原案小説雑感

第6巻

男の敵・宏樹(笑)

涼と宏樹の仲はこの巻でまた少し接近していますね。反面、高田はまった く登場せず、完全に蚊帳の外です。ああ、結局高田=誠四郎はアテ馬だった のね。ご愁傷様(笑)。

涼も宏樹も、お互い相手に対する好意を告白し、2人は一緒に自転車通学 することに。「どちらかが嫌になったらそれでやめる」という取り決めでスター トしたものの、参考書を譲ってもらったり、と、いよいよ本命カップルへの道 を歩み始めています。やはり、原案小説でもこのカップリングこそが当初から の構想だったということですね。

異性とのつき合いと言えば、もう一人、東野もマメに色事に励んでますね。 こちらの方はただのアクセントがわりのエピソードかと思って気楽に読んでい たら、突如として「黒幕」らしき人物もチラッと現れ、何やら陰謀ものの様相 も呈してきました。7巻のあとがきに よれば、これもまた今後のストーリーに大きく関わって来ることになるみたい で、今後の展開が待たれる所です。

執念深いお嬢様

あのアニメ版のいずみの原型だけあって、陰険さにかけては泉も負けてい ません。涼に手加減されたことを根に持ち、テニス選手としての将来を棒に振っ てまで、涼への遠大な復讐計画を立てます。

まずは野球部に入部希望ですが、最初は下手に出て猫被ってる辺りはまだ 泉にとっては序の口なのでしょう。自分の派閥を作るなど準備は怠りなく、 涼の落度はここぞとばかりに決して見逃がしません。

そして、打撃練習では涼と橋本に対して敵意を剥き出しにしてます。復讐 の一念で短期間に呆れるほどの上達を示してますね、アニメ版同様。また、 中途半端に「いい人」にしてしまわず、やな所は実にやな人物として描かれて いる所もアニメ版と共通ですが、これは的確な描写だったのではないかと思い ます。

初試合決定

いよいよ高野連の会長・天道寺とのゴルフで、女子野球部の連盟加入を要 請する日が来ました。アニメ版11話に相 当するエピソードです。事前に、酒井を通じて情報が洩れており、どうなるこ とかと思いましたが、大谷の父親を援軍に呼ぶ、というのはうまい手です。

ところで、この部分もやっぱり、アニメ版での翻案に思慮不足を感じてし まいます。原案小説では、桂は説得の対象を一人に絞った上で、支援メンバー を用意して3対1で天道寺に臨みました。ところが、アニメ版では、桂子は単 身高野協の理事会に乗り込んで行ってます。これだけでも不利は免れないのに、 アニメ版での桂子は、切札となるような材料を何も用意しておらず、「たまた ま」宏之助が助け船を出して、やっと肝心の取り引きに入れた始末でした。こ の辺も、アニメ版の理事長にちぐはぐさを感じる部分の一つです。

もちろん、こうすることによって、「通りかかった涼の何気ない親切が、 事態を大きく変えるきっかけになった」というアクセントを利かせることがで きる訳で、そこの所には文句はないです。しかし一方、この作品では「理事長 を有能な人間に描く」というのも重要なポイントだと思うんですよね。なので、 宏之助の助け船は、「あと一歩の一押し」ぐらいの位置づけの方がよかったの ではないか…と思います。

もう一点言うならば、原案小説で、桂が相模高校との試合を提案した後に すかさずカネにモノを言わせた交渉材料を提示してみせるソツのなさもアニメ 版ではなくなってしまっており、これも、上のように感じる理由の一つです。

それはともかく、マンガ版同様、中学生との練習試合を経ることなく、い きなり加盟を賭けた運命の試合へと相なります。がんばれ、如月…じゃなかっ た、明応女子!

今回の注目キャラ

涼・泉以外の一般部員だと、この巻では橋本にスポットライトが当たって ますね。ユキに対応するキャラですし、これまでの言動のせいもあって、感情 の起伏のほとんどないキャラのように思っていたのですが、陣内との受け答え を見ると、そういうわけでもないようです。

もっとも、「気持ちよさそうだから」という理由で弁当の途中で木に上っ てしまい、練習時間になっても下りて来ない、という所はやはり少し変わり者 です。「将棋好き(しかもそこそこうまい?)」という珍しい個性が与えられ ているのもポイントですね。

さらに、橋本は泉に謎の敵意を抱くようになります。あれくらいのことで そんなにムキになるのはちょっと不思議なんですが、松風園時代の何かの体験 と結び付いていたりするのでしょうか?気になっていたのですが、結局7巻ま で読んでもその辺の事情は明らかにされませんでした。橋本に関する「遠大な 構想」とは、あるいはこれに関連したことなのかもしれませんね。

あともう一人、早乙女の過去も明かされましたね。想像通りでしたが、そ れが原因でああいう娘になってしまったのでしょう。木戸のことが好きなくせ に、ナンパに乗ってみせたりする捨て鉢な所があるのは、ちょっと気の毒にな ります。

しかし、早乙女の親父、「京香が見ず知らずの男に抱かれていることを想 像し、興奮の坩堝へと陥っていった」ってただの変態じゃん。こんなのがリト ルリーグの監督やってたのか(笑)。

どうでもいい話


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井汲 景太 <ikumikeita@jcom.home.ne.jp.NOSPAM.>(迷惑メールお断り)
最終更新日: 2002年5月 2日