動なのですよ、実は……令子たちの派手な行動につら
れて勘違いしがちですが。初めて表だった対立を見せたのはア
シュ編だけであり、この時には世界中の神族側の拠点を破壊さ
れた事への報復という大義がありました。仮に元始風水盤が作
動し、世界全体の霊的秩序が魔族側の勝手になった場合、どう
なるか……それは神族側の人間界介入を招き、やがて全面戦争
に発展するでしょう。ピートが危惧したのとは違う形で聖書級
大崩壊が発生するのです。神族側としてはなるべく避けたい事
態でしょうが、神界や魔界を含めた全宇宙を置き換える宇宙処
理装置の想定され得る最大の被害に比べれば、まだまだ小さい
ものでしょうので、この両者を単純に同等視するのは早計かと。