椎名作品Q&A 過去ログ

No. 1060 う〜む。「キヌ」か「おキヌ」か

メゾピアノ : 04/07/27(Tue) 22:31

Iholiさん、いつもご解答、ありがとうございます。

>  確かに「お〜」は本来は古語にあたりますが、現代語で
> それが全く失われた訳ではありません。先に述べた用法の
> 他に、女房言葉で発達した指小的丁寧表現も現代語の中で
> はいまだ健在です。
>  また(漢語に対する)和語の伝統として、2文字[音節]
> よりも3文字の方が安定した音として耳に響き、また識別
> 性が増すと云う性質が有ります。よって「お」には「キヌ」
> に一音添えて呼称としてより自然な「おキヌ」とする効能
> が有るのです。
>
>  まあそもそも、今回のぼくの意見は「お〜」にに拘った
> 話では非いんです。
>  例えば彼女が「キヌっち」とか「キヌキヌ」とか「キヌ
> ぴょん」とか「キヌ坊」とか「キヌ助」とか「キヌ三」と
> か「キヌQ」とか……とにかく、どんな名前で呼ばれてい
> ようと、それで短冊に記名する事を自分で納得していれば
> それで可いんですよ。そうした意味で、愛称として長年定
> 着している「おキヌ」にはそれなりに妥当性が有ると謂い
> たかった訳です(それが先に述べた「短冊に記す名前に対
> する(キヌ自身の)意識の問題」です。また、タマモが普
> 段表記として滅多に現れない「玉藻」と書したのも、彼女
> なりの自意識の表れと謂えるでしょう。何分に正式な文書
> では非いのです)。
>  対して「美神さん」は辞書を参照する迄も無く愛称では
> 非い、敬称です。また、敬称には自他問わず茶化して言う
> 用法も有りますので、令子が自分の短冊に「美神さん」と
> 打つに当たっては何某かの意味がこめられている事が予想
> されますが、まあ普通は用いないでしょうね。つまり「お
> キヌ(ちゃん)」とは同列に比較するのが難しいのです。
>
> >  彼女が自分の名前と全然違う名前、「シルクちゃん」とか「ミス・ジュディ」とかいう名前を名乗るなら、これはウェブで用いるハンドル名にもできれば、短冊に記す名前にもできるでしょう。
> >  しかし、本名の「キヌ」に不自然な「お」を付けるのは…これは、良く言えば言語感覚が現代人風になった、ということなのでしょうね。
> >  江戸時代人の感覚ならば、とてもできないでしょう。美神が「私は美神さん」と自称するのと同じですから。
>
>  実際彼女が喋っている言語……に限らず、過去のオロチ
> 村(や平安時代)の面々が操っていた言葉は全て現代語な
> のですが……(道士やヒャクメのひみつどうぐで霊的に翻
> 訳が為されている、などの解釈も可能でしょうけど)。個
> 個の人物の感性にしても余り時代的な部分には深入りせず、
> 表面的にさらった以外は現代のそれに多分に近い物である
> と見受けられます。
>  要するに、言語(感覚)の新旧などの問題は『極楽大作
> 戦』に於いては不問とするのが、作品鑑賞の上での適切な
> 態度ではないでしょうか。例えば中世欧州の言語だって一
> 発ネタだけで済まされてしまった事情も有りますし(これ
> もバロンの翻訳機能(が有るとして)やら、霊能力者同士
> のテレパスィに依る意志疎通などの……以下略)。
>  つまりが、その辺りは『Mr.ジパング』と同じ目で観
> たらどうか、と云う訳です。そうした部分での厳密さを敢
> えて犠牲にする事で、例えば「リストラ」などの理解し易
> い現代語を頻出させる事で、少年マンガとしての柔軟性と
> 娯楽性が大いに向上していたのは事実なのですから。
>
>  まあ何が理由であるにせよ、初対面の魔理への自己紹介
> の挨拶の言葉が、「おキヌ」と云う呼称に対する彼女自身
> の思い入れの程を物語っていると想うのですが……いかが
> でしょうか。

 ううむ。「キヌ」か「おキヌ」か、だけでも「GS美神」の世界は深いですね。
 しかし、「美神除霊事務所出動せよ」の中では、おキヌちゃんは「私はキヌといって、三百年ほど前に死んだ娘です」と言っています。
「バッド・ガールズ」で「私、氷室…おキヌっていいます。今日、転校してきたんです」と言っているわけですから、言語感覚に変化が生じていることは、間違いないですよね。

 そもそも思うのですが、おキヌが生き返った時、「戸籍がなかった」ことは絶対間違いありません。その上、本人に過去の記憶がないのですから、そこで過去とは決別し、現代的な新しい名前を与えてしまえば良かったのですよ。
「絹江」でもいいし、美子(巫女から)でもいいし、早苗の妹だから、「田植」とか。 (笑)


椎名作品Q&A 過去ログ / C-WWW unofficial support page