TITLE:タイトル「紙の砦!!」
DATE, TIME:1997/10/18 23:51:27
Name:井汲 景太

  手塚治虫の自伝的マンガ「紙の砦」より。太平洋戦争末期を舞台に、手塚先
生自身をモデルにした学生・大寒鉄郎と、ある女性との悲しいエピソードを描
いている。
  旧制中学に通う大寒鉄郎は、マンガを描くことが生きがいで、勤労動員先の
工場でも、暇さえあれば教官の目を盗んでマンガばかり描いている学生だった。
彼はある日、宝塚音楽学校に通う岡本京子という女性と知り合いになる。彼女
はオペラのプリマドンナになる夢を抱いていた。京子と大寒とはだんだん親し
くなっていくが、大寒の工場が空襲の目標にされた時、京子は顔にひどい傷を
負ってしまう。
  そして終戦の日。大寒と京子が町に出ていくと、夜にもかかわらずこうこう
と明かりが灯っている。戦争が終わったことを実感し、心の底からはしゃぐ大
寒。
「マンガをかくぞっ。ぼくは…これからだれにもえんりょせずにマンガをかい
てやるぞっ。京子ちゃんっ、きみもオペラ歌手に…」
京子に向かってそこまで言いかけたところで、彼女の顔には大きな傷が消えず
に残っていることを思いだし、大寒はがっくりとうなだれる。彼はこれから夢
を実現させる希望がある。でも彼女の夢はもう…。
  2人の間に横たわる断絶が胸に迫る終わりでした。
「……だ…だれのせいだよ、こんな戦争………………………………」


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