元ネタ大作戦!!第3ステージ 過去ログ

No. 317 米田さんに反論

アスタロト大公爵 : 04/02/18(Wed) 09:30

 まあ、「だけどさあ、ぶっちゃけえ……「 バ カ 」じゃないのお?」などという頭の悪そうな書き方をしたのは、わざとです。失礼しました。
 しかし、このような「頭の悪い人間にも(だからこそ)気づく素朴な疑問」の形にした方が、より問題提起しやすいと思ったからです。

 安土城復元図,復元模型の場合、2つの問題があります。
 (1)はたしてどこまで正確な復元と言えるのか? 研究者の「創作・想像」の部分は何%なのか?
 (2)仮に、ほぼ100%正確な復元であった場合、研究者の著作権はどこまで認められるのか。

 さて、ここではまず、(2)について論じてみましょう。100%正確な復元の場合です。
> >  それってえ、つまり自分の復元図があ、自分の「創作」って認めてるわけでしょう?
>  違います。
>  著作権とは「創作物を保護する権利」です。この場合の創作物とは、0からつくりあげたということを意味しません。現実の風景を撮影した写真や、他人の作品の模写、車のプラモデルにだって著作権は発生します。当然、建造物を図面化したものにも、著作権は発生します。
>  従って、復元予想図に著作権があることは当然です。これは、それが現実のものと等しいのか、等しくないかとは全く関係ありません。

 違います。復元予想図に著作権があることはもちろんですが、著作権は「表現」を保護するものであり、復元図を元にしていても、「表現」が異なっていれば著作権を侵害しません。
 例を出します。ある寺に鎌倉時代の国宝級の仏像があったとします(仏像Xとします)。ところが、火災のため残念ながら焼失しました。ところが、ある写真家Aが仏像Xの前後左右から数枚の写真を撮っていたことがわかり、世間に発表しました。ある研究者Bが、その写真を元に「仏像Xはこんなものだったに違いない」として精密なレプリカを作成しました。復元方法には(飽くまで“方法”です)には、Bの独創性があったとします。元の写真の画質がよかったので、そのレプリカはほぼ100%正確なものと思われます。
 そのレプリカを見た漫画家Cが、その場でスケッチしそれを資料にして自分の漫画にその仏像を登場させました。
 さて、漫画家Cは、
 ア.鎌倉時代の仏師(彫刻家)の著作権を侵害している
 イ.写真家Aの著作権を侵害している
 ウ.研究者Bの著作権を侵害している
 エ.著作権侵害にはあたらない
 さて正解はどれか? という問題なのですよ。(ア.でないことは言うまでもありませんよね)
 私は法律家ではないので、こうだ、という断言はしません。が、この場合写真家Aや研究者Bの著作権を認めることは、無理なんじゃないでしょうか。Aの写真をそのままの構図でイラストにしたりすれば著作権侵害です。Bの「こうやって復元した」という論文の内容を真似れば著作権侵害です。しかし、最終結果の「仏像Xのレプリカ」にはどうでしょうか。
 Cの漫画が著作権侵害だとすれば、火災以前には存在しなかった「仏像Xに対する著作権」が、事実上、写真家Aや研究者Bの上に発生してしまうことになります。そんな事ができるならば、理論上は鎌倉の大仏様でも京都の金閣寺でも、何でも著作権を自分のものにしてしまうことができることになります。それはおかしいですよね。
 ではさて、安土城の復元図を元に、構図や角度を変えて、漫画家が自分の漫画に絵を載せたらどうなるんでしょう? という問題なのですよ。

>「研究成果」の利用について制限があるのは、むしろ当たり前といえるでしょう。
> この「研究成果」が「画期的な発明」だったらどうでしょう。
> その成果の使用について、制限が発生するのは当然ですよね(この場合は著作権ではなく特許での管理になりますが)。
> 図面の場合でもまた同様です。特にアカデミックな分野では、研究成果の商業利用に関する抵抗(否定的な感情)も根強いものがありますし。

 青色発光ダイオードのような、「発明」ならばその通りです。中村さんが発明するまでは、それはこの世の中にまったく存在しなかったものなのですから。
 しかし、「安土城」は間違いなくかつてこの世に存在したものであり、その姿を「再発見」した、に過ぎないはずです。その発見過程は独創的であっても、最終結果が研究者の「創作物」なんでしょうか? それはおかしいのではないでしょうか。

 なお、以上は「100%正確な復元」の場合です。
 (1)はたしてどこまで正確な復元と言えるのか? 研究者の「創作・想像」の部分は何%なのか?
 については別途論じます。


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