椎名作品Q&A 過去ログ

No. 631 Re^3: 横島はあれからグーラーに会いに行かなかったのか?

Iholi : 03/12/31(Wed) 07:35

>  結局、「サバイバルの館」の事件は西条が関係していなかったので、そういう報告書も書かれず、横島が「オレが引き取る」という主張をしようにも美神が許さず、グーラーは中近東に強制送還、で事件は決着したのでしょう。
>  ルシオラの場合、責任を取る人間がいなければ彼女は死刑です。グーラーはそうではないので、美神も横島も納得したのでしょう。

 ルシオラ(とパピリオ)は名目上、アシュタロスと称う強大な存
在に強制されて悪事を働いていた、と云う事で、「10の指令」の
件も含めて大幅に斟酌されました。これはつまり、一連の騒動の責
任を実行者に求めず、その指揮者を不在のまま責任者と断定した、
と云う事です。これは緊急時のどさくさに政府とICPOに全権を
委任された美智恵たち在っての腹芸に依る部分が大きいでしょう。
厳しい監察保護下に措かれたのは致し方有りませんでした。

 一方グーラーは、彼女自身が兵器として利用されていたのと、正
気を取り戻した後に令子たちに協力した件において情状酌量の余地
が有ります。少なくとも作中での彼女(やガルーダたち)はこの件
においては加害者一味なのではなく被害者なのだ、と徹底して描か
れている点には注意する必要があるでしょう。そもそも彼女の自由
意思を脅かしたのは明らかに魔界に対する干渉行為であり、それを
行ったのは果たして、魔族に加担・協力した人間の方なのです。
 それにグーラーは最後に人食いを止めるよう宣言しています。元
元中近東の食人鬼グールは恐ろしい魔物である一方、非常に誠実な
性格でも有名です。迷い込んだ旅人を「取って食わないから」と我
が家に誘い、本当に食べなかったどころか美味しい食事と寝床を提
供した……と云うお話もあるくらいです。ですから、このグーラー
の誓いも充分信用に足るものと想います。よって、

> >  グーラーは呪法で操られていたので最終的には無罪かもしれませんが、やはり一旦は逮捕,拘束されるでしょう。その後も、なにしろ人間を喰っていた凶悪な魔物なのですから、釈放はされないまま魔界へ追放か、または生まれた国(中近東のどっかの国?)に強制送還されるか、いずれにしろもう日本にはいられなかったでしょう。
 
 これは行き過ぎではないでしょうか。
 この事件の肝は「一部人間と武闘派魔族の協力」にあります。後
に行われるであろう、館を含めた関連施設の捜査の際、もしくは裁
判などの場で万が一にも(後述)協力を「要請」されることはある
でしょうが、この事件に関して逮捕・拘禁される程の理由は見当た
らないと想います。

> >  こうなれば、美神だって自分の責任になりますから必死に横島を止めるでしょう。
> > 「グーラーが会いに来ても、匿ったりしてはダメ。すぐ私に連絡するのよ!」

 こんな事を言うくらいだったら、最初から須狩と一緒にしょっ引
いていたでしょう。ガルーダの攻撃から庇う場面もありますし、明
らかに令子たちは無害とみてグーラーを見逃したのです。
 事件の捜査そのものには須狩とあの館だけで充分でしょうし、一
時的にとは云え共闘し、兵鬼たちに一片の同情をも見せる令子にし
てみれば、これ以上彼女たちを人間界の面倒に付き合わせる理由は
無い筈です。そして、社会は全てを知る必要は無いのです。ですか
らグーラーが逮捕され、凶悪怪物として送還される可能性は少ない
のではないでしょうか。
 ……ま、須狩との取引で、せしめるもんはせしめた事だし(笑)。

>  まあ、ルシオラが横島と同棲した場合、砂糖と水だけで生きていけるので横島の収入でも養っていけますが、グーラーだと肉食なので毎日大量の牛肉・豚肉を喰わせなければなりません。食費がかかり過ぎて横島にはむりでしょう。

 それは「忠夫が無理だ」と云うより、「グーラーの方が彼と暮ら
せない」と云う事では? 当然、恋愛は一人ではできませんから、
もしもグーラーが本気で忠夫と共に暮らしたいとするならば、その
辺りは彼女の方こそ覚悟が必要となるでしょう。そもそも、

> > >  ここで注目するべきは「サバイバルの館」に登場するグーラーです。横島の「恋」の文殊の効果が消えた後も横島に好意を持っていました。投げキッスしてましたしね。それに、横島の初キッスの相手なのではないでしょうか?

 接吻は「恋」の文珠が効いていた時の事ですから、彼女の(ある
とすれば)本来の恋愛感情とは別に考えるべきでは? そして投げ
接吻を含めた最後の場面の描写だけでは彼女がどれだけ「本気」な
のかを窺い知る事は難しいでしょう。ぼくの印象からすれば、いつ
もの「モノノケに好かれ易い非人間的な魅力」の典型例に見えまし
た(それが「解る人間に好かれ易い彼の魅力」とも部分的に重なる
わけで、少々ややこしいのですが)。

 では、最初の問いについての見解おば。

> > >  ほとぼりが冷めた頃、横島がもう一度会いに行けば、ヤラせてくれる可能性ナンバーワンの相手だと思われないでしょうか。そうすれば横島もめでたく童貞卒業です。
> > >  しかし、どうもグーラーに会いに行った様子はありません。なぜなんでしょうか?

 忠夫に、その気が無いからでは?
 「恋」の文珠自体、当初は令子に使う為の物でしたし。また、彼
の方からグーラーに恋愛感情を抱いているとの様子は、殆ど見受け
られません。そして、忠夫がグーラーに対して恋愛めいた感情を抱
いている様子も一切ありません。そこにあるのはいつもの優しさで
す(そしてそれこそが彼の魅力の一つでもある)。
 また『甘い生活!!』編のように「性」を伴った恋愛関係は即座に
美神ファミリーの崩壊を意味します。ところが『サバイバルの館』
はキヌの復活直後であり、美神ファミリーの結束が今まで以上に再
確認された挿話です。そこで登場したグーラーと忠夫の性的関係は、
この作品そのものの崩壊をも招く事になるでしょう。


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