第23話 美女と野獣の対決!

ついに、LD・DVD 版の、最終巻収録分に突入です。「第1部」も残り僅か!

悩む主人公

まずは、高杉のメダルに手を掛けて思い悩む涼からスタートです。悩んだ 挙げ句置いて行くのかと思ったら、やっぱり首に掛けて行くんですね。ここで、 志乃が入って来ます。

志乃が

志乃「あのね、お母さん遅れるかもしれないけど、仕込みなるべく早く済ませ て、必ず応援に行くからね。」
と優しい言葉を掛けてるのに、涼の耳には全く入っていません。志乃の顔すら 見ずに、生返事で階段を下りて行きます。志乃は涼の様子がおかしいことに気 づいていたようですが、しかしそれ以上どうすることもできません。

球場へ

手持ちの液晶テレビで如月の試合を見る加奈子の顔がやけにかわいいです ね。後の方で堀高義塾のランナーにタッチをためらう加奈子も同じ顔で、どー やら加奈子に思い入れたっぷりの原画マンがいたと見ました(笑)。

球場に着いた如月女子を、堀高義塾の蹴り攻撃が出迎えます。真央が小春 にしがみついて震えていて、身体は大きくて頑丈だけど気は弱い、という個性 をさりげなく描いています。

しかし堀高義塾の面々、あれでも高校生かよ。腹にサラシまで巻いて(笑)。 モヒカン刈りも強烈です。

試合開始

涼の

涼「さっきはちょっとびっくりさせられたけど、顔が怖いからって野球がうま い訳じゃないよ!」
というセリフには爆笑です。それは失礼と言えば余りにも失礼だろう、涼ー!!(笑)

続くいずみも

いずみ「そうよ、恐いのは見てくれだけ。今日の相手は、あたしたちより、実 力では遥かに下のチームよ。勝って当然の相手だわ」
と失礼さでは引けを取りません。いつからそんな大口が叩けるようになったん だー。陽湖や真央を抱えて守備にも打撃にも不安がないとでも言うのかー。大 体オマエの守備だって万全なのかー?(笑)

さて、涼がどこかピントのズレた熱弁を奮っているこのカット、握りしめ る右手がやけにしょぼい作画でした。単に丸にいくつか線が引いてあるだけで、 ディテールがまるでありません。この23話は作画のいいカットと悪いカットの 差が極端な回で、さっきの加奈子とか、1回裏の聖良とか、9回表のバックホー ムするヒカルのカットなんかは凄くいい反面、プリ9ファンならもうおなじみ となったヘッポコ投球シーン(涙)や、9回裏のユキ・涼の顔などは「2度と 見たくないカット」で、その落差が激しいです。作画監督が、一部分にしか手 を入れる余裕がなかったのでしょうか。

とりあえず立ち上がりは順調な投球を見せる涼。あっと言う間に1回表を 終わらせます。が、お前ら、チェンジになってベンチに戻るときは走らんかい(笑)。 「スピーディーな展開攻守交替は高校野 球の基本でしょ」

前回ですっかりただの親馬鹿と化した校長は、 ワイルドキャッツの面々に対抗して加奈子コールに精を出します。校長と教頭 のかけ声のタイミングがてんでバラバラなのが、いかにも「らしく」ていいで すね(笑)。直前の、重・辰からの早がわりもお見事、龍田さん、三木さん。

如月女子の攻撃開始。聖良がバッターボックスに立った時からかかり始め るのは、初登場の BGM(ですよね?)。これも CD 未収録です。お、お願いだ から早く未収録曲を CD 化してくれ〜〜っ!!

臨海大附属戦の時同様、如月女子のベンチは1 塁側なのに、聖良に駆け寄るヒカルは3塁側から近付いて来てますね。ネクス トバッターズサークルって、3塁側にしかないものなんでしたっけ?(でも、 9回裏のユキはちゃんと1塁側からバッターボックスに入ってるんだよなあ…)

ここでの

矢野「スンマッセーン!!」
は名セリフですね(笑)。いやもちろんセリフの内容自体は名セリフでも何で もないんだけど、木戸と2役やっていた石井さ んがうまかった。誰しもマネしたくなってしまう絶妙の名調子でした(笑)。

転機

相手のことをナメてかかったのが災いして(としか見えないよな、あれ じゃ)、予定と大違いの苦戦を強いられる如月女子。ここで涼は

涼「何かかんだ言っても、相手のピッチャーはうまいわ。得点するのが難しい 以上、私の役目は、点を与えないことだ…!」
とあまり内容のないモノローグを言います。23話は、これを始めとして、涼の モノローグにほとんど内容のない説明セリフが多かったのが気にかかります。 これについてはまた後ほど。

ここで志乃の姿に気づいてほっとひと息ついたのも束の間、うかつにも高 杉の姿に気づいてしまったために激しく動揺する涼。BGM「果てしなき闘い」 が、ただならぬ事態の到来を告げます。あのメダル後生大事に首に掛けてるく せに、どうしてそんなに動揺するのよ。ってゆーか、志乃の隣にいた誠四郎に も気付いてやれ(笑)。

余談ですが、相変わらず誠四郎はひどい扱いを受けてますね。ここで涼に まるっきり無視されるだけでなく、この後も何回か顔は描かれるにもかかわら ずその度に座ってる場所がコロコロ変わり、かてて加えてセリフはただのひとっ こともなし!岩永さんも出演されなかったみたいで、エンディングクレジット には名前がありませんでした。あんまりだ。 エバゲ劇場版に続き、 またも出演の機会を逸した岩永さんが「もうメガネ君の役はイヤだ」とトラウ マになってたりしたらどう責任を取るんですか。(←そんなオーバーな)

涼の変調に気付いた堀高義塾の監督、丹波(←エンディングクレジットよ り)は、

丹波「どうやらチャンスが回って来たようだな」
とキラリーンと眼鏡を光らせます。だから、こんな所で無駄に作画に凝るくら いだったら、もっと全体のグレードを向上させて下さいってば。

ここで遂に涼は死球を出してしまいます。

涼「そうだ、打たれた訳じゃないんだから、何も心配することはない!」
バカモーン、そんな甘い考えが通用するとでも思ってるのかー!(笑)ピンチ から目をそむけようとする人間に、勝利の女神は微笑んでなんかくれないぞ。 そんなことじゃ甲子園優勝なんてじぇったい無理です。しっかりして下さいよ、 キャプテン!!

寧々「ハハハハ、あんな太った人が盗塁なんて無理ですよぉ」
寧々………お前もたいがい失礼なやっちゃな(笑)。…………いや、そんなの 元からか(笑)。そんなことを今さら言ったオレが悪かっただ。

これをきっかけに試合はすっかり堀高義塾のペースです。最初の盗塁は加 奈子が身体を張って食い止めたものの、次の回またもノーアウトのランナーが 出てしまい、みすみす盗塁を許してしまいます。

「どうしたのかな、お嬢さん。学校じゃ、男の身体に触っちゃいけませーんて 教えられてるのかな。あっははははは」
と下品に笑う相手に、悔しさを噛みしめる加奈子。

ここで涼はイナズマボールの使用に踏み切ります。ここまで、イナズマボー ルというのは、「何か特別な投げ方によってのみ投げられる、いかにも魔球魔 球した魔球」なのか、「単に投手に恐ろしく気合いがのっただけの自然発生的 な豪速球」なのかはっきりしませんでしたが、これで前者であることが確定し ましたね。ちょっと残念でした。確かに、「小さいお友達」のウケはいいだろ うけど…。

イナズマボールが暴投になった隙に、2塁ランナーは3塁に殺人スライディ ングを敢行します。このシーンの演出はなかなかでしたね。いったいいずみは どうなるのか!?という所でカメラをロングに切り替え、唖然とする木戸の顔 などで気を持たせる。古典的だけど、まさしくこれは「作り話」の演出の王道 中の王道です。こういう演出をためらわずに臆面もなくやってくれる所がプリ 9のいい所。

さらに、いずみがジャンプでかわしてタッチする所をわざわざスローモー ションで強調するという念入りな描写が、その古典的演出と互いに効果を引き 立て合っていますね。これぞ、「動き」と「時間」を自由にコントロールでき るアニメというメディアの特質をよく生かした表現です。「アウットー!」と いう審判のコールも、単純な動きながらタイミングと芝居の力によってこのシー ンによいアクセントを与えています。

最大のピンチ

いよいよ試合は9回に突入し、ついにあの 「私たちの戦い」が本格的に登場です。 くぅーっ、改めて聞いてもやっぱり燃えるーっ!!

涼「なぜ?自分でもよく解らない。高杉君のこと?そんなことでいつまでも心 が揺れているんだとしたら、私には、エースとしての資格なんてない!」
と自分を責める涼。それがただのヤセ我慢であることに、涼はまだ気付いてい ません。

それを見つめる高杉はまるで他人ごとのように

高杉「ガンモちゃん、がんばれ!自分の力で這い上がるんだ。今の俺に出来る ことは、ここから君を見守るだけだ」
などとほざきます。ちっとは自分の不用意さを反省 しろ。はっきり言って、みんなオマエのせいじゃわい(笑)。

ここでまた極端に無意味なセリフが出ましたねー。

涼「例えどんなに打たれても、今このチームのピッチャーは私1人!どんなこ とがあろうと、私が投げるしかないんだ!」
そんな当たり前のことを力一杯力説してどーする。いくら 「小さいお友達」も見てるからと言っても、ここまで説明的にするのはやりす ぎ。説明に頼らなくても解るようにしてこそプロでしょ?

もちろん「プリ9」の作画状況を考えると、「どんなに絵がズタボロでも、 ストーリーが伝わるようにしたくなる」のは解るんですが…。さっきの「何だ かんだ言っても…」や、「なぜ?自分でもよく解らない」もあるし、23話の説 明セリフはあまりにひどい。

追い討ちをかけるように、その直後の涼の投球モーションがまた変ですねー。 そこのアニメーターさん、人間の動き、特に優秀なスポーツ選手のそれには、 「タメ」ってものがあるんです。それをちゃんと再現して下さい。

BGM の曲調が変わるタイミングを、矢野のバットが球に当たるタイミング にほぼ合わせてあるのが見事ですね!吉田氏の手腕にはただただ脱帽です。

この試合で他に不満な所と言うと、木戸が余りに無策なこと。かろうじて 9回裏のみちょっとした策を弄してくれたものの、他は何もしないで見てるだ け。結局、他の試合でも木戸が役に立ったことって余りなかったため、この試 合終了後の高杉の「木戸の野球が浸透してきた」というセリフにまるっきり実 感が伴わなかったのは大きな不満点です。

そんな訳で、

木戸「球の速さなんて、そのうち慣れてくる。そろそろバットに当たり出して も、不思議じゃねえ頃だ」
寧々「そんなー人事みたいにー!!」
この時ばかりは「いいぞ寧々、まさしくその通りだ!!」と珍しく寧々に共感 しました(笑)。

ここで高杉が「ノーアウト、ランナー三塁」としたり顔で解説を始めます が、ちょうどそれに合わせて BGM がまた更に悲壮な曲調で盛り上がり始める 点は最高!!吉田氏の手腕は本当に神がかり的です。(もはやどーでもいいこ とかもしれませんが、このシーンの桂子のバックの絵(人の顔)が余りにちゃ ちい)

ヒカルに

ヒカル「守りはまかしとき、おもいっきし投げるんやで」
と励ましを受けますが、でも涼は高杉のことが頭から離れません。高杉のこと を考えながら投げた球は、ライトへと飛びます。

とぼけた味わいの陽湖と、

小春「取るんじゃー、陽湖!!」
と叫ぶシリアスで迫力のある小春との対照が絶品ですね。特に矢島さんには2 重丸を差し上げたい。

陽湖は

陽湖「やったー、取れたー、取れた!」
とはしゃいでますが…きっと、「タッチアップ」という概念を知らないんです ね(笑)。

で、ここ、せっかくヒカルが中継してホームでクロスプレーになったのに、 真央が矢野を弾き飛ばした肝心のシーンが描かれていなかったのが残念。単に 土煙の中真央の叫び声が響くだけですが、「ドカベン」で山田が犬神をふっ飛 ばした時のような描写が欲しかったです。

木戸はここで初めて監督らしいことをしますね。が、時既に遅し、という 感は拭えません。

いずみの打ち返した球は3塁打になりますが、このときライトがボールを 投げるフォームがメチャメチャ変です。とほほ。

ここで油断していたので、

加奈子「さっすが元テニスプレーヤー!ストライクゾーンに来た球しか打てな い、私達とは違うね!!」
寧々「何かほんとにマンガみたいですね」
という寧々ギャグにはダメージを負いました(笑)。

寧々「じゃあいずみさんがせっかく塁に出たのに、得点できないってことです かぁ?」
ヒカル「そういうこっちゃ」
ヒカルよ、それはアキラメが良すぎる(笑)。

さっきも書いたけど、この最後の一連のシーン、作画がよくないですねー。 聖良は「ユキが笑った」と言ってますが、とても笑ったよーには見えん!!そ して涼は

涼「チームメイトの頑張りがあったとは言え、調子が悪いなりに、何とか投げ ぬけた。大丈夫、もう高杉君のことは忘れられる。イナズマボールだって、投 げられる!」
などと調子のいいことを言ってますが、このときの「にたあーっ」という笑み は、完全に悪役のそれですな。涼、いつから悪役になったんだ(笑)。

本放送時は、次に1回囲碁名人戦がはさまっていて、 24話はその次の回に回されてしまいました。だもん だから、当時は「うおおーっ、は、早く続きを見せてくれ〜っ!」と悶絶して いたものです。

オマケ

木戸と言い志乃と言い、ノックせずに扉を開けるキャラが多い作品です、 プリ9は(笑)。他には、15話の桂子なんかもそう (部屋に入って明かりを点けたらいずみがいてびっくりしてました)。 16話で涼の部屋に入るときの志乃はノックしてたん ですが。


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井汲 景太 <ikumikeita@jcom.home.ne.jp.NOSPAM.>(迷惑メールお断り)
最終更新日: 2005年11月26日