六道家は、美神曰く「六道家の血を引く女は代々、式神使いの力を持ってて」ということですから女系の家系でしょう。代々女が産まれ、婿養子を取ることによって存続して来たのでしょう。女が産まれなかったらどうなるのか? 多分、分家がたくさんあってその中から女性が本家の養子になるのでしょう。
実は美神家も同じようなことが言えそうです。吾妻公彦が「美神公彦」になってしまったことから見てもそれは言えます。美智恵の方からプロポーズしたのだから、普通は夫の側の都合に合わせるべきものでしょう。じゃなんで、未来の横島忠夫が「美神忠夫」になっていないのか? おそらく未来の日本では、夫婦別姓が正式に法律化されているのでしょう。
六道家は、式神使いなのだそうですが、純粋な陰陽道の家系なのでしょうか? 多分違うでしょう。何故なら「六道」とは仏教用語だからです。「六道輪廻」とは、天界,人界,修羅界,畜生界,餓鬼界,地獄界,の六つの世界を、死後の人間は生前の功徳に応じて転生する、という思想です。
六道家が仏教系なのだとすると、マコラやハイラは、式神というよりも、むしろ「護法童子」なのかもしれません。
美神美智恵は、チューブラーベルを倒す時に「極楽へ行かせてやるわッ」と言っています。ここから見て、「極楽へ」うんぬんというのは美神家伝統の決めゼリフなのだと思われます。
ということは、美神家は極楽浄土思想を信じている、浄土宗系の家系なのでしょう。
「六道輪廻」の思想は、これは仏教以前、古代インド・バラモン教の時代からある古い古い思想です。一方、西方極楽浄土へ死後「極楽往生」できるという思想は、まだ2000年ほどしかたっていない、ずっと新しい思想です。
ですから極楽浄土思想は、六道輪廻思想と“対立”までは行かないまでも、それを乗り越える新たな革命的思想と言えます。
このような宗教思想的対立から、美神美智恵と冥子の母とは、いま一つ親しい交わりがなかったのでしょう。ですから、娘同士も親交がなかったと考えられます。