「GS美神」に登場するゴーストスイーパー達には、宗教的バックボーンがはっきりしている人がいますよね。
唐巣神父とピートはカソリック。
おキヌは神道。六道女学院にも、榊の枝の滴で幻覚を見せる生徒がいましたが、あのコも神道系でしょう。
弓かおりは仏教(闘龍寺)、宗派は不明ですが、弓は僧兵の格好をしていますから、京都の延暦寺の流れか何かか? 白龍会の会長もお坊さんですから仏教です。袈裟衣の様子と、「陰念」なんて名前の弟子がいるところから見ると禅宗っぽいですが、断定はできません。そうそう、小竜姫さまも仏教ですよね。
六道冥子と鬼道政樹は、式神を使うのでおそらく陰陽道でしょう。
小笠原エミは、ブードーからエジプトからおそらくキリスト教系まで含んだ様々な黒魔術。
ドクター・カオスは、これは宗教とは言えませんが、バックボーンは錬金術ですね。
久能市氷雅は、忍者です。忍術は山岳修験道の中から生まれたものなので、氷雅ももしかしたらそうかも。それにしても、山伏姿のゴーストスイーパーって、いそうなのに出てきませんな。
さて前置きはこのくらいにして、主人公の美神令子はどうか。美神の決め台詞は、「ゴーストスイーパー美神令子が、極楽に行かせてあげるわ!」です。
「『極楽』に行かせてあげる」というのですから、これは西方極楽浄土、十万億土の彼方にあり、阿弥陀如来が統括するあの「極楽」を意味するに違いありません。(魔界のトップ「サっちゃん」が言うアッちゃんとは、アラーではなく阿弥陀如来でしょう)
ということは、美神の宗教的バックボーンは浄土宗系であるはずです。その霊力は、阿弥陀如来から授かったものである、と思われます。(それにしては、「南無阿弥陀仏」と唱えているところを見たことがないなあ … )
しかしそうなると、大問題があります。浄土宗,浄土真宗の教義からすると、この世に「悪霊」なんてものが存在するはずがないのです。
阿弥陀如来は、「全ての衆生を分け隔てなく救う」という本願を立てて如来(仏)になったのです。全ての人間は死後、阿弥陀如来によって極楽浄土に迎えられ、修行を積んで仏になれるはずなのです。
ところが、現世に悪霊がウジャウジャいて、人間の力を借りなければ極楽に行けない、ということになれば、阿弥陀如来の本願というのは嘘だった(!)ということになってしまいます。いいのだろうか … 。
まあそもそも、極楽浄土の存在を信じている人が、「現世利益第一優先!」でいいのか? という問題がありますけどね。