たぶん、ゲーテの「ファウスト」が元ではないかと・・・。
ファウスト博士は、悪魔メフィストフェレスと契約をする際、次のように言う。
「私がある瞬間に対して、
  留まれ、お前はいかにも美しい、といったら
  もう君は私を縛りあげても良い、
  もう私はよろこんで滅びよう。」（相良守峯  訳）
原文は分かんないのだが、上の「留まれ・・・」の部分は
「時間よとまれ、おまえは美しい」とも訳せるのかもしれない。

さて、二人が交わした契約だが、少し詳しく説明すると以下のようになる。
まず、メフィストがファウストの僕となって彼の望みをかなえる。
しかし、ファウストがある瞬間に向かって「留まれ、お前はいかにも美しい」
という言葉を投げかけたら、その時点でファウストの魂はメフィストのものに
なるとしたのである。
で、この契約の結末だが、紆余曲折の末にファウストは、
自由な国を造り自由な民とそこで暮らしたい、という理想を実現しようとする。
そして、その完成を予感したある日、先述のキーワードを
口にしてしまう。当然ファウストの魂はメフィストのものになる
はずだったが、ファウストの目指した理想を神がよしとされ、
その魂は天へと召されていく。哀れメフィストは、ただ働き、
骨折り損のくたびれ儲けとなっちゃったというのが結末である。