「ワクワク」について

最終回で、最も「ぬううっ、作者にケツまくって逃げられたーっ!!」と感 じたのは、「もう一度あたしをワクワクさせてくれる……?」というセリフでし た。

この「ワクワクさせる」というキーワードは以前から「西野が真中を気に入っ ている理由」として顔を見せてはいるのですが、実際の所ただの口先だけに終わっ ているんですよね。一番最初の懸垂はともかく、その後の真中の行動に西野をワ クワクさせるような要素は乏しいです。中学の頃は真中の一杯一杯さを西野が勝 手に好都合に解釈してつき合いが続いていただけで、真中は西野から受け取るも のはあっても与えたものは事実上ない。

高校に入ってから後のエピソードを思い返しても、高1の学園祭と高3の 「夏休みの3日間」の前日には「ワクワクできた」という証言が得られてますが、 他には高2の合宿で一緒に映画を作った経験と、真中からの再度のつき合ってく れ宣言を除くと、真中が西野を「ワクワクさせた」ようなことがあったかどうか、 かなり疑問です。大体において、真中は西野からの好意に一方的に奉仕されるだ けで、それに対する真中側からのリターンはペンダントやらいちごパンツやらの 「モノ」がメインで、「ワクワクさせる」なんていう経験を与えたことは、ほと んどなかったんじゃないでしょうか(ところで、真中はバイトをしていたとはいっ ても現物支給でしかなかったのに、そのプレゼント代はどうやって調達していた んだろう?)。

だから、最終回においてはこの「ワクワクさせる」というのは「 ついに最後まで『西野が真中を(そん なにも)好きな理由』を具体化できなかったこと」を象徴するキーワードで、 今更そんな言葉を持ち出すのは「証文の出し遅れ」もいい所なんですよね。そん な訳で、「うーむ、一番ちゃんと応えなくちゃいけない所でこの破産したセリフ を持ってくるか、河下水希…。つまり、『西野が真中を(そんなにも)好きな理 由』を少しでも描こうという誠実さなんかもともとなくて、最初っからこうやっ てバッくれるつもりだったんだな!?」と感じずにはいられませんでした。

(以下、私情(笑))そんな取るに足りないカスみたいな代物のた めに、東城の切実な想いが踏みにじられたのかー!これじゃあ東城が気の毒すぎ て、到底承伏できかねるー!!(笑)もう私には終盤の展開が「 西野がほとんど嫌がらせのためだけに(笑)東城と真 中の間に割り込んでいって、全然好きでも何でもない真中を奪い去っていった 」ようにしか見えません。ぬおお、こんな展開はイヤだーっ! やり直しを要求するーっ!!(笑)(私情ここまで)

………だから、 ストーリーマンガにしようなんていう無謀なことを考えないで、パンツマンガの ままにしておけばよかったんですけどねえ。このマンガではパンツというの は水戸黄門の印籠みたいなもので、「と にかくパンツを見せるためだったら、どんな無茶をやっても許される」とい う姿勢を貫いてきた(そして、それはそれなりに肝が座っていて見事だった)ん ですから、「パンツをビラビラ見せびらかしながら、真中と西野がベタベタでラ ブラブ」というお気楽な流れにしておけば、「まあ、不満は残るけど、でも 印籠を出されちゃったんじゃ文句言う筋合じゃないか。もともと、そーい うマンガであることは百も承知で読んでたんだし」と引き下 がるしかなかったんですが。

追記

………と思っていたら、 「ワクワク」 を求めていた、というのは、ペットに主人が期待する気持ちのようなものだった 、という示唆が。そりゃ女子高に忍び込んできたり、バイト 先に現れたらオモシロイ人という点はクリアしてますよね。そ、そ うだったのかーっ!!

なるほど、確かにペットに対していちいち 「本気で留学するつ もり、という意思は変わってないからね」と確認したり、「家族旅行に行くつも りだ」とか伝えたりする必要ないですもんね。クリスマスに機嫌を損ねて帰っ たときも、お別れ時にはキス、と、真中から見たら何考えてんだかわかんない行 動で振り回すのも、「飼い主はペットに対し時には気まぐれに接するもの。その 理由をペットに説明する義務も必要もないし、そもそも理由がないことすらある」 と考えれば理解できます。

2人の関係を充実させようという気が希薄にしか感じられないのも、まあペッ ト相手じゃしかたないでしょう。真中に対する想いが形式的な上辺だけのもので、 カラオケボックスで「真中が東城とヨ リを戻した」と誤解したとき、事情を確かめることも、再度真中を振り向かせよ うともせずあっさり手放そうとした理由も、「ペットで遊ぶのも、もう飽き た」からと考えればすごく解りやすい。

………いや、だとするとですね。「そんないい加減 な関係のためだけに東城の想いは踏みにじられたのか!?ふざけ るな!!」という思いは抑えられませんよ?ほんとに「ペットと主人」 の関係でしかないんでしょうか?

まあ、冷静に考えれば、「真中のことがどうしようもないくらい好き」と (何の必然性も感じられないとは言え) 必死で訴えていたことを考えると、「ペット」扱いの軽い気持ちではなかった、 ということはわかりますけどね。しかしそれにしたってこの「ワクワク」という キーワードが余りにも無責任に使われたことは間違いありません。


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井汲 景太 <ikumikeita@home.jcom.ne.jp.NOSPAM.>(迷惑メールお断り)
最終更新日: 2006年12月23日