椎名作品Q&A 過去ログ

No. 751 Re: 美神を倒すのにどうして「彼の躯は」なの?

Iholi : 04/02/19(Thu) 04:30

>  ワイド版の最新刊を読んでいて発見しました。

 因みに、コミックス28巻でもそうなっています。

>  淀川ランプが美神を倒そうと思って文章を書いたならば、「彼女の躯は」となるはずです。まさか美神が男に見えたわけでもあるまいし。
>  どういうことなのでしょうか?

 元々男の方(忠夫)を狙っていた可能性もゼロではありま
せんが、前後の彼らのセリフや様子からすると少々無理があ
りますよね。

 実は、伝統的な日本語には女性の三人称表現は在りません。
欧州の文献の翻訳等の影響で「彼女」なる表記が誕生したの
は明治20年代の事。それでも男女の区別無く「彼」が使われ
たり、表記は「彼女」でも「かれ」「かのおんな」と読む事
もしばしばであったようです(「彼」と書いて「かのじょ」
と読む例もあり)。
 淀川ランプのモデルである江戸川乱歩(明治26年生まれ)
も昭和初期に活躍しますが、その頃には「彼女[かのじょ]」
もかなり定着していたようです。しかし、ランプは乱歩と違っ
た意味での芸術家肌の小説家であったようですから、飽く迄
三人称を男女問わず「彼[かれ]」とする旧い書式に拘ったの
かも知れません。
 つまり、ランプは「彼」で「女=令子」を表したつもりだっ
たのに、令子の発言通りに名前を「横島」にしてしまったの
で、実際に言霊の影響を受けたのは忠夫になってしまった…
…という事ではないでしょうか。

参考リンク;『[糸奇]堂事物』
hansichi.hp.infoseek.co.jp/contents/kare.html


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