椎名作品Q&A 過去ログ

No. 544 Re: 転生について

Iholi : 03/10/25(Sat) 13:50

> コミックスを読み返して気付いたのですがどうやら転生すると能力が逆の物になるみたいですね

 ふむふむ。なかなか興味深い視点ですね〜。

> 横島=霊力の圧縮←高島=霊力の拡散
> 西条=西洋系、霊力の発露←西郷=東洋系、禁術

 高島=霊力拡散と輝彦=霊力発露&西郷は描写そのものが少
ない為、断定は難しいかと想われます。
 加えて、ある程度の霊的感知能力やテレパシー、霊力の放射
などは霊能力者の霊的特性を越えて汎用化されている事にも留
意したいです。
(以下の括弧内、指示が無ければ22巻)

 まず高島の場合、A.呪符破壊(83頁)、B.快復呪符作
成(90頁)、C.避雷(120頁)、D.文珠の文字変換&使
用(175頁)……以上4場面。
 この内Dは飽くまで高島の記憶であり本人ではないので、文
珠使用は無論汎用としても、文字変換は忠夫の能力の可能性も
あります(霊魂の記憶と霊能の相関も面白そうな議題ですが、
それはさて措き)。
 残りの内、AとBは描写からして陰陽師の術式に則っていま
すが、72頁で逆上する様にも見られる様に、呪符の作成と使用
が彼の得意技なのかも知れません(文珠にも通じるかも?)。
が、根拠は有りません。Cは……流石にこれだけでは判らない
ですよね(苦笑)。

 そして輝彦は……ジャスティスばっかり(笑)。
 他の彼の能力には汎用霊能力の枠を大きく出るものは無く、
霊剣以外の際だった霊的特性は不明です(彼が後半キャラ立ち
できなかった理由の一つ。せめて決め技の一つもあれば……)。

 さて、西郷です。a.霊力発射?(54頁)、b.紙製式神
(99頁)、c.禁術(120頁)、d.霊力発射?(184頁)と、
高島と同じく4場面。
 描写からしてa、b、cは陰陽師の術式に則っていると云う
以上の事は判りません。禁術にしても場面cのみの登場なので、
これが果たして彼の霊的特性なのか判断し辛い所。dはaと同
様に攻撃的な能力ですが、やはり描写に乏しく実情は不明です。

★忠夫を除く3人についての結論。
 ……よく判りませんでした(ドクロ)。

> 美神=破魔そして意地っ張り←メフィスト=魔そして素直(笑)
> 上手い具合に対比が成り立ちます。

 「素直→意地っ張り」、ここに問題の本質が在ると想います。
 つまり、高島&忠夫と西郷&輝彦では「時代を超えた人格の
相似」と云う前世モノのお約束を提した一方で、メフィスト&
令子では「人格の相違」と云う真逆の場合を提示すると云った、
「対比を対比する」構造が在ります。この構造はキャラクタを
対比する事自体の面白さは勿論の事、各両者の描写にも深く関
わってきています。
 例えば高島と西郷の人格は、細部を除いて後世と大きく被っ
ています。これはギャグとしてだけでなく、彼らの行動にも一
定の根拠を与え、読者がスンナリと作品に入るのを助けてくれ
ます。それと同時に、被っていない部分もきっちりとネタになっ
ていますが、それは社会環境の相違の他に、両者とも既に精神
的に成熟してしまっている所が大きいです(高島の落ち着きぶ
りは後話で登場する「成長した忠夫」を俄かホウフツとさせる)。
 対してメフィストは『デッド・ゾーン!!』全編を通して精神
的成長(途上)が見られる人物(この辺り、ルシオラの成長と
対比するのも面白そうだけど、それは別の機会にでも)。そし
て令子もまた忠夫の実力を本人の前で評価してやったり(107
頁)、自分なりのやり方をみつめなおしたり(166頁)と一定
の前進が認められますが、「ま、美神さんは美神さんってこと
か…」(23巻21頁)とある通り、メフィストとは別人格と云う
位置付けです(若し31巻109頁のメフィスト(夢)がデッド・
ゾーン以降の彼女だとしたら……また随分と令子に近付いちゃっ
た訳で(涙))。
 因みに令子の霊力は「分類、神魔混合。種別「攻」。」(29
巻137頁、但し不完全な測定に於いてこの部分が正しければ)。
破魔か魔かは、寧ろ霊能の使い方の問題ではないでしょうか?
 あと西洋か東洋かと云うのも、平安時代が舞台になった以上
は当然な対立ですし。

☆総論。
 ・転生前後に於ける霊能力間の対立の確たる根拠は見出せな
  いが、強ち否定できる物でもない。
 ・性格や立場の対立や類似は、作劇上の意図が大きい(霊能
  力の差異は性格や立場と同じく広義の人格に含まれる)。

 要するに、こおりさんの解釈も充分考えられる、くらいの話
(長い割にショボい)。
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 さて、今までのやや否定的な文面はともかく、ここいらでで
こおりさんのアイディア「転生前後の霊能力の対比」に敢えて
乗ったとしますと……。

> 何故このようなことがおきるのでしょうか?

 令子の場合、その霊能力の特性は明らかに母親譲りです。勿
論母親から同じ形式の能力の訓練を施されるなどの経験的影響
もあるでしょうが(例:キヌの死霊使い、ピートのダンピール・
フラッシュなど)、時間移動能力の様に遺伝的影響の可能性も
在ります(例:冥子の式神、ピートの吸血鬼能力など)。とこ
ろが彼女の妹であるひのめの自然発火能力などはその出自が全
く不明ですし、また少なくとも令子の方には父親の精神感応能
力を受け継いだ形跡は在りません。
 以上の事から、霊能力の発現には様々な要因が複雑に絡み合っ
ていると考えられます。勿論「魂」が未来の別の肉体に受け継
がれ、表面的(性格など)にも潜在的にも影響が認められる以
上、霊能力に影響があってもおかしくありません。しかし、前
世の記憶は基本的に封じられています。

 若しも前世(の記憶)封印の一環で、前世での能力にも何ら
かの制御が掛かっていたとしたら? 例えば、前世での能力を
抑制する事で、対立する能力が伸長するだとしたら?
『綱引きを連想してみてください。「霊力の圧縮」ディームと
 「霊力の拡散」ティームの対決です。高島の時は「拡散」側
 が有利でした。しかし彼の転生が決まると、力持ちの「封印」
 くんが「拡散」側の背後に現れて、前へとグイグイ押してき
 ます。結果、忠夫の時には「圧縮」側が有利になりました。』
 ……際限無く変な例え話ですが(苦笑)。

 栄光の手やサイキック・ソーサー、霊波刀も「霊力圧縮(成
形)系」と一区切りに定義できるのも面白いですね。


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