どうも師耳さん。ご支持、ありがとうございます。
> それを仮説とすると、平安時代(794年あたりとする)より500年飛んだとしても1294年(鎌倉時代…ですよね?)、
この部分については下の鰻田さんへの返答で触れています。
> 以降、別の仮説「文殊説」。
ふむ、なかなかおもしろい視点の考察ですね!
では、ぼくもそれに沿ってもう一度、考えてみましょうか。
さて、職能的暗殺者であるデミアンでさえ「ウ…ウワサには
きいたことがある…!」程度ですから、文珠は魔族の間でも希
少な能力なのでしょう(だからなおさら「これを使える人間か
…!?」に繋がる)。まあその割に「霊力を凝縮しキーワードで
一定の特性を持たせて解凍する技…!」と正確に解釈して見せ
ますが、これはデミアン本人の分析能力ではなく、話の繋がり
から見て「ウワサ」による物でしょう(21巻170頁参照)。
(なお高島(の記憶)がいきなり文珠を使えたのは、その少し
後に自らの生き返りを否定する件から、それらを伝えた者の存
在を匂わせます。恐らくはそれまで横島の身体に入っていたヒャ
クメからの入れ知恵でしょう(22巻175〜177頁)。)
それに、アシュの部下を見る限り……慢性的な人材不足が考
えられます(笑)。筆頭と目されるメドーサにしてもギリシア
の竜神族の出身であり、アシュに近いオリエント出身者はベル
ゼブルくらいなもの。その上南米に潜伏していた事も、その支
配基盤の不安定さを物語る様です(アシュと同じく金星と蛇に
象徴され、滅びの時に訪れる白い肌の神ケツァルコーアートル
を気取るならもう少し北ですし、第一ヒゲが足りない(笑))。
そして最終決戦に於いても、宇宙処理装置で再生できるとは云
え、作戦の殆どを「自分の部下魔族が製造した魔族」の手に委
ねざるを得なかったのはその最たる物。しかもリストには令子
の名前が挙がり彼女を狙った暗殺者まで雇った一方で、最終作
戦を実行する直属の部下たちにはメフィストの霊的特徴しか教
えていなかったり、と想えば令子の母・美智恵の死期なんかは
しっかり調べていたりして、情報の混乱ぶりに拍車が掛かりま
す。その挙げ句、エネルギー結晶を奪われた究極の魔体は未完
成、宇宙意志の干渉を避けるべく慎重に動いていたのに宇宙処
理装置はまともに動かせず……アシュの計画はまさに混乱に次
ぐ混乱の連続だったのではないでしょうか。
つまり、仮にアシュが文珠による時間移動を認識していたと
しても実現するに足る余裕がなかった、と云うのが結論です。
(因みに「メドーサ」の元ネタのメドゥーサは古典期ギリシア
よりも古い時代の大地母神に起源を持ちます。夫はかのポセイ
ドーンで、地下水脈をも司る大地の神です。一般には海神とし
て有名ですが、実際にはヅェウスが治める天空とハーデースが
治める地下の間に在る全ての世界、つまり人間の世界を治める
神なのです。また「ヒュドラ」の元ネタのヒュードラ(=水)
が蛇の怪物であるように、メドゥーサとヘビは頭髪と夫を介し
て繋がりますので、メドーサ=竜神というのはそこまでとっぴ
な解釈でもありません。……因みの因みに「浪速のペガサス」
こと(嘘)天馬ペガーソスはメドーサとポセイドーンの息子。)
時間移動に拘るならば「文珠を造る」手もあります。文珠発
生の具体的な仕組みは一切不明ですが(笑)、宇宙のタマゴや
その応用としての宇宙処理装置を作れるだけのデタラメ技術が
あるのなら、文珠を製造するのも不可能とは言えません。
しかし先に述べたように、彼らには余裕が全然ありません。
そもそも、大願を成就させる為の諸計画……竜神族の頭を抑え
付ける事も、自分らの息の掛かった者たちをGSにすることも、
元始風水盤でこの世を魔族に都合の良い世界に変える事も、月
から大量の霊的エネルギーを奪う事も、尽く失敗しています
(勿論、令子たちが関わらなかった事件も在ったでしょうが)。
うむ、それなら「文珠能力者を捕まえる」のはどうだ?(と
言われても) これなら忠夫ひとりは確実ですし、時間移動能
力者/メフィストの来世を探すついでにもできそうです。……
しかし、アシュはこれもしませんでした。
これには2つ理由が考えられます。1つは「過去も未来も変
えられることしか変えられない…/時間の復元力は人や神の力
よりずっと強いのですよ。」(21巻161頁)なる話です……本
当はこのへんはもっと突っ込んで議論したい所ですが本題から
大きくズれそーなのでやめます(笑)。もう1つはアシュの
「目障りなゴミ」「ガキ」発言は元より、部下たちの「人間ご
ときが」「人間の分際で」発言が物語るように、アシュ一味、
と云うより神魔族が総じて人間を見下す傾向にある点です。そ
れが「たかだか人間の造った文珠ごときが」と云った思考に繋
がるのは当然の流れです。実際、直接攻撃として文珠を使った
場合、アシュには殆ど傷を負わせられませんでした。基本的に
単独で一文字を操る文珠は、造った者の能力を越えられない…
…と云う極めて当たり前な論理に従うならば、アシュが文珠に
執着する必然は無くなってしまうかもしれませんね。
……と、何だかせっかくの師耳さんの援護を台無しにしてし
まってるような……結論は同じなのになあ。
> 以上、机上の空論より。
> あ、異論・反論は受け付けません(笑)。あくまで空論なので。
ここでの議論はその殆どが「愛子の上の空論」ですよ(笑)。
理論系の学問とは「原作から逸脱した部分は検証が不可能」と
云う点以外は、「いかにそれらしく話を進めるか」と云う意味
では大差は無いような気がします。
異論・反論ドシドシどうぞ。さあ、れっつ愛子!(笑)