君は見たか、不毛の荒野に現出した、紛れもない真の奇跡の姿を

1998 年 4 月 8 日。NHK 衛星放送第2で、1つの奇跡が誕生した。奇跡の名 は、「プリンセスナイン 如月女子高野球部」

白状します。最初、この作品はノーマーク でした。4月に各局で一斉に新番組が始まるとき、「相変わらず原作ものばか りで見るに値する作品がほとんど皆無同然だなあ…『プリンセスナイン』か。 なんか、タイトルからして、幼稚な男性視聴者に媚びただけの、中身空っぽの 女性キャラが無意味に入り乱れるタイプのありがちなあざとい作品っぽいけど、 数少ないオリジナルだし、一応チェックするだけチェックしておくか」と思っ て、全く期待しないでビデオをセットしておいたんです。そ・し・た・ら………


ド肝を抜く怪オープニング

お、何かやけに勇ましい調子の音楽が掛かったな。主人公はピッチャーな のか…って、主人公の目がアップになってそこへズームしたと思ったら、タイ トルロゴが「ズバアッ」って音と共に CG で燃え上がったぞ!?しかも念入り に「バシイッ」って光るのか!?な、なんて古くさい演出なんだ…。

ぎょぎょっ、え、「エースをねらえ!」風の縦ロールのお嬢様が出て来た!…な、何だか凄い形相でバッ ト振り回してるんですけど…それに、歌詞も音楽も、何だかやたらと熱いよ な………うぎゃああっ、しゅ、主人公が、 甲子園のマウンドで、天を仰いで劇画風のタッチで感極まっ た風に激涙している!!!何だこりゃ!

お、脇役風のキャラが次々出て来た。何か、やけに真面目に野球をやって るぞ?ひょっとして、懸念していたような軟弱な内容ではないのか?………ぐ はあぁっ!!!主人公の投げた球が、 宇宙空間に切り替わった背景を、光の矢となって切り裂いて行くう!!!! 何なんだ、この演出はああぁっ!?(音楽はこの辺で最高潮)

い、一体これをどんな風に締めくくるんだ…?どひー!!!宇宙空間を バックに、フレームの外から飛び込んで来た透過光が高速でぐにゃぐにゃ変形 してナインの姿に変わったあっ!!!!と思ったら、ワンテンポ遅れて主人公 も同じ演出で登場かあっ!!!!しかも さらにワンテンポ遅れてバックがマウンド周辺に変わるううぅっ!!!! こ、こんなベタな演出、ひと昔前の子ども向けアニメでしか お目にかかれんぞ…!?い、いったいこれは何なんだ!!!

本編の異様な迫力

NHK なので、CM はありません。今見たものが何だったのか私に考えさせる余 裕も与えてくれずに、本編が無情にもスタートします。その本編は、今見たオー プニングをも上回る破壊力で、私の心を暴風のごとく翻弄したのでした…。

ふんふんなるほど、主人公は 15 歳で、女の子ながら町内の草野球チーム のリリーフエースなのか。9 回裏、逆転サヨナラのピンチに、学校が終わって ぎりぎりで駆けつける、と。うわ、何だ何だ、いきなり、やけに高らかなオー ケストラサウンドがかかったぞ。派手な曲だ。ここまで大袈裟だと違和感を通 り越して快感かも(笑)。

「セーラー服姿の女の子と見てなめてかかる相手チーム」と「自信満々で 『ふふ、見てろよ』な味方チームの対比」ってのはセオリー通りの手堅い演出 だ。さて、主人公の颯爽たる活躍ぶりを上手に楽しませてくれるかな?………っ て何だありゃ!?

少し離れたところに駐められた黒塗り の外車の中から、これまた縦ロー ルの怪しさ大爆発のおばはん がこっそり様子を窺ってるぞ!?当然、 主人公の様子を密かに見に来た、ということなんだろうけど、そんな曰くあり げなおばはんが、草野球で投げる中学生の女の子の様子をわざわざ直々に視察 しに来るってのは一体何なんだ(笑)。

! !! !!! な、何だ、この、さっきの音楽を上回る とてつもなくオーバーな曲はああぁっ!そう!一言で言い表すなら、「ゴージャ ス」!どうして、いくら主人公とは言えたかが女の子が草野球の試合で投げる くらいでここまでド派手な音楽をかけるんだああっ!!笑える!ああ、しかし 気持ちいい!!笑えるがとてつもなく気持ちいい!この場違いなまでのゴージャ スさが、突き抜けたストレートな音楽が、おいらの脳髄の琴線をビンビン刺激 する!!

やったぜ!彼女の投げる快速球は、たちまちのうちに相手バッターを三球 三振に!ゲームセット、そしてあのおばはんも勿体ぶったセリフを吐いて退場 か…。な、何か、凄く楽しくないかこれ?

…そして燃える対決へ

途中はしばらく割愛。第1話ラストからすでに見せてくれた、「プリ9」を 「プリ9」たらしめた、あの熱さを語らない訳にはいかな い!

ふんふん、主人公の家のおでん屋で祝杯を挙げてるチームメイトの所に因 縁をふっかけに来たチンピラ2人と勝負、か。昼間試合やってた河川敷のグラ ウンドで対決ね…。うーん、対決をけしかけたこのおっさん、どう考えても主 人公のこと知ってるな。お、途中でちょっと出て来てた超高校級スラッガー君 がチャリのパンクで丁度通りがかってるぞ。

どうでもいいけど、いちいち音楽が大げさな作品だよな、これ(笑)。さっ きの凄いのの印象が強すぎてかすんじゃってるけど、これも普通のアニメと比 べたら十分すぎるくらいオーバーだ。

って、おいおい、あのチンピラたち、ノンプロ出身なのかよ!(笑) しかもこの連中を差し向けたのもあのおばはんと来たもんだ。ってことはおば はん本人もきっと来てるだろうな……。

とりあえずひとりめと勝負――って、おおう!この映像面の演出がまた、 あまりにも古臭くて凄えぜ!ストップモーション!画面分 割!!もう何でもありかい!!!ひとりめは快速球で見事三球三振 に!でも元ノンプロ相手に、かすりもさせない中学3年の女の子って一体(笑)。

あ、ほらやっぱりあのおばはんがいるよ(笑)。当然、あのおっさんもお ばはんの一味だよな。でも、おっさんのことはチンピラには知らされてないわ けか。それにしても、また昼間と同じ黒塗りの外車でやって来て、 何を企んでるんだ、おばはん?

バッター交替、こっちの方が一応兄貴分みたいだな。うーん、こいつがファー ルを放って、丁度そこにいた超高校級君がバットでダイレクトに打ち返す(笑)、 とかいうコテコテな展開をやってくれると嬉しいんだが…………って、ほんと にファールを打ったぞ?しかもおあつらえむきにフライになって……もしかし て、ほんとにやってくれるのか?……あっ!主人公が何かに気づいた!ああっ!トランペットが力強く鳴り 響く!!落下して来るボールを、極 端なパースのついたアオリの構図で捉えた画面に、超高校級君が走り込んで来 る!!!まさか、まさか、ほんとにやってくれるのかオイ!?

ああっ!!やった!やってくれ たー!!!奴が打ったボー ルは一直線に主人公の元へ!嬉しいいーーーー!!!! 感激!感激!!感激!!!何というケレン味!なんというサービス精神!

で、奴がおもむろに下りて来て言うには、「その分じゃ、何百回バットを 振ってもあの娘の球は打てないよ。なんなら俺が代わってあげようかと思って さ」、だと?いやー、言ってくれるぜ!BGM は対決ムードを盛り上げて最高潮 に!で、ここで「つづく」かあぁーっ!うお〜、燃える!燃える!! メチャクチャ燃える!!!

………ってな感じで、完全にノックアウトされました(笑)。

今回、これを書くために改めて第1話を見返したので すが、いやー、おもろい!何度見ても飽きない見事な脚本です。それにしても 私は第1話を一体何回見直したのだろうか?(笑)


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井汲 景太 <ikumikeita@home.jcom.ne.jp.NOSPAM.>(迷惑メールお断り)
最終更新日: 2002年9月12日