いがみ合わないヒロインたち

このマンガが普通のラブコメの枠からは逸脱している点のひとつとして、女 の子同士が「いがみ合わない」ということがあります。

普通ラブコメマンガだったらヒロインたちが主人公を取り合って直接的にい がみ合う描写を用いて、主人公に自己投影している読者を喜ばせる、という手を 使うんですが、このマンガはそういう展開に入ることは注意深く避けてる。

ほとんど唯一の例外は、高1の夏休みに皆が真中の部屋に集まったとき、北 大路と西野が軽く牽制し合うくらいで、そのときも、直後に外村によって深刻な 事態が引き起こされそうになると、作者権限によるハプニングが発生して回避さ れます。

それ以外ではもう徹底していて、例えば3年の学園祭当日に東城と西野が出 くわしたときに

と、西野は決して東城に対して険悪な態度をとりません。 東城の側も然りで、前日自分が大泣きした理由の非常に大きい部分を占めている 西野を目の前にしても、取り乱したりする様子はまったく見せず、怒りをぶつけ るでもなく、嫌悪感を催すでもなく、多少おどおどしている気配を漂わせる程度 で、あとは自然に接しています。

他にも、最終回近く、真中の青都大受験の日に真中宅の前で東城と西野が出 会い、誰もが「修羅場突入か!?」と身構えた回ですら衝突は回避される、とい う所にも顕著です。作者は「このマンガでは、女の子同士のいがみあいは絶対描 かない」というポリシーを固く守っている。

北大路もそうですね。終盤で東城に、「(東城のことは)あんまよく思って なかった」と言ってましたが、そういう相手にさえ、水かぶっちゃって服が透け そうになったときには親切に世話を焼き、バイト(…よく考えると、高3の2学 期になってまで続けてたのか。受験のことははなっから考えてなかったな、さて は)に遅刻しそうになってまで面倒を見てやっている。真中を巡っての最大のラ イバルであるはずなのに、非常に友好的に振る舞っています。

これは、いがみ合う醜い姿を見せるのがしのびない、という作者の女として の思いやりが現れているのかなあ。「いつもパンツばかり丸出しにさせてしまっ てスマン。せめてあんたたちには『きれいな姿』だけを見せてやるようにしてやっ から」みたいな。

そういう意味ではやっぱりこれは「ラブコメマンガ」じゃなくて、第一義的 には「パンツマンガ」なんですよ(笑)。 「ラブコメ」っぽい要素は入ってるけど、あくまでそれはメインじゃない、とい う。


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井汲 景太 <ikumikeita@home.jcom.ne.jp.NOSPAM.>(迷惑メールお断り)
最終更新日: 2006年3月16日