『…ここへくる前にいろいろ調べたんだがね、』
『どうやら君は、五年前に死んでいるそうじゃないか。』
『葬式に出した死体は、死後どれくらい保存されていたものだった
のだろうね?』
『歴史を変えてみたくはないかい? 美神令子君。』
奇妙なアシュ分身の姿と云い、まさに創世記の「エーヴァを誘惑す
る邪悪なヘビ」を想起させる場面です。
さて、ご指摘の『激突!![その2]』(31)でアシュタロスのコメント、
実は美智恵が死亡した時期の状況を表す唯一の情報だったりします。
ただ、上記科白は全て「ベスパの妖毒が美智恵の死因になった、か
も知れない」事を前提にアシュタロスが吹っ掛けた、謂わば根拠の薄
いデマカセです。つまりそれ以前にもそれ以後にも美智恵が命を失う
可能性は有るのに(極端な例:事件収集後、過去に帰る為の雷でうっ
かり感電死)、アシュタロスが真偽すら知れない過去の美智恵の死を
勝手に自分の作戦と結び付けて一方的に吐いているのに過ぎません。
そもそも「死体の保存云々」の部分は発言の意図が不明瞭です。そ
れを聞いた令子も何やら勘付いた様な顔をしていますが、以後それに
関するフォロウは一切無いまま、この一件は完全解決してしまいます。
よって、ここでのアシュタロス発言は余り深く考えなくて構わない
のではないでしょうか。
で、結局歴史は変わったのかどうかと云うと……『極楽』世界では
歴史改変で生じるタイム・パラドクスに対する明確な回答は避けられ
ているので、正確な結論はまず出ませんね。ま、色々と想像してみま
しょう。
僕としては、単に始めっから美智恵は死なずに公彦といちゃいちゃ
していた、に一票(笑)。そう、正義はそう簡単には滅びません!